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老いること

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有り難し有り難し 18

こんにちは。宜しく御教授お願いします。
父の死後、九州で一人暮らしを続けていた80歳の母が身体的にも介助が必要になり、認知症らしい言動も出てきている為独居は限界と判断。私も兄も関東に住んでいる為、関東の施設入所して貰う事になりました。
離れている為、近くにいてもらった方がいいと思ったからです。
受診、入所先探し、転居の手続き、親戚への挨拶、荷物の送付、入居準備全て私が行いました。
後は、住んでいた九州の実家の片付けがあるのですが、かなり家財道具がある為大変です。
兄に相談しましたが、手伝ってくれる気は無さそうで、当然私がやるものと思っています。
その事で、喧嘩もしました。私は充分やったし、これ以上の負担は身体的、精神的に無理です。
母の認知症は、まだまだ軽い方ですが、以前と違う母といることがとてもつらく、ストレスを感じます。
冷たい娘とお思いになるかもしれませんが。
母は本当はずっと、生まれ育った町で暮らしたいようです。私達の為に、入所してくれるんだと思います。
そんな母を見ていると、本当にこれで良かったんだろうか?と思ってしまいます。兄弟で揉める姿も、見せたくはないです。
私はケアマネの仕事をしていますが、自分の親の介護については考えていませんでした。敢えて、考える事から逃げていたとも言えるかも知れません。利用者さんの御家族が、介護の負担分担で揉める姿を散々見て、悲しい気持ちになっていました。まさか、自分がこんなことになるとは。お恥ずかしい限りです。
私は 子供が出来ない身体ですが、たとえ子供がいても老後は決して安泰ではないのですね。
人は生まれて、それぞれ一生懸命その人の人生を生きて、老いていく。
やっと、ゆっくりと人生の最期の時のためにのんびりと穏やかに暮らせる時間が来たのに、子供たちは世話のなすり付け合い、生まれ故郷から離れての生活。
老いることは悲しい事でしょうか。
私達は、人生の最期の時期をお手伝いする仕事ですが、どんな人にも最後は幸せでいて欲しいと願って仕事をしています。御坊様は、本当の最期のお見送りをするお仕事だとおもわれますが、人の老いについてどのような考えをお持ちでしょうか。
私事の相談のはずが、話が大きくなってしまい申し訳ありません。


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

老いを忘じている時に目を向けましょう

「老い老いとオイオイ嘆いて負い目とするが老いに追い打ちかける心なり」
老いは悪いものではありません。
本当に悪いものではありません。
老いは悪いものだ、老いは役に立たない、老いは不幸だ、老いは良くない…
と、それを負にする、負い目に感じるのはいつも自分です。
あなたは今自分の年齢を忘れていたはずでしょう。
年齢すら忘れて生活しているのが万人の様子です。
年齢や老いなん会時計を観るのと一緒です。
ずっーと「ああ、12時だ、12時だ」なんて時計ばっかり観てる人はいません。
誰だって永遠の現在進行形の老いの真っ只中なのです。
高齢者であっても本人はずーっと老いを意識している訳ではありません。
現役スポーツ選手ですら20代で老い、衰えを感じる。
それを嘆けば負になる。
老いは当然の流れ。
老いて生きながらも、それが苦にならない時だってあります。
何歳になっても、老いの中にあっても老いの不都合を忘れている時は老いであっても何でもない。イチイチ気にしたり拾い上げたり、反発しないでいられる時のことです。
アンチエイジング、アンチエイジングみたいな言葉を作った人は、ある種、人を不幸人させた人とも言えます。アンチ(反発)しなくたっていいのです。
ああいう言葉は、老いを悪いものをさせる。
誰もが、たった今も自分の年齢を忘れていながらも、自分の年齢の真っ只中。
老いを重ねたお母さんだって本人が気にしている訳でもないでしょう。
あなたが老いたお母さんを心配のあまり、言葉は不適切ですが、過干渉、過剰反応しているだけとも言える部分があるはずです。
家族で最後に触れあえる貴重な時間と捉えることです。
一緒に居られるのもそう長くはないはずでしょう。
親の荷物は少しづつお金を貯めて専門の業者さんの安い所にお願いすることです。
その費用を兄弟関係をより良くするために一緒に出しあおうよと提案してみることです。
兄弟間というものは、ただ善意でやったことも理解されないと悲しい、善意でやったことが悪意でとらえられると苦しいものです。
私は家族からの出離、出家を勧めるものです。
家とは、どこの家で生まれようと思わず、その家に生まれます。
その家独自のルールは他の人さまの家では通用しない独自ルール。
家族間同士もっとお互いが独立自立、お互いの尊厳を認め合うことです。

