疎遠だった父が孤独死しました。
はじめまして。
先日、二年前に母と離婚して以来疎遠だった父が危篤との連絡があり、その翌日に亡くなりました。
父は昔から怒りっぽく乱暴で、母と兄は大変な思いをしていました。
しかし末っ子長女の私にだけは甘く、私も小さいときはお父さんっ子でした。
しかし、大人になるにつれ、母と兄への当たりの強さに嫌気がさし
父とは離婚の三年前ほどから、ほとんど会話もしていませんでした。
その後離婚が決まり、父を家から追い出す形で疎遠となりました。
先日までずっと父を恨んでいました。
家族の人生をめちゃくちゃにした男だと。
父は大家族の末っ子でしたが、幼いときから家族に迫害され続け、家族と絶縁するために
母と結婚するときに婿養子となったそうです。
私や兄の父親として、母の夫としては未熟でした。
しかしそれは父の生まれ育った環境のせいだったのではないかと思います。
それでも先日までは、今までの恨みが消えず、死んでも何も思わないだろうと思っていました。
しかし病院で息絶えた父と再開し、主治医から二年間のことを聞いたとき、
なぜ生きているうちに会ってあげられなかったのか
なぜ離婚前に父の苦悩を受け止めてあげられなかったのか
後悔が押し寄せてきました。
何度も涙が出てくるのです。
父はこの二年間、体も精神的にもぼろぼろで、働き口もなかったようで生活保護を受けていました。
私は一人、亡くなった当日に病院へ駆けつけ、父の身支度を手伝い、病院から直接葬儀場に送っていただくのを見送りました。
その時立ち会ってくださった看護師さんが父にかけた「娘さん来てくれて嬉しいね」の言葉が心に突き刺さり抜けません。
その感情が来てよかったの気持ちなのか、間に合わなかった後悔なのか、たった一人苦しんで旅立った父を哀れむ気持ちなのかわかりません。
数日後には火葬されるので、その日も行く予定です。
しかし遺骨などは色々な事情により引き取りができないため、父は無縁仏になります。
ずっと孤独に戦ってきたであろう父。
父は私を家族を恨んでいるでしょうか。
身寄りのない父を家から追い出したこと、
一度も連絡を取ることなく、死に目にも会えなかったこと、
死んでもなお一人にさせてしまうこと。
そして私は父の死とどう向き合っていけばよいのでしょうか。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
いつまでも、お父様のことを思ってあげてください。
亀山純史と申します。少しでものぞみさんにお役に立てればと思い、回答させていただきます。
仏教の教えは、時には厳しくそして時には慈しみを持って、私たちの人生を育んでくださいます。
仏教における厳しさは、仏様の智恵の世界にあります。仏教では何事も縁起の働きの中あり、自らの原因に対しては、自らがその結果を受けるという自業自得であると説きます。お父様の生い立ちがどうであれ、離婚せざるを得ない状況になってしまったことに、お父様の態度や行動が原因としてあったのであれば、その結果はお父様自身が受けなければならないのです。また、私自身の誕生も死も『仏説無量寿経』には「独生独死独去独来(独り生まれ独り死し、独り去り独り来る)」と説かれています。生まれるのもひとり、死ぬ時もひとりなのです。
一方、仏様には慈悲の世界があります。仏様の世界は、亡き人たちが再び会うことが出来る世界(倶会一処)なのです。また、故人を偲び、手を合わせる時、故人は私たちの心に蘇って来られます。
最後に、中西智海さんという和上さまがお詠みになった詩を紹介しましょう。
『人は去っても その人のほほえみは 去らない
人は去っても その人のことばは 去らない
人は去っても その人のぬくもりは 去らない
人は去っても 拝む掌(て)の中に 帰ってくる』
お父様に対する思いは、いつまでも続くことだと思います。でも、いつまでも続くお父様への思いこそが、お父様への供養に繋がることではないでしょうか。
悲しみや後悔は尽きないけれど
拝読させて頂きました。
お父様がお亡くなりになられてあなたは深く悲しまれそして後悔がつのっていらっしゃるのですね。
