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お言葉求む!新しい生き方を探したい回答受付中

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お世話になっております。
今後の働き方、生き方を変えたいと思っているのですが、僧侶の皆様のご意見を参考にしたいと思い、投稿します。

現在、大学の非常勤講師として複数の大学を掛け持ちしています。
私は大卒後、会社で働いたり、無職になったりと、紆余曲折あった末に、自分の生きる場所はアカデミックな世界が合っていると思い至り、大学院に入り、今こうして大学で教えるまでになりました。来年40ですが、このまま研究を頑張りながら、いつか大学教授になりたいと思って、ここまで頑張ってきました。

しかし最近になって、大学だけが自分の生きる世界ではないのでは、と感じ始めました。最近の大学が、豊かな学問を通して学生を育てる場というよりは、数字で学生を評価するために必死で、ある種の管理社会になっており、息苦しく、不毛な気持ちになることが多いからです。

また、私の研究分野が、ほぼ開拓し尽くされており、重箱の隅をつつくような研究しかなく、クリエイティブな研究は、むしろ敬遠されるという現状に絶望してるというのもあります。

大学に教員として就職したら、経済的には安定するでしょうが、たぶん自分は何かを犠牲にするだろうと思います。ですので目下は、非常勤を続けながら、大学以外でも活躍できて収入につながりそうな仕事を地道に開拓していこうと思い、すでに行動は開始しています。

大学で働くだけがすべてだと思っていた自分にとって、新しい生き方を模索しようという今の状態は、かなり宙ぶらりんで、ここまで見守ってくれた家族への罪悪感もあります。また、この歳になってバカじゃない、と思う自分もいます。また、職業をひとつに絞れないことへの不安もあります。ですので、こんな私に、なんでもいいので、お言葉をいただけると、とても嬉しいです。

ここまでお読みいただいて、私に欠けている視点や、このように考えてはどうだろう、といった助言などがあれば、なんでもご回答いただけると本当に助かります。

2024年11月5日 23:21

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お坊さんからの回答 3件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

苦・宿題は無くならない

眼耳鼻舌身意の六根が色声香味触法の六境に接触して刺激や情報を受け取るわけですが、それら全ての感受の本質は苦なのです。
苦は、私達をウズウズさせて何らかの反応を誘います。
つまり、一つの苦痛の中でじっとしているのはストレスなのですね。
ただし、どこに動いても生き物には瞬間ごとに必ず苦があり、不満や悩み苦しみ、それに対処するための宿題が尽きることはありません。
苦・宿題は無くなりはしないのです。ただ、その形が変わってゆくだけです。
息を吸う者には「吐きたい」という苦が生じ、吐いたらまた吸いたくなる。
家に座する者は旅立ちを夢見、旅人は家を恋しがる。
今の職場に苦しみや不満がありますが、他の職場に移ってもそこにも必ず新しい苦しみがあります。
それさえ分かっていれば、あなたはどこに行っても良いのです。
一切の感受は苦であると覚ることは、暗闇は絶望ではないと気づき、どこにでも影があるだけだと受容する救いになるのです。
小学生が毎日新しい宿題を出されてもそれなりに生活を謳歌しているように、大人だって、毎日毎秒の苦と併走しながらもリラックスして生きられたら、お気楽極楽な人生です。
「苦や宿題は無くならない。瞬間ごとに変わってゆくだけ。」

2024年11月6日 4:38
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有り難し
おきもち

がんよじょうし。浄土宗教師。「○誉」は浄土宗の戒名に特有の「誉号」です。四...
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人の道的にもアカデミックなあり方 仏教ではそれを菩提心という