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おきもち

お悩み相談08020659278
今月の法話 文殊の剣 ❝己がそのものを観ていながらそこに余計な色や思いをつけたさぬその己の様子を「こそ」見届けてみてください。❞(本文より) 「大丈夫、慧の剣を取る。」 大いなる菩薩や老師は智慧の剣を取って、人の迷いの見解を断ち切り真実の姿をみせてくださいます。 智慧の剣とは人間の自我、我見の無いこころからなる、無垢で清らかなる「事実の様子」「本来の様相」を見極める力ともいえましょう。 それこそが智慧の剣なのです。 文殊とは自己を鎮め得た者の姿。 人間の内なる思慮分別の猛獣を修め得て、その上に鎮座する姿。 事実を事実のとおりに見るということは、余分なものがないということです。 そこに現れる余分な見解というものを断ち切った姿。 そもそも、もともと一切の事象、事実というものには余分なものはありません。 とは言えども、それでも人は人の習癖・習慣的に物事に思いをつけたす。 いまや「写真で一言」という要らぬ添え物をするバラエティ文化もあるぐらいですから、ものを本当にそのままに受け取るということをしない。 文殊様の持つ剣、智慧の剣というものは、そういう人間の考えを断ち切る働きを象徴したものです。 その文殊の剣とはなにか? お見せしましょう。 いま、そこで、みているもの、きこえていること。 たとえ文字文言を観るにしても、そのものとして映し出されているという姿がありましょう。 文字として見えているだけで意味を持たせてもいない、読み取ってもいないままの、ただの文字の羅列のような景色としてみている時には、文字であっても意味が生じません。 本当にみるということはそこに安住しています。他方に向かわない。蛇足ごとが起こらない。 見届けるという言葉の方が適しているかもしれませんね。 ❝己がそのものを観ていながらそこに余計な色や思いをつけたさぬその己の様子を「こそ」見届けてみてください。❞それはものの方を見るというよりはそれを見ている己を見つめる姿ともいえましょう。 そういうご自身のハタラキ・功徳に気づく眼を持つことです。 あなたの手にはすでに文殊の剣がありますよ。用いることがないのはもったいないことですね。

老いからは逃れられません。

ももさん
私の祖母は六年前に亡くなりました。
祖母の晩年は、認知症等諸々あって
家の中が何か騒然としていたのを覚えております。
両親は介護に努め、心身ともに疲弊していたと思います。
果たしてこの状況は何時までつづくのだろうかと
思っていた矢先に祖母はなくなり平穏が訪れました。

祖母が亡くなることで平穏が訪れたこと
また、ちゃんとした関係性を祖母と構築出来なかったことが
私の中で課題になっております。

そして、その後2、3年の間に
両親は相次いで入院や手術等をして
両親も老いて、そして亡くなっていくのだなと体感しました。

老いというのは、徐々にすすみながら、
症状としては突然現れるものではないかと感じています。
老いからくる症状は病気と違って治るということがなく
今日という日が最良で、日が過ぎれば過ぎるほど
どんどん動けなくなっていくことなのだと思います。
そして、私を含めた全ての人間が老いからは逃れられません。
それが人間の身の事実なのでしょう。

思い出された文章があったので紹介します。

母懐胎しをはりて十月を経るまで、行住坐臥につねに苦悩を生ず。 また産の時の死の難を憂ふ。 もし生じをはりぬれば、三年を経るまでつねに屎に眠り尿に臥す。 床被・衣服みなまた不浄なり。 その長大に及びて婦を愛し児を親しみて、父母の処においてかへりて憎疾を生じ、恩孝を行ぜざるものはすなはち畜生と異なることなし。「観経疏」

私訳 母親というものは懐胎してから、十月は、大きいお腹を抱えて、何をするにも大変な思いをする。そして産まれるに当たっては、母子共に無事である保証はない。
また生まれてから三年間は、オムツをかえてもらい、寝床や服を清潔にしてもらう等、全面的に助けてもらわなければ人間として育つことは出来ない。
しかし、子どもは成長するとパートナーや、自分の子どもを愛するようになり、父母をかえって憎むようになる。恩を感じず、孝行出来ないようであればそれは人間とはいえない。

親子というのは、愛憎の歴史なのかもしれません。
親に育ててもらったのだから、恩返しせよということではなく
育ててもらったことを忘れ、親を厄介者扱いしている。争いの種にしている。
人間の罪深さ、悲しさを明らかにしているのだと思います。
その時私は何をすべきなのか、その事が問われているのだと思います。

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