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割り切って生きてもいいのでしょうか

回答数回答 3
有り難し有り難し 17

過去に自分が傷つけられたこと、逆に人を傷つけてしまったこと。傷つけられて過呼吸になるくらい泣いて悲しんだし、人を傷つけてしまった事実に食事を吐くほど悔やみました。

どうすれば良かったのかな、何がいけなかったのかな。グルグルずっと考えて生き着いた先が「しょうがない」でした。ある人が、理不尽なことをされたときどう対処するか聞かれていて「しょうがない、と言ってそれで終わらせる。引きずらない」と言っていました。

過去にあったことがフラッシュバックしたら、「しょうがない」と実践するとすぐに落ち着くようになりました。自分が傷つけられたことをしょうがない、と思うようになると、逆に自分が傷つけてしまったこともしょうがない、と思えるようになりました。何度責任の所在を考えてもどちらにも悪いところがあったし、相手も自分も責め続けて苦しむより、どちらも許した方が健全で生きやすいと思いました。

でも、本当にそれでいいのか…?と不安になります。
「自分はこんなにラクに生きていてはいけない。自分はまだ苦しみが足りてないのでは。自分はもっと裁かれるべき人間のはずだ。私はそれくらい酷いことをしたんだ。」
そう思うと自分にも相手にも平等に接していた天秤がグラグラ傾いて、
「相手を許してしまっていいのか。だって私を傷つけたんだ。許してしまったら自分が付けられた傷がなかったことになってしまうのではないか。私に傷つけられてもおかしくないくらい相手も私に酷いことをしたんだ。」
と、また相手を恨んでしまうループにハマってしまいます。
特に好きなことをしている時によくこの考えが出るので、好きなことをしてても苦しくなってきます。

どんなことも「しょうがない」と割り切って、人にも自分にも優しくなりたいのですが、まだまだ難しいです。
本当に、相手のことも自分のことも許して、割り切って生きてもいいのでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。ご回答いただけたら幸いです。

2025年9月18日 0:18

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お坊さんからの回答 3件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

許すことと「しょうがない」の智慧

ご相談を読ませていただきました。とても深くご自身と向き合い、苦しみや罪悪感をどう扱えばよいかを探し続けておられること、その誠実さに頭が下がります。

「しょうがない」の意味
仏教でも「あるがままを受け入れる」態度は大切にされます。出来事が起きた後に、どれほど悔やんでも時間を巻き戻すことはできません。過去を握りしめ続けると、心は燃え続ける火に油を注ぎます。「しょうがない」とは、ただ諦めることではなく、「それはもう変えられない事実」と認め、次の一歩を進むための区切りの言葉でもあるのです。

許すことは「なかったこと」にするのではない
「許す」というのは、傷や出来事を消すことではありません。消そうとすると「なかったことにしていいのか」という葛藤が起きます。許すとは、「その出来事を抱えながらも、自分の心を苦しみに縛られないようにする」ことです。傷は消えなくても、その痛みに心を支配されなくなる道があります。

苦しみを「学び」に変える
仏教では、過去の苦しみもまた「縁」として、次の行いの智慧になると説かれます。

傷つけられた経験があるからこそ、人を思いやれる。

傷つけてしまった経験があるからこそ、慎みを持てる。

「しょうがない」で終わらせるのではなく、「だから私はどう生きるか」に結び直すことで、過去は重荷から糧へと変わっていきます。

苦しみは「足りている」

「もっと裁かれるべき」「苦しみが足りない」と思う心は、とても真面目で誠実な方ほど抱きやすいものです。ですが、これまで食事が喉を通らないほど、涙が止まらないほど、十分に苦しみを味わってきました。その苦しみは、すでにあなたの中で「足りている」のです。これ以上ご自身を罰する必要はありません。

まとめ
相手を許すことも、自分を許すことも、いずれも「心を自由にするための実践」です。過去の出来事を消す必要はなく、思い出して揺らぐことがあってもかまいません。そのたびに「しょうがない」と区切り、「今日をどう生きるか」に意識を戻す。それを繰り返す中で、少しずつ心は軽くなっていきます。

合掌

2025年9月18日 13:22
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有り難し
おきもち

個別相談可能
仏教×対話×ビジネス。僧侶・理学療法士・プロファシリテーター。死生観から整えるコンサルタント。仏教と対話で導く、リーダーのための内省と再構築。ビジネスという営みを通じて、人が本音と出会い、本来の個性で生きる場をひらいています。 ※お坊さん回答の中に「鈴木光浄」がおりますが当初諸事情がございまして私が回答したものでございます。そちらもあわせてご参照ください
職業柄、人生相談はこれまで多数受けてきました。 ぜひご自身の本音を出してください。向き合ってください。 私は伴走させていただきます。 理学療法士でありますので、これまで急性期から終末期まで患者さんを担当。 町の診療所から在宅までキャリアを築く。 2歳から108歳まで患者さん担当。 カウンセラー、コーチ、コンサルタントでもありますので メンタルヘルスから新規事業、マネジメントまで相談対応可能。 ビジョンワークはライフワーク。

