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出産することは人を殺すことですか?

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有り難し有り難し 73

カテゴリがわからなかったのでカテゴリ違いでしたらすみません。
人は必ず老いて死ぬというのが仏教の基本にあると思うのですが、そしたら、子供を産むということは、子供を殺すということですか?
人は生まれた瞬間から死を背負うことになると思います。死を背負わせるということは、殺すというのと同じことですか?
純粋な疑問です。誰かを不快にさせてしまったらすみません。


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お坊さんからの回答 4件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

出産することは、人を生むことです。

仰る通り
人は生まれた瞬間から
死を背負うことになりますが
死を背負わせることは殺すことと同じ
とは思いません。
生まれ生きることが
死を背負うことなんです。
殺されることではありません。

ああさんは
「どうせ死ぬんだから生まれない方が良かった」
と思っていますか?

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おきもち

和田隆恩
 浄土真宗(大谷派)/広島県広島市/17世住職。  1967年京都市生ま...
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世の中は見る方向で色々と形を変えますよ!

質問読ませていただきました!

死というのは状態です。そして、殺というのは行為です。殺という行為があって、死という状態が訪れるわけです。
つまり、殺が手段で、死は結果といえるでしょう。
しかし、死に至る道は殺のみではありません。殺とは外部から手を加えて死に至らしめることです。例えば老衰死の場合、それは殺ではなく自然死です。この場合、老衰は手段となるでしょう。
このように死=殺ではありません。ああさんのおっしゃるように、出産とは死を負わせるものかもしれませんが、殺すことではありませんよ。

ただ、気になったことがあります。出産とは死を負わせるという側面もたしかにあるのかもしれませんが、それは1つの見方に過ぎません。
例えば、人間の大きな苦しみとして「生老病死」がよく挙げられます。そこに着目すれば、出産とは生を負わせることですし、老を負わせることですし、病を負わせることですし、死を負わせることです。
また、産まれた赤ちゃんがたくさん愛情を受けて育つのであれば、出産は「愛情を負わせる」ことですし、将来幸せになるのであれば「幸せを負わせる」こととなります。
つまり、どこに着目するかで出産の意味というのは変わってきます。

また、出産に限らず、世の中のモノは全て見方によって様々に形を変えます。なぜなら、世の中は在るようにただ存在するだけに過ぎません。それを様々な人が、自分の物差しで「ああだこうだ」と批評するわけです。
ですので、同じモノを見たとしても、それに対する見方や感想や評価は無限に存在するでしょう。そのうちのどれかが正しいわけではありません。もしくはどれかが間違ってるわけでもありません。全て合っているとも言えるし、全て間違っているとも言えます。
つまり、自分の我見を捨て、世の中をただ在るように受け止めてみたらいいんじゃないか?ということを仏教は説くわけですが、なかなか実践は難しいですよね。

このことから、1つの見方に固執するのは偏った見方といえます。しかし、もし偏るのであれば「出産はたくさんの愛情と幸せを背負わせるモノ」という見方が出来れば素晴らしいですね!
だって出産というのは、とても神秘的で尊いモノですから。

何か少しでも参考にしてみて下さい!
そして、もしああさんが他に何か心に抱えているモノがあるなら、よかったらメールでもいいのでご相談下さいね。

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おきもち

京都府・大阪府・奈良県の県境に当たる、京都府京田辺市の天王院というお寺でお...
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一時の感情を乗り越えて親子は成長する。

死は目的にしなくても訪れます。
殺そうとしなくても人はそのうち死にます。

私の中の扱いとして死と殺は違うのですが、生ならば死という視点は興味深いです。

生を始まり、死を終わりとするならば
始まりと終わりが必ずしも同じとは限らないです。

例えば大阪から電車に乗り東京に行く。
「どうせ東京に行くから大阪も東京も同じ」とは限らないこともあります。
大阪から東京の道中に旅の趣を感じる人がいるように、生まれてから死ぬまでの生き様に人間らしさを感じる人もいる。

