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音楽の力について

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こんにちは。バイオリンを習っている高校2年生の者です。私は親に呆れられるほどのクラシック音楽オタクで、いつもクラシックのことしか考えていないと言っても過言ではないくらいクラシックが大好きです。
しかし、私にはどうしても分からないことがあります。音楽に命はあるのでしょうか?人の奏でる音、楽譜、楽器、それら全てに魂が篭っているのでしょうか?
ご回答お待ちしております。


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お坊さんからの回答 3件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

信じる人には、魂は篭っているのが見えるようになります。

Cymbidiumさん、こんにちは。

 クラシックが好き、バイオリニストなのですね。素晴らしい。
私もクラシック、聞くレベルですが大好き。東京にいる時は、年に1,2回は、オーケストラコンサートに行っていました。

もちろん、人の奏でる音、楽譜、楽器、それら全てに魂が篭っていますよ。ただしそれを感じることができる人は、音楽の力を心で感じた人です。

もともと音楽は、神を讃えるものとして発展してきました。だから極めた音楽は宗教性を帯びています。音楽を聴くと神様を身近に感じることができます。
クラシックを本当に理解しようと思うと、西洋文化、キリスト教の信仰観を理解しないと曲の解釈がわからない部分がたくさん出てきます。だから日本人のCymbidiumさんは、キリスト信仰を理解していないとどこかで行き詰まります。
 
 一方日本字である私たちは日本文化を理解していて、日本の音楽観が知らないうちに心に染み付いています。音楽には民族固有のリズムが刻まれているのです。その日本音楽も神道・仏教の中で培われてきました。仏教ではインドから仏さまの教えを音楽に例えます。それだけ音楽は魂を伝える技として尊ばれたのです。

 日本人の文化には、言霊という信仰文化を持っています。言葉や音楽に魂があると感じる文化です。そしてすべての物に魂があるという信仰文化があります。だから楽器にも魂があり、それを粗末にすると、付喪神(つくもがみ)というお化けになるので愛情をもって大切に掃除をしなさいと教えられました。日本人は特に曲や楽器に魂を感じる民族なのです。

たまにですが、音楽で号泣する、魂を揺さぶる音楽に出会うことがありますね。音楽に魂を感じる瞬間です。そういう音楽に出会えた時は嬉しいです。

Cymbidiumさん、もし音楽でプロになろうと思ったら、是非、信仰を学んでくださいね。日本人は当たり前すぎて信仰観を理性で認識するのが疎いので、若いうちからすれば抜きん出ます。早い者勝ちですよ(笑)。

バイオリン、がんばってくださいね。いつかプロの演奏者になったら、ご案内くださいね。聞きに行きますから(笑)

合掌

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音だけで救える心もあると、私は信じています

ご相談読ませていただきました。

クラシックについては専門外なのでやたらなことは言えませんが、代わりに仏教音楽が持つ命、その思想について少しばかりお話させていただきます。

まず中国には陰陽五行思想というものがあるのですが、中国経由で日本に伝わった仏教は、この考え方に少なからぬ影響を受けています。仏教に限らず、節分や七夕などの多くの行事も、この思想が基本です。
そして陰陽五行は、声明(しょうみょう)というお経に節をつけて唱えるものや雅楽にも大きな影響を与えています。

西洋音楽でオクターブを平均律で分けて十二の音を取りますが、中国でも陰陽思想に基づいて十二律を定めました。それは十二の月に対応し、またそれぞれの音に陰陽が定められます。
更には、音としては十二が基本ですが、実際に唱えるうえでは五つの音で楽譜のようなものを記します。その五音は木火土金水の五行に対応し、ときとして季節によって用いる音を決めることもあります。

あるいは、音階ではなく音質・楽器の素材によって規定される八音という概念もあります。石や金属、弦楽器、管楽器、木や革といった分類をしますが、これは陰陽から導かれる八卦というものに対応します。
八卦も少ない文字数では説明しきれませんが、天沢火雷風水山地という自然の様相を表したものでもあります。雅楽でも多くの楽器を用いますが、この考え方に基づくならオーケストラも宇宙を内包した音楽と言えるでしょう。

大昔から、経験として音楽の持つ力を知り、それを思想として体系化しようとしてきた人たちがいます。
『管絃音義』では「夫れ管絃とは万物の祖なり」と言って音と天地陰陽について伝え、
『律歴志』には「五音を定むるは陰陽の応也」と言って音の成り立ちを語り、
『淮南子』なら「風雨の変は、音律を以て知る可きなり」と言って音と自然の繋がりを教え、
『呂氏春秋』だと「音楽は天地自然の生み出した陰陽の気の調和である」と言い、音楽の調和と、君主が天下を治めることが同列に論じられたりします。
国の平和のために、真剣に音楽を扱っていた時代だってあるのです。

西洋の方でも、ピタゴラス学派の扱った音楽は数学的であったり、宇宙の調和を知ろうとするものであったそうですね。
天球の音楽という思想も、私はとても美しいものだと思います。

音波は振動です。
貴方の弓は、弦は、宇宙を震わせ得るのです。

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sramana kaden
天台宗寺院の住職をしております。 占い師さんや西洋思想の方面にも知り合い...
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魂というか、もう少し分かりやすく、気持ちが込められていると思いますよ。それは音楽だけでなく絵画も彫刻もダンスも小説もですね。お経も書いた人の気持ちが込められています。
また同じ曲でも、作曲した人の気持ちをどう解釈するか、表現するかによって演奏も変わってきますよね。
ですから、作曲した人の気持ち、演奏する人の気持ちによる解釈と表現、そして聴く人の気持ちによる感じ方、いろんな人達の気持ちがひとつに繋がって、ひとつの作品が生まれるのでしょうね。

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私は浄土宗の坊さんです。 少しでも何か参考になればと思って回答しています...
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質問者からのお礼

もやもやとしていたものがすっきりしました。ご回答本当にありがとうございました!

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