嫌なことばかり思い出す。お坊さんに聞く過去を過去にする練習
ふとしたはずみでつらい思い出や昔の嫌だったことが、次々と浮かんで心を揺さぶられてしまい堂々巡りになってしまう。
自分ながらどうしてこんなに、思いが浮かんでくるのかと釈然としない思いに駆られることがありませんか?嫌なことほど人間は何かのはずみで浮かんで来てしまい、頭から離れなくなるもののような気がしますね?
hasunohaでも多く寄せられている悩みですので、ぜひ、お坊さん方の知恵を貸していただきましょう。 今回は、その中からいくつかの問答をご紹介します。
過去の嫌な思い出ばかり湧いてくる!何とか止めたい!
学校でいじめにあったことや、資格詐欺にだまされて高額なお金を損したことや、人にだまされたこと、貧乏だということで馬鹿にされたこと、病気だったのに親が病院に連れていなかったこと、顔にけがしたこと(中略)
辛いことばかりだったかというとそうでもなく、嫌なことを思い出すことは馬鹿なことだと思います。どうやったら嫌な思い出を思い出すことを止めることができるのしょうか。
過去の嫌な思い出が湧いてきて、何とかしたいと苦しんでいらっしゃる若菜さん。
ご自分でも思い出すことがふがいないように思われているものの、止める術が分からずに悩んでおられます。
私たちは、大なり小なり負の思い出の方が鮮明に思い出されることは、ありがちなのではないでしょうか?
どうにかしてこの思いを断ち切りたいという悩みに触れ、お坊さん方はどんな知恵を与えて下さったのかを見ていきましょう。
過去は記憶だけで戻れないもの!目の前の現実を受けとめて!
過去の記憶、思いは現実とは別物。付け足す癖に気づき、それをやめましょう。
まずは現実目の前のものをただそのまんまありのまま受け入れて、ご自分が生活しているだけだということを知ってください。
過去は記憶でしかないと、こちらのお坊さんは言い切っておられますね。
過去に思いをつけたしてしまうのも自分なので、付け足しする癖に気づくことから、まず、始めて見てはとお言葉を下さっています。
過去よりも、ありのままの今で五感を使って受け入れることの方が生きる上で大切なのですよね。
過去は戻ろうとして戻れるものではないものの、人間は記憶に付け足しをしてしまうものなのだと教えてくださっているので、少しでも心の重荷が軽くなるようです。
ファーストインパクトだけで放っておく!
ぽん、と出ただけの時は、ファーストインパクト。
それを放っておく。自滅させる。
セカンドインパクトは自分がそれをつかまえてこねくり回すから自分の思いでやられるのです。
ぽん、と出た思いを放っておいて、滅すに任せてみてください。
(安穏寺 丹下覚元)
こちらのお坊さんは、ファーストインパクトだけでそれを放っておくことを覚えると、楽になれるとおっしゃっています。
自分がセカンドインパクトを作り出していくことで、悩んでしまうのです。
ファーストインパクトだけで手放すことができるようになれば、悶々とした思いから解放されるきっかけ作りが意識できそうです。
相談者若菜さんの気づきが感じられるお礼から
たしかに過去あったことに自分でさらに付加価値を付けてさらに悲しい過去にしているふしがありました。
とりあえず就職も結婚できましたし、それほど醜い傷でもないのでしょう。自分では、ぐちゃぐちゃだと思っていますが、他人からみたら軽い傷なのでしょうね。自分の考え方でどうにかしていくしかありませんね。過去の業や記憶に振り回されて、再び嫌な思いをするのはまっぴらです。来たら無視する。架空請求詐欺と同じで相手にしてはいけないのですね。来た!と思ったら無視。
まだ完全にはできていないので、またお返事します。
若菜さんの文面から、過去の記憶をさらに悲しい過去にしていることを感じていらっしゃるのが分かります。
けれども、今は幸せに暮らしておられ、過去は過去として今を大切にしていきたいという気持ちが感じられているので明るい兆しが見えて来るようですね。
また、嫌なことを思い出さないように頑張っておられることも伝わって来ました。
もう一人の自分が思い出させようとすることも、もうすでに気づかれていることで道筋が開けてくるようです。
セカンドインパクトを呼び起こさないために、若菜さん自身がこれから何かの思いに駆られたら無視をすると決意されています。
いつかすっきりとした思いになれることを願い、次回のお返事をいただけるなら幸いです。
元の問答:過去の嫌な思い出が湧いてくるとき、どうすれば止められますか
次の問答をご紹介しましょう。
自分は情けないことにとても打たれ弱く、すぐに落ち込んだり小さなことにくよくよしていつまでも引きずってしまうのです。そんな時に勇気ややる気が出る言葉や、自分に喝を入れられるような教えなどを少しでも知っていればつらいことがあっても乗り越えられる気がするのです。
とお悩みのフミヤさん。お寺や神社巡りに興味があったことから、お坊さんに相談をもちかけました。
そこで禅宗のお坊さんよりこんなお話をいただきました。
じぎり ばぎり それっきり
(人生は)どんなヨイことも悪いこともその時その場この事限り)
人間は細胞レベルで一秒ごとに生まれ変わっている身心を有する
過去は記憶
未来は推測
現在は知覚
思う前に事実がある
はじめに言葉ありきとみる者は愚
はじめに事実ありきがみる者が仏
これはただこれ
これ以上にもこれ以下にも非ず
外のコトに動じないことが坐
内なる思いに動じないことが禅
嫌なことがあっても、それはその時かぎり、その場かぎり、それっきり。次の瞬間にはそれは過去になり、今がある。坐禅によってそのような考えが身についてくるとおっしゃっています。
元の問答:仏教の言葉
いかがでしたでしょうか?
お坊さんの仏教の教えから、過去にとらわれず今を見つめることを意識してみると、hasunohaに寄せて頂いている同じような悩みもその深さが変わって来るのかもしれませんね。嫌なことに囚われたくない問答はたくさんあります。いろいろなお坊さんの言葉を読んで、今を幸せに感じるヒントを見つけていきましょう。