あなたが健やかに生きることできますように

拝読させて頂きました。
あなたが人を傷つけてしまったことや人から傷つけられとても辛かったことを読ませて頂きました。あなたが人を恨んでしまったり苦しくなってしまい、なかなか割り切ることが難しいのですね。
あなたはしょうがないと割り切り、人を許し自分も許され、人に優しく生きていきたいと思っているのですね。詳細なあなたや周りの人達とのことはわからないですけれども、あなたのそのお気持ちを心より受け止めさせて頂きたく思います。
あなたがそのように割り切って生きることはとてもいいと私も思います。お互いのことを認め合い許し合いながら前を向いて生きていくことは本当に善いと思います。
私達はなかなかそのようにしっかりと割り切ることができるかと言うとなかなかそう簡単にはいかないところもあります。
どうしてもこだわってしまったり、なかなかそう簡単に許せないと思うこともあります。
そんなふうに思ってしまう自分であってもいいと思います。
そんな思いを抱えていたらどうか仏様や神様やご先祖様に手を合わせあなたの思いを心の中からゆっくりお伝えなさってみて下さい。私達の心の中には様々な思いや感情や気持ちが溢れてくるものです。その思いを仏様や神様やご先祖様にありのまま思いつくままにお伝えなさって下さい。
仏様や神様やご先祖様はあなたの思い全てを優しく受け止めて下さいます。あなたを全て受け入れて下さいます。そしてあなたの心を軽くなさって下さり清めて下さいます。
またあなたの思いをここでもおっしゃって下さい。そしてお気持ちを少しずつでもリセットなさって下さい。
あなたの思いを受け止め合い、あなたが皆さんとお互いのことを許し合い認め合い尊重し合いながら健やかに毎日を生きることできますように、皆さんと仲良く幸せに生きることできますように切に仏様や神様やご先祖様にお祈りさせて頂きます。至心合掌

2025年9月18日 12:30
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有り難し
おきもち

個別相談可能
脱サラして10年が経ちました。栃木県佐野市の一向寺に勤めています。(佐野ラーメンが有名な処です。)これからも皆様のご質問に対して誠心誠意回答させて頂きたいと存じます。まだまだ修行中の身ですので至らぬ点あろうかとは存じますが共に精進して参りましょうね。お寺にもお気軽に遊びに来てください。
ご相談は朝から午後5時まで受け付けております。 人間関係や恋愛のお悩み、自殺願望、大切な方の死に直面した苦しみなど、どんな内容でも構いません。一人で抱え込まずに、ぜひお辛いお気持ちを吐き出してください。 仏様や神様、ご先祖様は、いつもあなたを見守り、聞いてくださっています。あなたが少しでも穏やかな気持ちになれるお手伝いをさせていただきます。

「しょうがない」で大丈夫

浄土宗を開いた法然さんは、
「十悪五逆という罪を犯した者でも極楽浄土に往生できると信じながら、小さな罪も犯さないようにと思いなさい」
と言われました。
阿弥陀仏は、私達がどんな罪を犯しても許して極楽浄土に迎えてくださる。
ただし、私達の罪を見れば嘆き、善行為を見れば喜ばれるのです。
過去の失敗や罪は「しょうがない」で大丈夫です。
次から気を付けて、未来の失敗や罪を減らすように気を付けましょう。
それでも、煩悩まみれの私達はまた失敗するでしょう。
そのときはまた「しょうがない」で大丈夫。
転んでも、起き上がればチャラです。
私達も前世では強盗や肉食動物に襲われたかもしれない。
前世で動物を殺したかもしれない。
前世の罪と同じだと思いましょう。

2025年9月18日 5:42
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有り難し
おきもち

がんよじょうし。浄土宗教師。「○誉」は浄土宗の戒名に特有の「誉号」です。四十代男。 仏教は、悩み苦しみを制御したり消したりするための教えです。まだまだ未熟者の凡夫ですがよろしくお願いします。

質問者からのお礼

ご回答ありがとうございます。読んでいると不安で仕方なかった心が落ち着きました。

読んで咀嚼している内に、自分のことも相手のことも責める回数が減ってきて、「じゃあ今周りの人達にできることはなんだろう」と考えられるようになってきました。

きっとまたいつか不安になることもありますが、そんな時は読み返して心を落ち着かせたいと思います。

ありがとうございました。

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