お釈迦様が亡くなられたときのこと回答受付中
お釈迦様が亡くなられたとき、四方に2本ずつ沙羅樹のある場所に北に頭を向けて横たわっておられたと聞きました。
一本ずつ枯れて、残った一本が満開となり、東西と南北で二本がひとつになり、双樹となった。この意味を教えてください。
お坊さんからの回答 1件
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ご質問ありがとうございます。
お釈迦さまのご入滅(亡くなられたとき)の場面に登場する沙羅双樹(さらそうじゅ)は、仏教において非常に象徴的な意味を持っています。
お釈迦さまは80歳で入滅(にゅうめつ)、すなわち亡くなられたとき、クシナガラ(現在のインド北部)にて、沙羅双樹の下で北に頭を向け、右脇を下にして静かに横たわられました。
そのとき、四方に2本ずつ、合計8本の沙羅樹が生えていたといわれます。
そして
•一方の木は葉がすべて枯れ、まるで世界が悲しんでいるかのような姿になった
•一方の木は真っ白な花を咲かせ、仏の入滅を荘厳に送り出すかのように満開となった
そして、2本の木が寄り添うように対になった「双樹(そうじゅ)」となった。これが「沙羅双樹」の由来です。
この現象が象徴する意味
1. 「無常」の象徴
沙羅双樹の一方が枯れ、もう一方が花開く姿は、まさに仏教の根本教理である「諸行無常」を体現しています。
人の生も、死も、栄えも、衰えも、同時に存在している。枯れる木と咲く木「生と死は表裏一体で、一つの流れの中にある」という教えです。
2. 「悲しみと荘厳さ」が共にあるということ
枯れた木は、弟子や世界の悲しみを象徴し、満開の花は、仏の入滅という厳かな儀式と、悟りを完成させた尊い旅路の終わりを表しています。
つまり、
「仏の死」は終わりではなく、成就であり、祝福でもあるという、二重の意味があるのです。
3. 「双樹」として現れたことの意味
ニ本の木が対になって現れたことは、「相対するものが共にあるからこそ、世界が成り立っている」という仏教の“縁起”の教えを象徴します。
•生と死
•苦と楽
•愛と別れ
•光と影
それらは常に「ひとつ」である。片方だけでは世界は成り立たず、両方あって、仏の教えが深まるということです。
お釈迦さまが亡くなられる場面で自然界が示したこの現象は、「すべては移ろいゆく。けれど、その無常にこそ、真実がある」という、仏教のメッセージです。
そして同時に、たとえ肉体が滅びても、その教え(法)は永遠で、後に続く者の中で花開いていく沙羅双樹の花は、そのことを静かに伝えてくれているのでないかと思います。