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綺麗事が蔓延して窮屈な社会になりつつある気がします

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綺麗事だらけで窮屈な社会になりつつある、と私は思います。
お坊さんは、どのように考え、お感じになられますか?

私がそう考えるようになったのは、先日、起こった新幹線殺傷事件がきっかけです。
己の憂さを晴らすために、無関係な方々を殺傷した犯行は到底、許されるものではありません。
ですが、犯人の境遇については同情できるものがあると思います。
生活が逼迫し誰にも助けを求めることができず、自殺するか、殺人を起こすか、といった究極の選択まで追い詰められてしまうのは、とても他人事に思えません。
運よく恵まれた人生を生きている人々は、そんな境遇にいる人がいるなんて想像もできないのでしょう。
「甘えている。」「落伍者は、こういう凶悪犯罪を起こしうるから処分すべきだ。」と綺麗事を並べ立てています。

社会に当たり前のように存在している儒教的な価値観が、不遇な人間の精神をより追い詰めてしまう側面はあるのではないでしょうか。


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お坊さんからの回答 3件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

私の出る幕ではない…という生き方

私は最近ニュースをあまり見ません。全くというわけではありませんけどね。日体大でウンヌンあったことは知っていますが、会見は少しも見ていないくらいの感じです。
お釈迦さまはニュースをチェックしなさいとは一言もおっしゃっていませんし、別に不都合は感じません。むしろ世間のことに関心を向けず、自分のことの専念することが仏道です。

逆に、ニュースをマメにチェックしていると、色んな事件や出来事についてコメントしたくなります。そのコメントが溢れ溢れて氾濫している世の中だから、窮屈な社会なのではないでしょうか?
実際、仏教の戒にはこのようなものがあります。「不説過戒」(ふせっかかい)、他人の過(とが)を説かざるの戒です。他人の過ちや欠点について語ってはいけません…と。

たかだか数分や数ページにまとめられた、それもどれだけ中立の立場でまとめられているか分からないニュースを繰り返し観ただけで、物事の因果関係を知った気になって叩いたり同情したり…それこそが綺麗事なのだろうと私は思います。

本当に親身になって関わっている人とのことって、何日かけて聴いても、何年一緒にいても、アッチを立てればコッチが立たないものではありませんか?

現代人は息を吐くように白黒付けようとしたり、付けられたり、手の届かないくらい遠くにいる人のことにコメントしたり、されたりすることに疲れて切ってしまっています。

反対意見の多くもあるでしょうが、私はこう思います。もっと自分の手の届く範囲で小さく生きてみませんか?

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有り難し
おきもち

曹洞宗副住職。タイ系上座部仏教短期出家(捨戒済み)。仮面系お坊さんYouT...
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拝読させて頂きました。
あなたがおっしゃる通りこの間の殺傷事件を犯した方は深い罪を犯した方であるとともにそこに至るまでには沢山傷つけられて追い込まれて辛い思いを抱えてしまったのかもしれません。
ですから被害を受けたきたのかもしれません。
今の世はそのような多くの被害を受けて沢山傷つけられていらっしゃるような世の中であると切に思います。
人がお互いが互いを罵り揚げ足を取り蔑みあうような世の中や人を人とも思わずに切り捨てていくような世の中は正直なところ愚かな貧しい世の中であると思います。そしてそのような世の中では決して人は生きていくことはできなくなるでしょう。行き着くところ誰一人として勝者はいなくなります。誰一人として幸せには生きられなくなってしまいます。
これは他人事ではないですからね。

人それぞれに沢山与えられ恵まれた生命であり大切な人生ですから、それを共に尊重しあいお互いに助け合い喜びや楽しみや悲しみを分かち合うことができるから生きることができると思いますからね。

改めて自分を大切にすると共に他者を大切にすることを決して忘れないように、全ても人々やものごとが決して取り残されたり見捨てられたりせずに救われて、豊かに円満に生き抜いていかれるようにと切に思います。

私個人の考えですけれどもそれには仏様のみ教えはやはり素晴らしい有り難き善い教えだと思います。
そして仏様は全ての人々やものごとを必ずお救いなさって下さいます。

私はあなたがこれからの人生を自分も他者も大切になさるながら共に助け合い、善き教えにめぐり合い善き行いをなさり心豊かに生き抜いていかれますようにと切に神仏にお祈りさせて頂きます。

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おきもち

Kousyo Kuuyo Azuma
脱サラして10年が経ちました。栃木県佐野市の一向寺に勤めています。(佐野ラ...
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悪人罪人を慈しむのが仏教精神

悪人や罪人を慈しむ慈悲の心が、仏教の精神です。
慈悲の心は、怒らない心でもあります。
簡単なことではありませんね。
綺麗ごとを言う人々に対しても怒ってはいけないのですから。

悪人や罪人をやっつける正義の見方にも、怒りの煩悩やプライドの煩悩があります。
煩悩がある以上、正義の見方であっても悪の心をもっているのです。
つまりは、悪人が悪人を悪の心で断罪している。
「おたがいさま」ですね。

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有り難し
おきもち

がんよじょうし。浄土宗教師。「○誉」は浄土宗の戒名に特有の「誉号」です。四...
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温かい気持ちになるお坊さん説法まとめ