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自己同一性の喪失

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概要だけ書きます。

父親の経済的支援がある母子家庭で育ち、「自立し自分の目標となる仕事」をしたいと10数年勉強してきました。
それは叶わなかったですが、自分の満足できる仕事に就けました。

しかし、育った家庭や母親、それが原因となる私の誤った判断でその仕事を辞めてしまい、紆余曲折を経て自らの学歴とはかけ離れた仕事を今はしています。

強い後悔、徒労感、そして3年前から希死念慮を持ちながら生きています。あんなに勉強をして、時間と労力、お金、すべてを費やしてきた成果がここなのかと。

若干のあきらめもあります。
人間の教育は「家庭」におけるものも重要であり、私はそれが欠落している、言い換えると「良くない環境」に育ったと今は気づいたからです。

毎日同じような夢を見るので辛いです。

自己同一性が失われた人は、生きていけるのでしょうか。


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

自分で獲得する

最近私がツイートしたのを以下にコピペしました。

人が生きていられるのは誰かが自分に関わっていてくれるからだ。人が死にたくなるのは誰かと関わっていることがたまらなく苦痛に思えるからだ。愛があれば人が救えるか?信仰があれば自らを救済できるか?じぶんの立ってる砂漠の向こうに両手を広げて笑顔で抱擁してくれる他者が待ってるだろうか。瞑目

少しも悩まないで生きていける人間などいないと思います。自己同一性とは何でしょうか。サウイフモノデワタシハアリタイ と言う賢治の雨ニモマケズの詩の言葉のように自己の在り方にかくあるべし と思っていられて、そうなっていない現実が気に入らない、というお気持ちなんでしょうか。現在のありのままの自分は、環境がそうさせたのではなくて、自分がそれを選択して今があるのだと思います。自分で獲得してきた結果ではないでしょうか。自分が自分の人生の舵取りをする以外に生きようなどありません。人生は何歳までにそうしなければならないというようなものではないと私は思っています。七十の手習いなどという言葉がありますが、十分やってきたというような自己満足の出来る人生ではなく、何歳になっても自己の不足を自覚してもっと精進する気持ちを持って生きるのが楽しいと思います。30歳ではまだまだ悩んで苦悩を自分の肥やしにする年齢です。

しっかり読書し思索してあるべき自分と出会って下さい。

追記です。
お坊さんは、暗く、刺すように冷たい「川」に入ったことがありますか?
とのこと。人生は自分だけは特殊な特別なあり様だと思いません。誰の人生も刺す様な冷たさと同居しているものです。親のすねをかじりながら悩んでいるなんて気楽なものですね。私は小学校も行かずに15歳頃には一家9人家族を働いて養ってきました。生まれてこのかた親や他人からものをもらったことがありません。働いて与えて来た立場です。逃げ出したくても家族の状況はそんなことを出来るはずがない。自死を
考えもした。でも逃げたら負けと思って働きながら独学し詩を書き演劇にも取り組んで、起業もして生きて来たんです。やったらやり抜けるものです。過ぎ去ってそう思います。
参考にはならんでしょうが、、、

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有り難し
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山内 宥厳
楽健法と楽健寺の天然酵母パンを普及しはじめてかれこれ半世紀になります。楽健...
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法(頭で考えた概念)は無我(幻みたいに実体がない)

過去の学歴は「わたし」ではありません。
過去の自分と今の自分を比べて優劣をつけるのを、止めましょう。
今の自分以外に自分は無いのです。
瞬間瞬間に生じては滅していく「わたし」。
数秒前の自分と今の自分も違う自分なのです。
「同じ自分」であるという思考の前提が、間違っているのです。

今、何か困ったことはありますか?
お腹が空いていますか?
どこか痛いところはありますか?
寒いですか?暑いですか?

満たされていないという錯覚を、脳ミソで創作していませんか?

頭で考えた「自分」の概念は、ただの概念です。
今・ここの、現に在る心と身体を優雅に味わいましょう。

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がんよじょうし。浄土宗教師。「○誉」は浄土宗の戒名に特有の「誉号」です。四...
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質問者からのお礼

お仕事でお忙しいところ、ご回答頂きありがとうございます。
このようなよくある質問に、とてもありがたいと思います。

「自分の選択で今の現在がある」のは分かります、しかしそれはほんの一部です。
他にも環境や状況、運など様々な要因で、その選択は歪められており、人間は
自己の人生を自己決定しているようにみえるかもしれませんが、そうではなく
現在の自分は「成り行き」でしかありません。

「個性」は国家が作り出し、我々は取捨選択しているに過ぎないように。
また「貧困は遺伝する」と言われるように。

お二人のおっしゃることは、よく「分かります」。
しかし、外から穏やかに見える川の深さや、冷たさ、そして入ってしまうと足元をすくわれるような流れの速さは、川を見下ろす橋の上からは分かりません。

お坊さんは、暗く、刺すように冷たい「川」に入ったことがありますか?

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