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母親からの言葉

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有り難し有り難し 10

里帰りで実家にお世話になってる時、実の母親(60代中ごろ)から、普通に育てないと普通の子じゃなくなっちゃうと言われました。
私たち夫婦の育て方に物申したかったようです。他にも違和感のある言葉を投げられました。それからと言うもの、自身の心を守るため距離を取っております。話すことは最低限のやりとりにしています。
私の対応は問題ありますか?母親との関係性が変わったことについて少し戸惑いもあります。

2025年5月19日 19:33

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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

ご相談くださり、ありがとうございます。
とてもデリケートな問題に、真摯に向き合っておられることが伝わってきました。

実の母親との関係が変わることは、どんな方にとっても心に揺さぶりをもたらすものです。

そのうえで、あなたの対応は決して間違っていません。むしろ、とても健全な心の守り方をされていると感じます。

お母さまの言葉は、あなたにとって決して優しい響きではなかったでしょう。まるで「あなたたちの育て方は間違っている」と言われたように聞こえたかもしれません。

ですが、背景には「こう育てるのが当たり前」と信じてきた昭和・平成初期の子育て観や、“愛ゆえの心配”があったのかもしれません。ただし、それが愛であっても、伝え方を間違えば、傷つけになるというのも事実です。

仏教では、「縁」を大切にしますが、同時に「悪縁(心を乱す縁)」を見極め、必要ならば距離を取る智慧もまた大切だと説きます。

心に痛みを感じながらも、「話すのがつらい」「反発してしまいそう」と感じるとき、
あえて沈黙を選ぶことは、関係を守るための“思いやりある決断”です。

それは冷たい態度ではありません。むしろ、大人同士としてのバランスを保とうとする、成熟した選択です。

人生のある時期を境に、「親の言葉が素直に聞けなくなった」「親に干渉されると強い違和感を持つようになった」、これは、自分自身が“親”になったとき、多くの人が経験する変化です。

そしてそれは、自分なりの価値観で家庭を築こうとしているからこそ起きることです。戸惑いを感じるのも当然ですが、それは「親不孝」ではなく、「人生の次のステージに入った合図」なのです。

•無理にわかってもらおうとしない:親には親の信じてきた道があります。違いを認めるだけでいいのです。

•自分の家庭を“優先していい”:親よりも、まずパートナーと子どもとの心の安定が第一です。
•必要なら、小さな思いやりだけを置いていく:挨拶や季節の便りなど、心の負担にならない関わりは、関係の火種を消してくれます。

あなたが感じた痛み、距離を取るという選択、戸惑いながらもバランスを取ろうとしているそのすべてが、家族を大切に思う人の、静かな強さです。

「関係が変わった」ことを悲しまなくても大丈夫。それは、今のあなたに合った新しい距離感を探し始めただけなのです。

2025年5月19日 20:43
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有り難し
おきもち

広島の山あいで、今日も「なんまんだぶつ」とつぶやいています。 浄土真宗本願寺派の僧侶、ケンコウと申します。 日々の中には、言葉にならない思いや、誰にも言えないもやもやがあるものです。 そんな時こそ、仏さまの教えが、ふっと心に灯りをともしてくれることがあります。 この「はすのは」では、あなたの声に耳を傾けながら、一緒に“いま”を見つめ直す時間をつくっていきたいと思っています。 堅苦しくなく、あたたかく、時にゆるく。 どうぞ、あなたのお話、聞かせてくださいね。

大丈夫、それは新しい関係の始まり 親子の「距離」と「尊重」

「普通に育てないと…」という言葉が、ならのすけさんご夫婦の子育てをまるで否定されたかのように感じさせたのですね。お辛かったこととお察しいたします。

詳しいご状況が分からない中での言葉であることをお許しいただきたいのですが、今回の出来事は、ならのすけさんとお母様との関係性が、新しい段階に入ったことを示しているのかもしれませんね。お母様は、お孫さんのことを心から可愛く思い、幸せを願うからこそ、ご自身の経験に基づいた「良かれ」と思う言葉をかけられたのかもしれません。しかし、その「普通」という言葉が、今のならのすけさんご夫婦の子育て観とは異なるものであったり、少し一方的に感じられたりしたのですね。

同時に、ならのすけさんもまた、新しいご家庭を築き、パートナーと共に子育てをしていく中で、独身時代とは違う責任感や、ご自身の家族を守りたいというお気持ちが生まれているはずです。その大切な思いとお母様の言葉との間に、少し溝を感じてしまわれたのかもしれません。

今後、ならのすけさんがお一人でご実家に戻られたり、お電話をされたりする機会があれば、まずはお母さまに今回の里帰りのお礼を伝えつつ、ならのすけさんを育てておられた時の楽しかったことや大変だったこと、大切にしていたことなどを改めてゆっくりと聞いてみてはいかがでしょうか。そこには、ならのすけさんへの深い愛情が込められているはずですし、そのお気持ちに触れることでお母さまに対する感謝の気持ちもまた再び湧いてくるかもしれません。

その上で、良いなと感じる部分は参考にしつつ、少し違うなと感じる部分は、夫婦お二人で話し合い、工夫しながらご自身たちの子育てに取り入れていく。そうした柔軟な姿勢が、お互いを尊重し合う新しい関係性を育んでいくのではないでしょうか。

子育ての方法や価値観は様々であっても、根底にある「子どもへの愛情」や「健やかな成長を願う心」は、お母様もならのすけさんご夫婦も、きっと共通しているはずです。その共通の思いを信じ、焦らず少しずつ、新しい親子の距離感を見つけていってくださいね。
ハスノハ一同、心から応援しています。

2025年5月20日 8:33
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有り難し
おきもち

個別相談可能
1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。実家の西福寺で中高生を主体とする「るんびに太鼓」に所属、演奏・指導経験を通して、「人は、支えられてこそたくましく生きてゆける」と体感。青少年よみがえりの場「短期るんびに苑」にも関わる。   平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。ご法話や講演などをご希望の方は、遠慮無くお声かけください。  グリーフケアアドバイザー1級 発達障害コミュニ ケーション初級指導者 つどい・さんあい運営委員
ご相談時間はご希望をいくつかお知らせくださいね。 ◆「絵本のお坊さん」として、絵本を通じて人生を見つめ直す活動を行っています。◆死別、離婚、退職、不安など、様々な喪失を抱える方のお話に寄り添い、仏道の教えを分かち合いながら心を癒すお手伝いをしています。◆資格:グリーフケアアドバイザー1級、発達障害コミュニケーション初級指導者。

質問者からのお礼

ご回答いただきありがとうございます。

母親に対する自分の態度、それによって抱えている後ろめたさみたいなものが少し軽くなりました。
今の自分の理解が少し進みました。
ありがとうございます。

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