教えること、学ぶということは、鐘と撞木で喩えるならばどっちも「鳴る」こと。どっちもお互いがあっての上でのよき響きを産み出す事が大事だと思います。お互いがより良い方向、上を目指す姿勢。
食材と調理器具で喩えるなら、互いに身を削って、良い風味、味わい、美味しいという素晴らしい状態を生み出すことが大事だと思います。
どっちも美味しくなるためお互いに役に立っている関係です。
変な喩えですが、たわしでおろしがねを掃除する場合、おろしがねもきれいになり、たわしもきれいになります。✨どっちもきれいになる作用が生ずること。切磋琢磨。どっちも互いに良い作用が生まれることがなければ、一方的であろうかと思います。
そこでできる良い作用、良いはたらき、良い功徳。それを産む。
「この上ない導き先=❝菩提心・道心❞を持つ」
現代の仏教業界にも感じることを少々。人が本当に仏になるための教えや活動こそが優先されるべきなのに、違うことが優先されている。
釈尊や祖師、僧侶の本来の役目があるとするならば、それは人をして苦しみから救われる生き方としての教育の提供です。人が仏という安楽で聡明で静寂にして自由な人間性に向かうことがなければ、それはエゴの延長線上の活動でしかありません。人が仏という立派な心理状態、立派な人格者になる事。その確かな導き先を持つ教え。それが王道の布教であり仏教的にも真にアカデミックな教えと言えましょう。
今の仏教界もアカデミックな教えは文字通りの学問、学術的なものが多く、それは人が救われる内容を持った教えとは言えない面があります。人が救われないのにアカデミックと言えましょうか?権威的ではあっても救いがない哀しさ。これはどこの業界にも共通して言えることだと思います。学問とは本来、学問を事務的にこなす人たちの飯のタネとされるものではないはずです。
公立の学校であれば教職員の中で超事務的な教員がいて、型通りのことだけやってそれ以上の努力も不要だから「余計なことをするな」という教員も割と多いものです。それでも教育分野において本当に必要とされる教育とはなにか?と問えば、本当に生徒愛のある教育であり、この上ない導き先をもった教育姿勢であるべきではないでしょうか。
それは家族、家庭でも同じ。ジャンル、職種が異なっても人のやることですから本質は同じ「確かなる導き先」なのです。それを菩提心と言います。

2024年11月6日 8:46
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有り難し
おきもち

しっかりと見つめてみましょう

拝読させて頂きました。
あなたが大学で研究や教えるだけでなく新しい分野を開拓なさっていきたいと思っておられることを読ませて頂きました。
あなたがその様に新しい道を求めていかれることはとても素晴らしいと私は思います。あなたのそのお気持ちを心より受け止めさせて頂きます。
あなたにとって今自分自身のことを見つめ直していく時期にきているのかもしれません。
今までのことそしてこれからの未来をじっくりと見つめながらあなた自身の人生をどう生きていくことがいいのかお考えなさるところまで来たのかもしれませんね。
それはとても尊いことかと思います。今まで毎日をあわただしく生きてきた中でしっかりと振り返り俯瞰してみてもいいかもしれないです。
あわただしく生きているとどうしても毎日のことに追われてなかなか考えることできないですからね。
せっかくの機会ですからあなた自身腰を据えてこれからの生き方を充分ご検討なさってみて下さい。
そしてあなたがどう生きていきたいのか、何を目指して生きていきたいのか、何を生きがいとして大切になさっていきたいのかじっくりとご検討なさり自らご判断なさって下さい。
あなたが自らの未来にしっかりとお向き合いなさり、あなた自身でご判断なさり、あなたが目指す生き方をなさっていかれます様に、あなたが心豊かに充実した人生を歩んでいかれます様に切に祈っております。そしてあなたを心より応援させて頂きます。ぜひがんばって下さいね!

2024年11月6日 7:49
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有り難し
おきもち

Kousyo Kuuyo Azuma
脱サラして10年が経ちました。栃木県佐野市の一向寺に勤めています。(佐野ラ...
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質問者からのお礼

★願誉様
仏教の力を感じさせるお言葉をありがとうございます。
「~した方がいいよ」と言われるよりも、もっと自分を根本から建て直してくれるような、深い知恵をいただいた気がしました。どこに行っても苦しみは影のようにそこにある、ならば、自分はどこに自分らしさを発揮していけるだろうか、と少し考えてみたいと思います。ありがとうございます!

★丹下様
ありがとうございます、まさに私も思っているのですが、本当のアカデミックとは、誰も取り残さない・業績の数やその場しのぎの効率の良さだけでヒトを判断せず、本当に苦しんでいる人の心に寄りそえるような力を身に付ける場であるべきだと思います。今の大学は、それと正反対の場所になってしまっている気がします。かといって、私自身に菩提心があるかといったら、はたしてあるだろうか、と思いました。どんな場所に行くとしても、このような本当のアカデミックを磨くしかないと思いました。ありがとうございます!

★Kousyo様
いつもながら、共感に満ちたお言葉をありがとうございます!いつも慌ただしく頭を動かすばかりで、自分の心が何を感じているかが、置き去りになっていたかもしれないと思いました。今回お答えいただいた皆様の言葉はどれも、言葉遣いは違っても、同じことを言っているような気がしました。ありがとうございます!

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