仕事があることのありがたさをわかちあう
お坊さんにも、日々の仕事を通じて「ありがたい」と感じる瞬間はありますか?
無いわけが無いとは思いますが、ぜひ、教えてください。
私は現在28歳です。公私ともにいろんな社会人と交流する機会が増えているのですが、皆さんとてもしっかりしておられるなぁという印象です。特別なスキルがある、リーダーシップをとれる、深く考えしっかり覚えていられる……引き比べて私がなんとのほほんとしていることか。人に自慢できるスキルもなければリーダーシップもなく、考えが浅く物覚えも悪い。年々ぼけーっとした人間っぷりが増していっています。
でも、そんな私にも仕事があります。月火水木金、やることがあり、それをこなせば、お金がもらえるという事実。とてもありがたいことです。自分の未熟さ(そしておそらく死ぬまで未熟なのだろうという予感)を知れば知るほど、なんとか生きていかれていることへのありがたみが増していきます。
しかし、このありがたいという気持ちは油断をするとすぐ忘れてしまいます。残業が増えたり、インシデントが起きるとチリのように吹き飛んでしまうでしょう。また、顔見知りの友人たちとわざわざ口にしあうというのも気恥ずかしく。勝手ながらお坊さんの皆さまが普段感じておられる感謝の気持ちを伺い、これから人様のために働き続けるための糧とさせていただきたいのです。わがままを申して恐縮ですが、ご回答をいただけますと幸いです。
言い訳・ウソばかりつく 自分に自信がない うすっぺらい・浅はか 頭の回転が遅い
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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小さく感謝
こんばんは。私が心がけているのは、「小さなことに、小さく感謝」です。トイレットペーパーを、家族の誰かが変えてくれていた。掃除をしたら、誰かが気づいてくれた。デスクの後ろを通ろうとしたら、軽く椅子を引いてくれて通りやすかった。法要をしたら、ありがとうと言われた。朝すんなり起きられた。
つまり、普通の日々が、普通として成り立っている事に、それを誰かが作り出してくれていることに気づいたら、感謝の気持ちがおきます。 これ、現代にあっては難しいかも知れません。何となれば、家の中ででもスマホを見ながら生活している人もいるのですから。一日中小さな画面ばかり見ていたら、そんな事など気づかないかも知れませんからね。
その代わり、一つ一つをいつまでもジーンと味わっているわけではありません。それだけ沢山の、感謝のネタが次から次へとやってくるのですから。
もちろん私だって、仕事が立て込んでくればイライラしますよ。そんな時は「ごめん、私いまイライラしてるから」と、少し放っておいてもらいます。仕事が終われば戻ります。
気持ちは、環境によって本当にコロコロと変わります。「感謝を持ち続ける」のは美しいことと思いますが、私は波があって良いと考えています。フラットに構えている方が、起きたことに柔軟に対応できてストレスも少ないように感じますよ。
質問者からのお礼
佐藤良文さま
ご返信をありがとうございます。
また、お礼が遅くなり失礼をいたしました。
お言葉を踏まえて自分の生活を見渡せばまさしく仰る通り、顔も知らない誰かのおかげで普通の日々が成り立っていると実感しました。感謝のタネを見過ごさないよう日々を過ごしたいものです。
また、波があって良い、と言ってくださったこともとてもありがたいです。感謝の気持ち、イライラする気持ち、両方を自覚しながらフラットになるようバランスをとっていくという発想はあまりありませんでした。
感謝のタネばかり見つけに行くと、自分が感謝されないことへの不満なんかもたまってしまいそうなものですよね……
感謝の気持ちを大事にしつつ心をフラットにすることもこれから心がけてまいりたいと思います。