普段どんな小説を読まれていますか?回答受付中
ふと、お坊さんは普段どんな小説を読まれているのかな、と気になりました。
自分はカズオ・イシグロさんの小説が大好きで、よく読んでいます。2017年にノーベル文学賞を受賞された方です。日本に住んでいたのですが父親の仕事の関係で5歳のときに渡英された方で、20代のときにイギリス国籍を取得された作家さんです。
今年11月8日(土)で71歳になられるイシグロさんですが、寡作な作家のため、25歳のときに作家デビューしているのに、きちんとまとまった作品は9作品しかありません。
【全作品一言あらすじ】
①『遠い山なみの光』(A Pale View of Hills, 1982)
戦後長崎時代を回顧するイギリス在住の日本人主人公
②『浮世の画家』(An Artist of the Floating World, 1986)
戦中にプロパガンダに加担した日本画家
③『日の名残り』(The Remains of the Day, 1989)
ある貴族の過ちを老執事が語る
④『充たされざる者』(The Unconsoled, 1995)
世界的ピアニストのドタバタ劇
⑤『わたしたちが孤児だったころ』(When We Were Orphans, 2000)
両親の行方を突き止めるために探偵になった主人公
⑥『わたしを離さないで』(Never Let Me Go, 2005)
特殊な事情を抱えた子供たちの成長譚
⑦『夜想曲集』(Nocturnes, 2009)
音楽と夕暮れをめぐる五つの短編
⑧『忘れられた巨人』(The Buried Giant, 2015)
中世を舞台に息子を探す旅に出る老夫婦
⑨『クララとお日さま』(Klara and the Sun, 2021)
AIロボットと人間との友愛を描く
お坊さんは普段どんな小説を読まれているのか(あるいは、全く読まないのか)、読まれるとしたらそれはどんな作家さんのどんな内容なのかをお教えくださると嬉しいです。
お忙しいところ恐縮ですが、ご回答くださると幸いに思います。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
お坊さんからの回答 2件
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
夕木春央『方舟』
はじめまして。さいきん疲れ気味なのかマンガを読んだりアニメを見たりする時間のほうが圧倒的に多くなっています。それでもなんとか読んでいます。
カズオ・イシグロさんの小説も少し読みます。『私を探さないで』は綾瀬はるかさんでドラマ化されたので買って来て読まずにいたらノーベル賞受賞。読んだことのある作家がノーベル賞を獲った!を逃して残念でした。『遠い山なみの光』『日の名残り』など、もやもやして進んでいく感じが好きです。
ノーベル賞は気にせず村上春樹はずっと読んでいます。いちばん好きなのはたぶん『TVピープル』です。北海道の「美深」に『羊をめぐる冒険』の素材地の仁宇布(にっぷ)というところがあって、たまに行きました。
劉慈欣の『三体』シリーズには圧倒されました。伊藤計劃は『虐殺器官』も『ハーモニー』も大好きです。フィリップKディックも好きです。アーシュラKル=グウィンはSFの『闇の左手』や児童文学になってる『ゲド戦記』が好きです。村上春樹訳『空飛び猫』も良いです。オースン・スコット・カード『エンダーのゲーム』と『死者の代弁者』も好きです。
いや待って。去年やっと読んだ夕木春央『方舟』はものすごい衝撃でした。未読ならぜひ。『占星術殺人事件』『十角館の殺人』『姑獲鳥の夏』『すべてがFになる』あたりの作家がわたし好きですが、あれらに比肩すると思います。
中学生の時に堀辰雄『美しい村』の一節が私立高校の過去問で素材になっていたのを読んで衝撃を受け、そこからわたしのブンガクセイネンとしての歩みが始まってしまいました。スタンダール『赤と黒』パールバック『大地』もすごい。大学生になってやっと堀辰雄つながりのラディゲ『肉体の悪魔』を読みました。衝撃でした。
『成瀬は天下を取りに行く』も好きです。ファンになりました。
ラノベも比較的よく読みます。古いですが『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』をリスペクトしてわたしの電子書籍のタイトルが出来ました。『涼宮ハルヒ』も初期作品は好きです。
吉田修一の『悪人』は映画を見て読みました。素晴らしかった。『国宝』も映画を見ました。小説も読もうと思っています。
『星の王子さま』旧版で読みました。小中高と読んでわかりませんでしたが大学生になってやっと本当の意味で読めました。『アルジャーノンに花束を』とか、とにかく小説って良いですよね!
