散骨でお墓はない場合の供養の仕方について。
先日 母が亡くなりました。お葬式は諸事情により火葬式で、お坊さんを呼んで火葬前にお経をあげて頂きました。戒名もつけて頂きました。お墓ですが、母は生前 「父と同じ墓には入りたくない。愛犬の骨と一緒に故郷の海に撒いてくれ」と強く言っていたので、そうしてあげる予定です。父は仏壇やお位牌を用意したので四十九日の時に開眼法要をするつもりです。それから母の遺骨を少しずつ貰って、残された家族で遺骨アクセサリーを作ります。
ここまでが今の現状です。これを踏まえた上で質問なのですが、そもそもお墓に入らない場合 お仏壇やお位牌は意味があるのでしょうか?通常はお位牌に魂を入れるんですよね?海に散骨してしまう場合も同じなのでしょうか?そして子供である私は 仏壇やお位牌などを用意しなくては供養出来ないのでしょうか?写真と仏具だけでは供養になりませんか?
色々と分からない事だらけで困っています。
宜しくお願いします。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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魂はクラウド
日本人の死生観として、死んだらその魂は肉体を離れてゆくと考えられていました。
その魂ひとつの塊としてどこかに定着するわけではなく、しばらくは家族の周辺を漂ったあと、やがてもっと大きなものの中に吸収され、溶け込んでゆくと考えられていました。
今の日本の仏教における死者のご供養も、この日本人が古代からもっている死生観と密接につながっています。
そうやって考えますと亡くなった方の魂というものは、お位牌の中に封じ込めるわけではなく、お仏壇にも、お墓にも、あなたの後ろにも、どこにでも在る。と思っていただいた方が良いと思います。
「草葉の陰から見守っている」
「千の風になって」
などの言葉からも、わかりますね^^
最近、ネットで言われていたのは「魂はクラウド、お墓や仏壇は端末」という表現です。
なるほどなぁと、感心してしまいました。
お墓やお位牌は、ふくろうさんが亡くなったお母様に想いをはせる際の「ガイド」的な役割を持っているとお考え下さい。
私はお葬式に使うお位牌には、戒名の上に「新還元」や「新帰元」と書いています。
読んで字の如く「元に還ってゆく」ということです。
30年、50年と、時間の経過と共に魂も肉体も霧散して自然に還っていき、また新しい命の素材に変わってゆく。
そんな風にイメ-ジしていただけたらよいのではないでしょうか。
仏壇は仏様を拝むため、位牌は亡き人を拝むため
まず、散骨してお墓がない場合も、あるいは、家族にまだ死人が出ていない場合でも、お仏壇を家に置くことは良いことです。
仏壇は自宅で仏様やご本尊を拝むためのミニ寺院、ミニ本堂であり、仏壇がある部屋は自宅内の仏道修行道場になります。
次に、位牌は、亡き人に想いを馳せて拝むための道具です。
お墓がなくても、お墓に行かなくても、お骨がなくても、位牌を拝むときは、亡くなった人に拝むのと同じなのです。
位牌以外には、卒塔婆(お塔婆)も、亡き人を拝むための道具です。
位牌や卒塔婆には戒名が書かれています。
これは、亡き人が仏道修行者(菩薩様)になられ、いずれは悟りを開いて仏様になるべき尊い聖者になられたという意味です。
そのような尊いお方をイメージし、その方の位牌や卒塔婆を拝むとき、拝む側の人間の心は、尊い方を見習う気持ちになるため、心が清らかになるのです。
ですから、生前そのままのその人を懐かしむだけではなく、聖者にレベルアップしたお方だというイメージで、位牌を拝んでください。
仏壇がない場合には、位牌だけでもかまいません。
しかし、できれば仏画や仏名を書いたものを壁に掛けるだけでもしていただくと良いでしょう。
仏壇はないが仏様や位牌をまつる場合、ろうそく、お花、線香は、無いよりはあった方が良いでしょうね。
また、ご住職に卒塔婆を書いてもらえば、簡易墓標、簡易位牌になりますので、お墓も位牌も無い場所で拝むときなど、ご住職に卒塔婆を書いてもらうのも方法でしょう。
たとえば、散骨した場所に卒塔婆を持参して供養するなど。
自宅内で卒塔婆を置いて拝むのもかまいません。
ただ、黒塗りではなく白木の位牌ならそんな高いものではないので、ずっと家に置いておくなら、白木の位牌だけでも仏具店で買って、ご住職に書いてもらったら良いと思います。
お骨を海にまく場合は法律に従ってください
こんにちは。
お母様のご逝去にお悔やみを申し上げます。
まず、お骨を海にまきたいとの事ですが、すでにご承知とは思いますが、あなたが釣り船を借りたり、船の定期便などに乗って、頃合いを見てザァーってご遺骨をまくと法律に違反します。きちんと市役所などに聞いてしかるべき方法でおこなってください。
また、日本人はお骨を大切にする民族のようです。例えば昭和60年に、通称「御巣鷹の尾根」に飛行機が墜落し、520名の死者が出た事故がありましたが、この事故で遺骨は回収されなかったので、遺族の方は毎年、遺骨のあるはずの事故現場にお参りにいきます。他にも戦争中に海外で亡くなった日本兵の遺骨の収集作業も未だに続いています。このような事を考えますと、海にお骨をまきますと、その後お骨をまいたポイントへお参りをする事になるでしょう。大変です。
お骨をペンダントに、という事ですが、以前hasunohaに「お骨ペンダントをなくした」という相談が来たことがあります。なくさないよう注意して下さい。またなくさなかったとしても、50年後100年後にそのお骨ペンダントの行方を考えると、何も知らない子孫がゴミと一緒に捨ててしまう心配もあります。よく考えて作りましょう。
またお母様は「父と同じ墓には入りたくない」とおっしゃっていたとことですが、それは冷静な気持ちでいる時だったでしょうか?例えばケンカをした後に言っていたとか?ご縁あって一緒になったご夫婦です。亡くなったら一緒のお墓に入っても良いと思いますよ。
お位牌については、お骨がどこに行っても同じです。きちんとつくり手を合わせましょう。ご実家以外のあなたの居宅など供養したいようでしたら、位牌を作っても良いですし、写真と仏具(お花、ろうそく、線香)でも良いと思いますよ。