ご家族の中で今まで様々なことがあったことでしょう、そして感情的にもなったり皆さんも苦しまれもしたのでしょうね。
今お父様がお亡くなりになられて改めてご家族の皆さんも様々な出来事について思い返しながら余計にその死を受け入れることは辛いことでしょう、そして感情も込み上げてこられているでしょう。
お父様が正しく仏様に導かれて一切の苦しみから救われて、仏様の元にて心から穏やかに安らかになられますようにと心から仏様にお願いさせて頂き、切にお念仏おとなえさせて頂きます。
南無阿弥陀仏なむあみだふつ
あなたのその悲しみや後悔の念は尽きないでしょうけれども、その思いをそのまま仏様にお伝えなさり、どうかお父様が仏様に導かれて心安らかになられますようにと真心を尽くしお父様に手を合わせてご供養なさって下さいね。
あなたの思いは必ずや仏様やお父様に届きます。そしてお父様は必ず仏様に救われて心から安心なさって下さいます。
お父様とあなたとのつながりはこれからもずっと続いていくのです。今まで様々なことはあったでしょうけれどもお父様はこれからいつ如何なる時でもあなたやご家族の皆さんを優しくお見守りなさって下さいます。
お父様は決してあなたやご家族の皆さんを恨んだり憎んだりはしていませんよ。
あなたがいらしてくださったことを心から感謝なさっていらっしゃったでしょうからね。
お父様はあなたの思いをそのまま受け止めてくださっていますからね。
人は生きている中では自分のことさえも思うようにはならないものです、お父様も今まで大変辛い思いをなさってこられたことでしょうからね。
そしてこれからは一切苦しみもさびしさもなく仏様の元で親しい方々と共に円満にあなたや皆さんを見守っていかれるのです。
どうぞこれからもお父様を思い、そしてあなたのお気持ちをありのままお父様にお伝えなさりながらこれからもずっと見守っていてね、とお父様にお願いなさって下さい。
そしてどうぞあなたはこれから皆さんとお父様をご供養なさりながら皆さんと仲良く幸せに生き抜いて下さいね、お父様はあなたや皆さんが幸せに豊かに生きていかれることを心から願っていらっしゃいますからね。
つらくせつない話ですね
こんにちは。謹んでお悔やみを申し上げます。
つらくせつない話ですね。拝読し胸が痛みました。
「おくりびと」という映画をご覧になった事はありますか?主人公とその父親の姿が、あなたのお話と重なりました。まだでしたら是非ご覧になってください。
お父様はきっと、あなたやあなたのお母様、あなたのご兄弟の楽しかった思い出に囲まれ亡くなっていった事と思います。また亡くなった後になってしまいましたが、来てくれた事をきっと喜んでくれたと思います。大丈夫です。
あなたもお父様との楽しかった思い出を胸に、またそれを忘れないようにお過ごしください。
質問者からのお礼
亀山純史 様
ご回答ありがとうございます。
「独生独死独去独来」、「倶会一処」、そして中西智海のお詠みになった詩、どれも今の私にとって忘れられない言葉となりました。
今は父を思うと苦しいですが、それで父の供養となるのならきちんと心のなかで父のことを思っていようと思いました。
ありがとうございました。
Kousyo Kuuyo Azuma 様
ご回答、そして父のためにお念仏をおとなえしていただきありがとうございます。
火葬のみで、きちんとした葬儀もしてあげられないので、本当にありがたいです。
おっしゃるように父が心安らかに、私たちを見守ってくれるように、手を合わせたいと思います。
きっと長い苦しみから解放されたのですよね。
ありがとうございました。
光禪 様
ご回答、そして胸を痛めてまでくださってありがとうございます。
「おくりびと」、教えていただいてすぐに拝見しました。
きっと以前までは感動こそしても泣きはしなかったのでしょうが、今はだめですね、おっしゃる通り主人公と重なるようで。
教えてくださってありがとうございました。観てよかったです。
そしておっしゃるように父が楽しい思い出と共に亡くなっていったと、私が見送りに行ったことを喜んでくれたと信じたいです。
ありがとうございました。