全くもって駄目です。
最近、宮本武蔵(漫画ではありますが)の沢庵和尚の、天により今までの人生もこれから先も全ては完璧に決まっていて、それ故に全て自由と言う言葉に非常に感銘を受け、自分なりに宇宙の完璧な営みの中の一つであるから生きる事も死ぬ事もなにも恐れることはないと解釈し、何か悟りを得たような心地でいたのですが、知り合いに大きな癌がみつかり、心が嵐のようち荒れ狂ってしまいました。自分には何が起きても平気と思ってたくせに、悟りどころが全く駄目です。
嫌な気分になることは全て煩悩だと思います。
お坊さんからの回答 2件
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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漫画のセリフであり仏教の教えではない
こんにちは。
お友達にがんが見つかったとのこと、心配ですね。あなた様も心が荒れ狂っているとの事です。確かにそのような時は支えになると思っていた言葉があてにならないように感じたり、不安でいっぱいになったりしますね。一緒に考えていきましょう。
あなたさまが、お読みになった漫画の中で、大きな気づきを得たのは良かった事だと思います。大切にしてください。私たちは、何にもとらわれる事のない自由自在な存在であります。
ご質問で、あなた様がお読みになった作品は、井上雄彦による漫画作品で、吉川英治の小説『宮本武蔵』を原作とした「バガボンド」だと思います。セリフもその中で出てきた言葉だと思います。
仏教では、「縁起」(全ての物事はそれぞれ影響しあい存在している)を説いておりこのセリフのような運命論は説いていません。したがってこのセリフは歴史上の沢庵和尚(臨済宗の僧侶 沢庵宗彭)のものではないと思います。今調べてもセリフの出典は「バガボンド」であり、実在の沢庵和尚の言葉としては出てきませんでした。断言はできませんが、このセリフは作者の創作と想像します。あなたさまが何らかの気づきを得たことは良かった事ですが、これは漫画のセリフとして捉え、仏教の悟りの境地としての言葉ではないと心得てください。仏教の言葉でもないし、剣道の心得という訳でもなさそうです。「全くだめだった」などとそこまで落ち込むことはないでしょう。尚歴史上宮本武蔵と臨済宗の僧侶沢庵宗彭和尚とは特に接触はなかったようです。
さて、お友達に大きなガンがみつかりショックを受けているとの事です。友達が病気になって心が乱れるのは当然の事です。これを平然といられたらただの冷たい人です。仏教にも「友達が大きな病気になっても平然としていなさい」などという教えはありません。今の時代ガンは治る病気ですので、回復を祈りましょう。心配し回復を祈る気持ちをできる範囲で相手にお伝えしましょう。
まずは頭で理解するだけで良い
発展途上国では保健衛生の知識が普及しておらず、例えば「水を沸騰させれば殺菌できる」「手を石けんで洗えばかなり除菌できる」という知識がない人々が、下痢で命を落としているそうです。
日本人の多くは、上記の知識があります。
もちろん、知識があっても完全に清潔にはできず、日本人だって食中毒になる場合はあります。
それでも、知っているかいないかで大違い(下痢で死ぬ確率が減る)ですよね。
仏教的な(悟りにつながる)知識も、まずは知っているだけで尊いのです。
苦・集・滅・道の四諦や八正道、無常や無我、慈・悲・喜・捨の四無量心などの仏教的な知識がわずかにでもあれば、そこはすでに悟りに向かう道の上なのです。
もちろん、戒を守ったり瞑想する等の修行をして悟りへの道を進んでいかねば完全な悟りには至りませんが、少なくとも、頭で理解することで間違った道に迷うことはなくなるのです。
また、悩み苦しみの原因である煩悩も、修行していきなり全てが消えるわけではなく、悟りにも段階(煩悩が消えていくステップ)があるそうです。
ですから、煩悩や妄想雑念で動揺することはあっても仕方ない、それでも正しい教えをまずは頭で理解するだけでも尊いことだと思って、安心してください。
そして、瞬間瞬間に浮かんでは消えていく思考や感情を、ひと息ついて眺めてみれば、「たまに心が下痢になるけど毎日ではない」ことの幸せに気付くかもしれませんね。
質問者からのお礼
願誉浄史様、光禪様、
大変に御丁寧な回答を頂き恐縮しております。どうもありがとうございました。
自分は気分の浮き沈みが激しいので、安定した心を保とうと(わかりやすい)仏教の本などを読んだりしておりますが、この感じかと思った矢先にすぐ心が乱れてしまう繰り返しです。
漫画の言葉など引用して申し訳ありませんでした。YouTubeなどにも心を安定させるお釈迦さまの言葉なとありますが、本当にお釈迦さまがこんな事言ったのかなと思う事もたくさんあり、それが仏教の教えではない事もあると肝に命じます。



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