こんにちは
本を読むのは良いですね。知識や世界が広がります。言葉の力もつきます。
私は最近老眼が進んでしまい、あまり本を読まなくなってしまいました。お勧めのカズオ・イシグロさんの作品は存じ上げなかったので、一度読んでみたいと思いました。
私の好きな小説家は、村上春樹さんですね。独特の文体や世界観が好きです。
三島由紀夫さん、言葉の選び方が的確で、またすっきりした文体で背筋が伸びる気がします。
夏目漱石さん、文章にやや冗長感を感じますが、読んでいておもしろいですね。
遠藤周作さん、キリスト教と仏教の信仰的心理的摩擦みたいなものが描かれており勉強になります。
ほかにも宮本輝さん三浦哲郎さん太宰治さん芥川龍之介さんなど好きで読んでいました。
あなたさまも様々な作品に触れて心を深めることができるといいですね。
質問者からのお礼
光禪さま
お忙しいところご回答くださり、ありがとうございます。
私も村上春樹さんが好きで、長編小説は『街とその不確かな壁』以外すべて読んだことがあります。短編のほうは「沈黙」という『レキシントンの幽霊』所収の作品が好きです(が、村上さんの短編はあまり読んだことがありません)。
そして夏目漱石さんも好きです。『それから』が一番好きです。『坑夫』はその次に好きな作品かもしれません。たしかに冗長な感がありますが、それもまた魅力のひとつなのかもしれない、と思いながら再読したりしています。
太宰治さんは高校生のころに『人間失格』を読んで、衝撃を受けた覚えがあります。桑田佳祐さんが「声に出して歌いたい日本文学」という楽曲で『人間失格』にメロディをつけて歌われていて、さらに好きになった作品です。
芥川龍之介さんは教科書で『蜘蛛の糸』『羅生門』を読んだことがあるくらいです。もっと読んでみたい作品がたくさんある作家さんです。
三島由紀夫さん、遠藤周作さん、宮本輝さん、三浦哲郎さんは国語便覧でそのお名前を拝見したことがあるくらいで、読んだことはありません・・・。「様々な作品に触れて心を深めることができるといい」なと思います。
重ね重ねになりますが、この度はご回答くださり、ありがとうございました。
石田 智秀 (ちしゅー)さま
はじめまして。お忙しい中ご回答くださり、ありがとうございます。
自分の場合、カズオ・イシグロさんの作品を題材に卒業論文を執筆していたところ、イシグロさんがノーベル文学賞を受賞されたので、嬉しい反面、すごくミーハーみたいになり、ちょっとだけ恥ずかしくもありました。そんな懐かしい思い出があります。
村上春樹さんは自分も好きで、長編小説はほとんどすべて読んでいるのですが、短編集は数冊しか読んだことがありません。この機会に『TVピープル』も読んでみたいと思います。『羊をめぐる冒険』の聖地巡礼的な。自分も行ってみたいです。
伊藤計劃さんは『虐殺器官』も『ハーモニー』も読んだことはないのですが、アニメは見たことがあります。アニメ版『ハーモニー』の「言葉には人を殺すことのできる力が宿っているのよ。世界を転覆させることだってできるんだ」という言葉は、小説のほうにも出てくるのかはわかりませんが、たしかにそのとおりだ、と思った記憶があります。
劉慈欣さん「三体」シリーズ、夕木春央さん『方舟』は、ともにTikTokを見ているとオススメ本としてよく流れてくるので、ぜひ読んでみたいと思っていました。とりわけ『方舟』、未読なので読んでみたいと思います。
島田荘司さんと綾辻行人さんが、自分が大学生のとき、とある大学でおふたり揃って講演をするというのを聞いたものの、残念ながら都合が合わず出席できなかったという思い出があります。京極夏彦さんや吉田修一さん、堀辰雄さん、フィリップ・K・ディック、アーシュラ・K・ル=グウィン、オースン・スコット・カード、レーモン・ラディゲ、パール・S・バックの小説は読んだことがなく・・・。森博嗣さんはとある大学の入試を受けたとき、そのエッセイ(新書)から問題文が出題され、試験そっちのけで「これは面白い!」と思い、その数日後にその本を買い求めに本屋に行った思い出があるのですが(もちろん?その大学には落ちました)、残念ながら森さんの小説も読んだことがなく・・・。
私は石田さまほど広く深く読んでいないので、参考になります。スタンダール『赤と黒』は大学生のときに買って積読状態だったのですが、いつのまにか紛失してしまいました。いつかまた買って(今度こそは)読んでみたいと思います。フランス文学は『星の王子さま』くらいしか読んだことがありませんので、石田さまにご回答をいただき、もっともっと知見を広げたいと思わせられました。
自分はB型作業所というところに通所しているのですが、そこの責任者の方が今まで読んできた本が置かれている本棚があり、自由に読んで良いことになっていて、宮島未奈さん『成瀬は天下を取りに行く』やダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』もあり、いつか自分も手にとって読んでみたいと思っています。
ラノベは読んだことがありません・・・。鴨志田一さん「青春ブタ野郎」シリーズや渡航さん「俺ガイル」シリーズはそのアニメが好きでいつか原作を読んでみたいと思っているのですが、なかなか手が出せないでいます。『浄土真宗の信心がこんなにわかりやすいわけがない』、素敵なタイトルですね!
重ね重ねになりますが、ご回答くださり、ありがとうございました。長文のお礼文となってしまい、申し訳ございません。