話は変わりますが、理科の授業では人間の身体は80%が水でできてると言われてます。

人が死んで火葬すると骨は残りますが、水分も殺されたといえるかどうかは分からないです。

死んだあとに水蒸気となり、天に昇りいつの日か雨となり地上に降りてくる。
そう考えると体内の水分は殺されず形を変えて世界を巡り続けるかもしれない。

私の師は死と言わずに往生といいました。
「往く」と「生きる」で往生。

+++++++++
お礼文ありがとうございます。

上の考えは死ぬと殺すを人に限定したものです。
私もいちおう10年ほど児童福祉に関わっているので望まれない妊娠・出産後の支援や虐待対応をしていると、殺すくらいなら産まなきゃいいのにという意見を耳にします。
その気持ちを否定できない部分もあります。
でも、愛着は保ってほしいと願い立場に変わりはないです。

とはいえ、、
例えば人が食べるいのちに視点を広げるとブランド肉や作物、イベントに連動した食材などは、生きると殺すがすごく近しい距離にあります。
やがては人の口に入るために生産される食物。

生きるために仕方ない、凡夫だから。って簡単に割りきれない部分が私にもあるので先程は漢字テストの様にはいかないと書かせていただきました。
無明と生死の位置関係だけでは片付かないため、娑婆の悲しみに対して仏の智慧をどう照らし慈しみに転じるのか。

子どもがかわいくないと思った時期もあったけど、それは一時の感情。
乗り越えて、成長の節目で流す涙は暖かなもの。
そのような親子のかかわりを願います。

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泰庵  一法
「変えるべきは自身ではなく歩む方向」「時間とお金の使い方」「向きが変われば...
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あなたにとってとても大切な問い

何が正解とか間違いとかそういうことではないのですよ。

あなたにとってどうなのか?あなたが今そう感じているのなら今のあなたにとってはそういうものなのでしょうね。

あなたは、親が殺すために生んだ存在として自分を見ているのかな?

子ども云々の前に、あなたがいただいた生の問題なのでしょう。

動詞「殺す」の能動者は誰か、何か。それは思う通りにいくものか、などなど考えてみることも、あなたが何のために生きているのかを考えてみるのも大事でしょう。

あなたは今この生を殺されるために生きているのか?という問いですね。

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おきもち

はじめまして。北海道の片田舎の農村のお寺で住職をしております。 人生...
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質問者からのお礼

丁寧にさまざまな例えを出して答えてくださりありがとございます。死と殺は違うということは理解できているつもりなのですが、私の考えたこともあながち間違ってはいないと思うのです、、、
死というものがまだ私には曖昧すぎるのかもしれません。お答えいただいたことも含めて、もっと考えを深めようと思います。
ありがとうございました、

藤川さん
ご回答有難うございます。
死を背負う反面、幸せを背負うことにもなるというのは本当にその通りだと思います。
しかし、私にとって死はあまりにも大きな存在で、生きている間に得ることができる幸せなどとは比べものにならないようにも感じるのです、、、
幸せを沢山背負って生きていくことができれば、無理やり背負わされた死さえも超えて素晴らしい人生を歩めるのかもしれませんね。人生や命は素晴らしく尊いと思いますが、私は出産が尊いはまだと言い切れません。偏った見方ばかりにならないよう、視野を広く持ち考えようと思います。有難うございます!

和田さん
ご回答ありがとうございます。
生まれ生きる事が死を背負う事、という言葉をまだ私にはきちんと理解できませんが、とても印象的でしたのでこの言葉についてより考えてみようと思います。やっぱり私にはまだ、死や殺というものが曖昧なようです。
「どうせ死ぬんだから生まれないほうがよかった」というよりは、「何も感じず何も苦しまないでいたかったから生まれないほうがよかった」という風に思います。しかし、生まれてしまった以上、幸せになれるよう努めたいと思いますが、、、
ご回答くださりありがとございました。

吉武さん
たくさんの考えるべき問いを示してくださって有難うございます。
特に最後の問いは、私にとって大きな問いと言えます。私は殺されるために生きているつもりはありません。私は生きている、というよりも、生かされていると感じています。私は望んで生きているのかどうか、わからなくなる時があります。しかし生まれたことは事実ですので、死が来る時まで、なるべく楽しいとか、嬉しいとか、幸せとか、そういう気持ちになれるよう努めたいと思っています。親が私を殺すために産んだとは思いませんが、世の中の空気とか、世間の目とか、性欲とか、なんとなく子供は産むものだとか、そういった、私からすれば小さい理由で産んだのだと思います。
もっとこれらの問いについて、よく考えることが必要だとひしひしと感じました。ご回答くださりありがとうございました。

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