お盆の墓参りを7月から8月に変更すること
東京で生まれ、暮らしてきました。菩提寺は曾祖父以来、23区内の浄土宗のお寺です。母が亡くなって以来、命日やお彼岸、お盆にはお墓参りを欠かさないようにして三十年以上過ごしてきました。
今年のお盆は、結婚した娘夫婦を墓参りに誘ったところ、7月は都合がつかないとのことでした。8月の旧盆の時期であれば、家族の都合がつきそうです。しかし、さして信心深いわけでもないのに、長年の習慣を変えて8月に墓参りすることに多少の抵抗があります。これまで親戚も皆、当たり前のように7月に墓参りをしてきました。お寺のお盆の行事も、やはり7月です。ただ、そうした行事が気になるわけではありません。
お墓参りはいつでもよいといった話は聞きますので、8月に新しい家族ともども墓参りをするのがよいのだろうと思いつつ、やもやした気分が残っています。普段は、割り切って生きているほうだと思いますが、割り切れない自分が不思議です。
おそらく東京でも8月にお墓参りする人が少なからずおられると思いますし、そうした実態を知らないからスッキリしないのだろうと思っています。
なにかアドバイスを頂戴できますと幸いです。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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そもそも何が盆参りのもとなのでしょう
東京は七月盆ですから、ずっと東京で生きておいでになった人が八月盆に違和感を持たれるれるのは当然でしょう。日本の多くの地域では逆に八月盆なので、東京の話をしますと、「へーっ」という反応が多いです。
さて、七月盆の由来ですが、インドにおける雨季の三か月間はお坊さんたちが僧院(お寺、精舎)に籠って学習をなさる期間の最終日が七月十五日だからです。この日に目連尊者というお釈迦さまのお弟子さんがお坊様がたや教団に供養をなさったために目連尊者のお母さんが餓鬼の苦しみから救われた、ということがもとになっています。
ただここでいう七月は月の満ち欠けによる太陰暦ですから、現在の暦とは違ってきます。古文の授業で、一月から三月が春……、と習いましたよね。今の感覚としては八月に近いのが昔の七月ということになります。なにしろ昔の七月は秋なんですから。
私は浄土真宗の僧侶なんですが、私の宗派でもっとも大切にお勤めするのは報恩講という法要です。親鸞聖人という開祖のご命日の法要です。東本願寺は十一月二十八日の旧暦ご命日を大切にお勤めになります。私たち西本願寺はこれを新暦に改めて一月十六日をご命日として報恩講を勤めます。一か月半くらい新暦と旧暦でずれてしまうんです。
こうしたわけですら、七月盆でこれまでお勤めなさって来た習慣自体は大切にされたらよいと思いますが、それほどにこだわる必要はないと思います。
質問者からのお礼
ていねいなご回答を頂戴しまして、ありがとうございます。頭では、理屈が理解できていても、いまひとつ腹落ちしないことが少なくありませんが、お墓参りの件はそうしたことの一つでした。今年だけお参りをひと月ずらす、ただそれだけのことですが、ありがたいご説明で肩の力が抜けた気がします。ご多忙のところ、ご回答いただきまして、重ねてお礼申し上げます。