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 仏教では創造主は否定されると聞きましたが、、、  

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 私は虫が生理的にどうしても苦手です。しかし、人間の技術では蟻一匹も造れないという事を考えると、自然の驚異を感じます。そして、虫さんもすごいよね、尊い命だね、と自分に言い聞かせて、何とか恐怖心を和らげるようにしたりもします。それでも虫恐怖症は克服できませんが^^;、、、。 

 45億年前にはこの世が太陽と塵だけだった、というような話を聞いた事があります。私には科学的な知識が無く、創造論や進化論についてもよく分かりませんが、とにかく何かしらの大きな力の導きが無ければ、たとえ45億年たったとしても、今のような地球や植物、動物、人間は生まれていなかっただろう、と思いました。私のような考えを持つ人は多いような気がします。

 このような考えを持ったのはカトリック系の大学に通っていた頃、神父様のお話に影響を受けたというのもあります。私はクリスチャンでもないし、キリスト教でいうような唯一の創造主=神が存在するだろう、と考えているわけではありません。しかし、唯一ではなく複数だとしても、この世にはなにかしらの人知を超える大きな意志が存在して自然をつかさどり、その大きな意志が地球やそこに住む生物を作り上げたのではないだろうか、と漠然と思っています。だから八百万の神というのもなんとなくしっくりきます。

 仏教では創造主の存在は説いていないと聞いたことがあります。しかし、宇宙と地球、そしてそこに息づくあらゆる生物が生まれるように導いた存在について、仏教でも何らかの解釈がされているのかどうか、知りたいです。もしくは、皆様はどのようにお考えでしょうか?


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

大日如来です

北斗星さま

真言宗の立場からお答えさせて頂きますね。
(全ての宗派での考え方では無いのでご承知置き下さい)

真言宗では、宇宙の創世からの全てのこの世界の活動を大日如来と呼びます。
つまり宇宙はまるごと大日如来という仏さまなのです。

大日如来の活動からあらゆる仏さまや神さまやあらゆる生きとし生けるものが生み出されました。その様子を表しているのが胎蔵曼荼羅といって真言宗のお寺にかかっている2枚の曼荼羅の掛軸のひとつです。

大日如来から「生み出させる」と申しましたが、実は全て大日如来の化身とも言えます。
しかし、元が大日如来であった事をすっかりと忘れて気がつかず、
小さな自己に囚われて悩み苦しむのが我々の姿と言えると思います。

真言宗では風の動きや雨の音、木々のざわめきなど大自然の中からも、日々の日常の暮らしの中からも大日如来の説法が聞けるとしています。

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仏道に入門して39年が経ちました。 死ぬまで修行を続けるのがお坊さん...
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あると言えばありますが

仏教はものすごく広く深いので、どの範囲で言うかによります。
仏教らしい仏教では、人の世以前の世界は「過去七仏」といいます。お釈迦さま以前に6人の仏がいたのが分かっているという話です。

最初が毘婆尸仏(びばしぶつ)です。今から「43億2000万年かける91年」という計算する気も起きないほど大昔で、これ以前にも仏さまはいたはずだけど流石に分からないという話です。つまり毘婆尸仏の時代には既に天地もあったし、生物もいました。実は人もいました。当時は人の寿命が8万4千年だったそうです。果たして人なのかどうか疑わしく感じるのは私だけでしょうか…

ここらについてお釈迦さまのコメントは「議論して証明できないことは考えなさるな」です。このコメントは「無記」と呼ばれます。

具体的な項目としては「世界の創造と終末」、「転生する魂の有無」、「死を超越する超能力の有無」についての議論ですので、仏教らしい仏教ではその手の話は無いと言えます。

ところが無記はお釈迦さまの当時、世界の最初や前世来世はあると考える人が多数派だったことの裏返しでもあるのですよ。お釈迦さまは出家した弟子に無記を説きましたが、一般の人には「現世を誠実に生きないと来世で苦労しますよ」と相手の目線に合わせて教えを説かれました。これを「対機説法」と言います。

昔からの宗教に重ね書きする形でしたので、仏教はMS-DOSにWindowsを載せるようなことができたのです(分かりにくいかもしれませんが)。

結果、仏教では梵天(ブラフマー)を守護神として受け入れましたが、この梵天が創造神です。

お釈迦さまは世界の維持神ヴィシュヌの化身であり、創造神ブラフマーや破壊神シヴァと合わせて三位一体の神というのがインド人の解釈ですから、ここまで広げるとその手の話も有ると言えなくもありません。

日本バージョンの解釈が神仏習合で、古事記の葦原や神生みの話も全て無縁ではなく、むしろ相性が良い。あぁ、千字じゃ語り切れない…

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曹洞宗副住職。タイ系上座部仏教短期出家(捨戒済み)。仮面系お坊さんYouT...
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質問者からのお礼

こちらのお坊様方、皆さまそうなのですが、広く深い造詣にはひたすら尊敬の念を抱くばかりです。ありがとうございます。 


悟東あすか さま
 ご丁寧にお教え下さりありがとうございます。とても勉強になりました。大日如来様は宇宙をつかさどると漠然と聞いたことはありましたが、宇宙がまるごと大日如来様であり、その活動から生物が生まれたという概念はありませんでした。大自然の中からも、日々の日常の暮らしの中からも大日如来様の説法が聞けるというお話、素敵ですね。私の家は浄土真宗ですが、私はまだド素人なので宗派にこだわらずに広く心を開いて学んでいきたいです。ありがとうございました。 

大慈 さま
 いつもご丁寧にご回答を下さりありがとうございます。43億2000万年という数字が、現代科学で言われている45億年とほぼ変わらないのは偶然なのでしょうか? なんだか、すごいことのような気がします。それに91をかける大昔とのことですが、地球が生まれる前にも時間は流れていたはずなので、仏さまがいらっしゃっても不思議ではないですね。気が遠くなりそうですが、同時にワクワクもします。私は自称仏教徒…ですが、古事記や神道も関心がある分野なので、これから気が赴くままに親しんでみようとおもいます。

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良い人・優しい人が損する理由

YouTubeのオススメに「良い人・優しい人が損する理由はこれです」みたいな動画があったので、とりあえず観てみました。その動画には「ブッダの教え」というサブタイトルが付けられていました。 優しさと思いやりが、いいように利用され苦しむ主人公の話でした。 その後、主人公が見つけた答えは、 ①「自己尊重と他者への尊重のバランス(自分自身と他人の間に健全な境界線を引く)」 ②「自分の気持ちや考えを尊重してもらえない関係は健康的ではないと理解しそのような関係とは距離を置く」 ③「支援や協力が真に価値を持つ場合にのみそれらを提供するようにする」 というものでした。 私にはとても良い話に感じましたが「我を無くす」から遠のいてるようにも見えて、この話をどこまで鵜呑みにしていいのか迷っています。 「ブッダの教え」とありますが、この動画に出てくる登場人物名や逸話をネットで検索してもそれらしいソースが見つかりませんでした。 (生きにくさを抱えた現代人向けの創作?) ここでお坊様方にお聞きしたいのは①②③は仏教的に見て、実行しても大丈夫な内容でしょうか。 またお坊様方の考えなどもお聞かせ頂けたらと思います。 よろしくお願いします。 補足です。 私は優しさ・善良さとは程遠い人間ですが、周りではよく聞く話だったので、このテーマに関心がありました。

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