昔の恋人が亡くなり、気持ちの整理がつきません。
昔の恋人が亡くなりました。彼は一年以上前から闘病生活を送っていたそうですが、その間、私は何も知らずに過ごして参りました。
恋人とは6年前に3ヶ月程しかお付き合いできませんでしたが、私の理想通りの素敵な方でした。
お別れしてからも何度か会いましたが、私の至らない態度が恋人を不快にさせてしまい、最後に送った3年前のメールは返事をもらえませんでした。
現在は新しい恋人と出会えて幸せですが、昔の恋人にもう一度だけ会いたいと毎日思っておりました。同時に、願っていればいつか会えるとも思っておりました。
ところが、昨日亡くなったという報せを聞き、もう会えないと思うと心が乱れてどうして良いのか分からなくなります。
泣いて心を落ち着かせようとしましたが、体の底から泣くことができません。
どうすれば昔の恋人の安らかな眠りをお祈りする心になれますか、お導き下さい。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
誰も自分のものではない
「恋、それは好きという名の下に相手を我がものとしようとする感情がはたらくものであり、尊いものとなすべきにはあらず。それは秘して抑制すべき欲の一種である。」
結論:今夜一人静かに手を合わせ、それ以上求めようとしない。
これは秘するべき事です。つらいでしょうが、あなたの出番でもあなたの舞台でも、また彼はあなたの所有物でもない。
一度別れたからには、けじめを持つ、思い「斬り」をいたしましょう。今夜中に、です。
自分を知り、人間の恋愛の限界を悟り、今の愛すべき人を愛すべきでしょう。
愛する、とは「愛を注ぐ」ということです。
貴女の元彼は亡くなった、というまぎれもない真実。そして既に別れていたのですから、もう愛の注ぎ先はありません。仮に今の彼にその事をそのまま伝えれば、それはそれで彼もいい顔はしていても、内心、あなたが想っていた相手が自分ではなく死んでしまった相手であるという事に敗北感や嫉妬、解決できない思いを抱くかもしれません。彼にとっては❝失礼❞な話です。いまや時代は、恋の歌、恋の歌、恋の歌。
表向きはきらびやかで男女の奏でるハーモニーですから肯定されるべきものですが、あえて別視点で冷静にものを観ましょう。
あなたは6年前に別れて現在、他の異性と付き合っていながらも心は未練と、浮気です。
相手が亡くなってしまったから、ということであっても、自分がしていることの実質を見極めるべきです。
気持ちの❝整理❞はいりません。
あなたはただ、手を引くべき、分をわきまえる。それだけでいい。
手離して自由にして差し上げる事も愛です。
別れたからには「別れた」ということに自分に責任とけじめを持つ。
相手を想う気持ちがあっても、その彼には最後には彼が愛した人がいるはずです。
いくら愛しても、愛せ尽くせないのがこの世の愛なのですから、あなたは今の彼に愛情、敬う気持ち、大切にする気持ちを液体のように注ぎ続ける事で、あなたが本当に愛すべき人が誰なのか、目が覚めると思います。
あえて、冷たい事を言いました。あなたの情愛を断ち切る不動明王の剣です。失礼しました。
ー御礼を頂いてー
厳しい事を言ってもごめんなさいね。
情愛の念の断ち切り難いことは当方も承知しておりますのであえて申し上げました。こちらも辛かったですが。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
お泣きなさい感謝の念を込めて
あなたは、亡くなった昔の恋人の事が本当に好きだったのですね。
亡くなられる事で、その気持ちが明るみに出たのかもしれませんね。
心に嘘はつけません。
あなたの心の中で大きな存在であったのだと思います。
思い出もいろいろとあるやもしれません。
今の自分を形作る大きな要素でもあった事でしょう。
今までのその方に関する思いを感謝に変えて涙で流して行きましょう。
出会ってくれてありがとう。
思い出をありがとう。
上手く行かなかった事も全てを含めてありがとう。
…こんな感じに…。
あなたの中にある彼の面影を感謝と涙で送り出しましょう。
今まであなたが出来なかった、彼からの本当の卒業です。
そして、その事が彼の魂にとっても良い事であると思います。
一本の道
さふささま
なごみ庵の浦上哲也と申します、よろしくお願いします。
以前の恋人がお亡くなりになったとのこと。非常にお早いご逝去だったと思いますし、それだけに彼のご家族、友人知人に大きな衝撃を与えたでしょう。
そして短くはあっても特別な関係であったさふささんも、気持ちの整理がつかないほどのショックを受けられたのですね。
数日が経ち、またお通夜ご葬儀なども済まれた頃でしょうか。無事、お参りには行くことが出来ましたか? この世でのお別れをすることは出来ましたでしょうか。
「もう一度会いたい、いつか会える」という言葉が少し気になりました。でも、「新しい恋人と出会えて幸せです」とも書かれていましたので、それは「自分も幸せ、昔の恋人も幸せであって欲しい」という前向きな気持ちだと受け止めておきます。
しかし昔の彼は亡くなってしまった。もう、幸せだと伝えあうことは出来なくなってしまった。そこが辛さの芯なのではないでしょうか。
私は、大切な人を亡くして、短い期間で落ち着かなくても良いのではないか、吹っ切らなくても良いのではないか、と思うのです。
親や兄弟、親友や恋人。数ヶ月、あるいは数年、数十年と過ごしてきた歴史があるのです。その歴史から生まれる悲しみを、短い期間で無理に乗り越える必要はないと思います。
「悼む期間」を大切にして下さい。まっすぐに嘆き悲しむことが、それを乗り越えるための一本の道です。どうぞゆっくりと、その道を歩んで下さい。
俱会一処
さふささん、こころの奥で密かにずっと想っていた方が亡くなった!
