仏壇がなくお位牌だけで供養してもいいのでしょうか?お坊さんに聞きました
位牌とは、亡くなった方の霊を祀るため、戒名や法名を記して仏壇に安置する木製のお札のこと。仏壇の中央にご本尊様を祀り、その近くにお位牌を置いて亡くなられた方やご先祖様を供養するのが一般的です。
しかし、供養の仕方は、宗派や地域、家庭(嫁ぎ先など)によって異なるため、場合によってはトラブルにもなりかねません。
hasunohaでは、宗派を超えて多くのお坊さんがいらっしゃいますので、今回の相談に対しさまざまな回答が期待できますね。それではさっそく見てみましょう。
[Zoomで相談] 他人に聞けないご供養の仕方。お坊さんに相談しませんか?
仏壇がなくお位牌だけでもよいでしょうか
先月、最愛の母が亡くなりました。(中略)
主人の実家には立派な仏壇があります。聞けば、仏壇は複数あるものではないとの事。仏壇でなく、位牌と写真、線香などで母を想ってあげてと母の両親に言われました。(中略)位牌とお線香などをあげる容器など小物にあわせ、ご本尊を必ず用意しなければならないのでしょうか?位牌を置くならしっかり仏壇でなければいけないのでしょうか?
みつままさん(20代女性)は、嫁ぎ先でも母親の供養ができるように仏壇の購入を考えていましたが、仏壇は複数あるべきではないと反対されてしまいました。
一般的に、お位牌は仏壇のご本尊様と一緒に祀るもの。お位牌だけでも大丈夫なのでしょうか。
形ではありません。思いが大事です。
私なりの持論から言えば、仏壇は必要ない「とも」思います。
「とも」とカッコ書きしたのは、あった方が「気持ちが傾けやすい」だろうということで、なくてもお位牌を大切に扱うならば何ら不都合はないと思います。(中略)例え仏壇やご本尊がなくても、どこか粗末にならないところを探して、きれいな敷物でも敷いて、お母様の居場所として大切にお祀りしてあげたら良いと思います。
こちらのお坊さんは、お母様やご先祖様を大切に思う気持ちが大事だとおっしゃっています。「お母さんこれ好きだったな」「これ旬だから美味しいだろうな」「食べさせてあげたいな」と、思いながらお供え物を選んでいる瞬間に、気持ちは届いているのだとか。
お線香も無理ならなくてもよし。お水でもお茶でも珈琲でも、ご飯がなければパンでもお菓子でも、気持ちでお供えをすることが一番だと教えていただきました。
そもそも、仏壇が一般家庭に普及し、お位牌が置かれるようになったのは江戸時代以降。それまでは、家庭に仏壇はなかったそうです。肝心なのは、形ではなく故人を偲ぶ気持ちなのですね。
仏教的な供養を
仏壇がなくても、インターネットからプリントアウトしたものでもいいので、仏像の写真やイラストか「南無〇〇仏」と好きな仏様のお名前を書いた紙やミニ掛け軸か、仏様を表す法輪のマークを、部屋のどこかに、できれば座ったときに見上げる程度の高さの位置に、貼っていただきたいと思います。
その前に位牌と、できれば三つ具足(線香、ろうそく、花)も置いてください。
花の管理が大変なら、花は普段は造花でもまぁよいでしょう。
お位牌に記される戒名(法名)は、仏の弟子になったことをあらわす言葉。お母様も戒名を授かり輪廻の旅路に出られたのだとしたら、何らかの形で仏教的な供養をしていただきたいとこちらのお坊さんはおっしゃっています。
わたしたちは、お釈迦様をはじめとする仏様や、お釈迦様が遺された教えによって浄土に導かれるもの。仏様に手を合わせるのはそのためだと教えてくださいました。
ちなみに、仏様は「お土産もののかわいいお地蔵様のマスコット」でもよいそうです。
お仏壇はあった方がいいです
小さいお仏壇で、おまつりなさる事が一番よいと思われます。
よくききますが「お仏壇、お位牌がいくつもあってはいけない…」
まったくそんな事はありませんよ。
間違いでしかありません。お仏壇は、お寺やお浄土とご縁のある方々(仏様、お祖師様、ご先祖様)が娑婆にお越しになる出張所だとお考えください。
こちらのお坊さんは、お位牌だけでもよいけれど、仏壇がないと雑な扱いになりかねないとおっしゃっています。ただし、むずかしいことは何も必要ではなく、亡くなられた方やご先祖様を大切に想い、供養なさりたいという心が一番大切だと教えてくださいました。
元の問答:仏壇ではない場所に位牌
今回の供養に関して、大切に扱うのであればお位牌だけでもよいという回答があった一方で、仏教的には仏様は必要、小さくても仏壇はあった方がよいなどさまざまな回答をいただくことができました。
しかし、共通しているのは、お母様やご先祖様を大切に思う気持ち、それが何よりも大事だとお坊さん方はおっしゃっています。仏壇にこだわらず、わたしたちが心を向けて手を合わせ、お祈りしやすい方法が一番なのかもしれませんね。
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