お盆と海
小さい頃、祖母から「お盆は海を通ってご先祖さまたちが家に帰ってきて、15日にはまた海に戻っていかれる。お盆の海は地獄の窯が開いているからその時に海に入ると連れていかれるよ。絶対に行ってはいけない」と言われました。
子どもの頃に聞いたこの話は衝撃で、大人になった今でもその言葉を信じ、一度としてお盆期間中に海に行ったことがありません。
友人などから海に行こうと誘われてもお盆は行っちゃいけないということを話すといつも笑われます。
未だに信じている私はおかしいのでしょうか。悩みつつ、お坊さんたちはこの事はどう思われているのか、ぜひお聞きしたく質問させていただきました。
こんなことを質問してと思われるかもしれませんが、お盆も近づいたこの時期毎年必ず悩んでしまいます。
どうかよろしくお願いいたします。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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迷信ではあるが理にかなっている
こんばんは。海に遊びに行きたいけどお祖母さんの言葉が気になっているのですね。私は静岡ですが、私も「お盆に海に行ってはいけない」という言い伝えを聞いたことがあります。まあお坊さんなのでお盆は忙しいので海には行けませんが(笑)
「地獄の窯うんぬん」は迷信ではありますが、この時期の海は危険な事は確かです。
まず、この時期は「土用波」が発生しやすいです。土用波というのは、遠い場所の台風による波のうねりが打ち寄せてくるものです。
もう一つは「大潮」です。お盆の頃は満月となるので、潮の干満の差が大きい「大潮」となります。干満の差が大きいという事は、潮が満ちたり引いたりスピードが速いという事です。気が付いたら近くまで海が来ていたり、油断していたら波に足元を取られる危険があるという事です。
この時期の「土用波」と「大潮」が相乗した波エネルギーで、古来から被害が出たのでしょう。そのためあなたの質問にあるような言い伝えができたと考えられます。
もちろん海は自然のものですので、甘く見てはいけません。いつでも注意が必要ですが、特にお盆の時期(晩夏)の海は、上記のような理由で危ないと思いますので、遊びに行くときは十分注意してくださいね。それでもせっかくの海です。注意しながら存分に楽しみましょう。
これからも言い伝えてはどうでしょうか
地域によって色々な風習や言い伝えがありますね。山がある地域では、お盆にご先祖様が迎え火を見て山から下りてくる、と言う風習もあります。これらの風習は仏教が日本に伝わるよりも昔からあるそうです。
恐らくあなたの住む地域で昔から言い伝えられてきたのでしょう。
それはそこに住んでいた先人達の経験も含まれていると思います。
例えばお盆の時期はクラゲが増えるとか、波が荒くなるとか、サメが出るとか。
何かきっかけがあってお盆の時期に海に入らないように言い伝えが生まれ、それにご先祖様が帰ってくる話や地獄の窯の話が合わさりながら言い伝えられてきたのではないでしょうか。
もしそうだとすれば、これからも言い伝えていくのがいいと思いますよ。
なお、海に入るのはいいですが、お盆の時期に海に入るときはよくよく気をつけて入ってくださいね。
質問者からのお礼
ご回答いただきありがとうございました。
私の地元も海に囲まれたところのため、昔は海難事故が多かったのかもしれません。
そんな中、犠牲になる人を増やさないために昔の方々が考え伝え、それをおばあちゃんが私たちに伝えてくれたのだと思えました。
迷信かもしれませんが言葉そのものを信じるというよりもその言葉の意味を理解し、海は怖い所でもあるというのをしっかりと受け止めて自分の子どもにも伝えていきたいと思います。
本当にありがとうございました。