少なからず衝撃があったようですね。
でも、今の彼をちゃんと見つめてあげましょう。
思い出は思い出として、こころの引き出しにしまう!
昔、新婚早々に旦那さんが急死するという葬儀を行ったことがあります。
奥さんの悲嘆はそれは大きなもので、火葬場で炉に入れるとき、そして収骨のとき、かなりの混乱がありました。骨壺の白い骨の一番上には結婚指輪が・・・
でも数年後彼女は再婚し、今では幸せに暮らしています。
今の彼が、今のさふささんの最高のパートナーではないのですか?
ちゃんと前を向きましょう。
仏教には「俱会一処」という言葉がありますが、今生を終えた方ともまた一処にあう時がくるでしょう。そのためにも「今」を大切に生きて下さい。過去に縛られてダメです!
ご縁
さふさ様
川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えでございます。
ご質問から一ヶ月ほどが経ってしまいましたが、少しは心落ち着かれて亡き方のご供養をなさられることができましたでしょうか・・
愛別離苦のお苦しみ・・亡くなられました方との生前の善きご縁、そのご縁が誠に尊くかけがえのない有り難いものでありましたら、尚更に別れはつらいものでございます・・
愛別離苦につきましては、これまでにも下記の各問いにて扱わせて頂いて参りました。
http://blog.livedoor.jp/hasunoha_kawaguchi/tag/愛別離苦
最近では下記の問いにて扱わせて頂いております。
問い「気持ちの保ち方」
http://blog.livedoor.jp/hasunoha_kawaguchi/archives/1003585431.html
「・・時間がまだまだどうしても掛かることかとは存じますが、悲しみを無理して我慢せずに一つ一つ出されていくことで、感情を整理されていかれることと、ゆっくりとでも・・死の現実を受け入れながら、その苦しみとも真正面から向き合って頂きつつ、釈尊のお説きになられた苦しみを滅するための方法論への関心を起こして頂けましたら有り難くに存じております。・・」
誠に、出会いも別れもご縁、生も死もご縁、このようにご質問頂けるのもお答えさせて頂けるのもご縁・・この縁にて成り立っていることを仏教では「縁起」と申しますが、縁起なる世界であることを理解するとともに、縁起なる世界では、何一つとして永久永遠なるものはなく、実体として成り立っているものでもないという「空」であることを理解し、それがゆえにも、尚一層に尊く有り難いご縁、善きご縁を大切に、それこそ今の恋人とのご縁も大切にしながら、ご縁の世界をこれからもお過ごし頂けましたらと存じます。それがまた亡き方へのご供養にも繋がるのではないかと存じております。
お幸せを祈念申し上げます。
川口英俊 合掌
質問者からのお礼
悟東あすか様
お忙しい中、私の質問にお答え戴きありがとうございます。
「彼からの本当の卒業」というお言葉にハッとしました。
仰る様に、「ありがとう」という気持ちで彼との思い出を一つずつ感謝したところ、本当の意味で泣くことができました。
お葬式では、彼の魂に感謝を伝えてお別れしようと思います。
お導きありがとうございます。
丹下覚元様
お忙しい中を、私の質問にお時間を割いて戴きありがとうございます。
「けじめをつける」、「分をわきまえる」。
今の私が一番にすべきことを忘れ、自分が悲劇のヒロインになっておりました。
また、彼を愛していたのではなく、単に恋していたのだということも分かりました。
己のしていることが浮気であるということ、今一緒にいてくれる彼氏に対して酷いことをしている自覚がありませんでした。
これからは今の彼氏に精一杯の愛を注ぎます。
お言葉、少しも冷たく感じませんでした。迷いを断ち切って戴き、ありがとうございます。
大熊範隆様
お忙しい中、質問に答えて戴きありがとうございます。
私にとって最高のパートナーである今の彼氏と過ごす「今」、その幸せな「今」を見失っていました。
私は過去に縛られやすい性質で、「今」をキチンと見ていなかったので、「過去に縛られてはダメ」というお言葉に気付かされました。
思い出は引き出しにしまいます。
あの世で亡くなった彼に巡り合った時、いい人生を最高のパートナーと送ってきたよと言える様に、今の彼氏と幸せな時間を沢山過ごします。
前を向くように導いて下さり、ありがとうございます。
浦上哲也様
お忙しい中を、私の質問に目を留めて戴きありがとうございます。
今日、お葬式があり、参列することができました。
彼のお顔を拝むこともでき、「さようなら」と言うこともできました。
>昔の彼は亡くなってしまった。もう、幸せだと伝えあうことは出来なくなってしまった。そこが辛さの芯なのではないでしょうか。
まさに仰る通りです。彼は私より年下ではありましたが、心底から尊敬している方で、お付き合いできるだけでも私にとっては奇跡のようでした。
だから、彼に相応しい素晴らしい女性と出会って、幸せな毎日を過ごしていればいいと思っておりました。
同時に、もう一度会ってじっくり話すことができれば、お互い幸せで良かったと言い合えたらどんなにいいかと思っておりました。
それができなくなり、苦しいです。辛いです。
けれども、浦上様や他のお坊様方のお導きによって、彼を本当の意味で悼むことができそうです。
ありがとうございます。