hasunoha お坊さんが必ず答えてくれるお悩み相談サイト

お坊さんに質問する
メニュー
メニューを閉じる

叔母の死が心に引っかかっています

回答数回答 1
有り難し有り難し 7

今年の三月に、お一人様だった叔母がガンで亡くなりました。

彼女は海外生活が長かった為、自己主張が激しく、他人への接し方も物凄く厳しかった上に人の悪口ばかりを言う人だったので、周囲の人達から避けられていました。また、実姉である私の母とも会えば直ぐケンカになってしまう事が多かった為、彼女一人では出来ない身辺の世話は、長年私の役割になっていました。

(私が思春期に入る頃に別の病気で帰国してきた時は勉強面でこちらがお世話になることが多かったのですが、こっちもこっちで反抗期だったのでやはり喧嘩の繰り返し…。落ち着いて接し合う事が出来るようになったのは、私が大学生になって彼女への接し方を学んできた頃からだったと思います。
クリスマスにはお手製のディナーを振る舞ってくれたり、紫陽花の季節には一緒に遠出をしたりと、いい思い出もだんだん作れるようになっていました。)

ですが、8年前にガンが発覚して (たまたま私が家を訪ねた時に物凄く体調を崩している姿を発見し、「このまま死にたい」という彼女を泊まり込みで1ヶ月掛けて説得して病院につれていきました) 以降、入院中はほぼ毎日病院に通い、退院しても診察の度に病院まで送り迎えをし…。彼女がだんだんと弱っていくさまを一番近くで見ていました。昨年春に余命宣告された時には涙が溢れて止まりませんでした。

病状が悪化してからも、彼女は先述の通り我が強かったので、在宅介護の方に説得されても頑なに意思を曲げず最期まで自宅にいる事を選びました。最期の日、意識のあるうちに「私の叔母さんでいてくれてありがとう。大好きよ」とお別れをしました。
そして、息を引き取ったあとは、彼女から生前言われていたとおりの手はずを整えて葬儀も終えました。

…なので、何もかもを完璧に終えたはずなんです。終えたはずなんですが、私だけがまだ、叔母の死を受け入れきれてない気がするんです。
叔母が好きそうな猫のグッズを見つけたり、よく一緒に行った場所へ行ったり、出かけるために車の運転席に座ったり…。そんな一瞬にさえも、叔母の存在を思い出してしまって、なんとも言えない気持ちになってしまうのです。

他の人はもう、彼女の死を受け入れて前へ進んでいるのに、このままでは私だけが取り残されてしまったままになってしまう様な気がして、不安でなりません。どうしたら、私も前向きになれるのでしょうか…


この問答を娑婆にも伝える
facebookTwitterLine

お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

叔母様の最後の教え

叔母様のご命終に謹んで哀悼の意を表します。

南無阿弥陀仏

そして叔母様とのエピソードをお聞かせいただきありがとうございます。

それだけ濃密な時間を共に過ごされたのですから、現在の状況・心情はある意味で当然のことと思います。
その悲しみやモヤモヤの深さがそのままあなたと叔母様の関係の深さを表しているのです。
前を向くということがスッキリ気にしなくなってしまう事なら、それは前向きというか後ろ(≒本来見るべきもの)を見ないようにして(ごまかして)いるというものかもしれません。
そのモヤモヤをも引き受けて生きていけるのが本当の前向きではないでしょうか。

仏教では生のみが私たちではなく、死もまた私たちの姿であると教えられます。死すべき命、常に死と共にある命を今生きているのです。そのことを叔母様は自らのご命終を通してあなたに伝えてくださったのです。今のままこのことを丁寧に受け止めていきましょう。

あなたが死してもなお叔母様とともにいるような心持ちになるならば、人は死んで終わりではない、死んでもなお共にあり、はたらきかけ、呼びかけ続ける存在であることに気づかされます。
つまりあなた自身もまた誰かのそのような存在になれる。死んで終わりではない命を生きているということです。

死んで終わりならば生きている今は虚しいです。叔母様は「そうではないよ」と教えてくださっているのです。

叔母様のご命終、そして今もなおあなたに呼びかけ続ける声なき声を感じながら、あなた自身の命を見つめるご縁としてまいりましょう。

あなたのペースで。これからも叔母様と共に。

{{count}}
有り難し
おきもち

はじめまして。北海道の片田舎の農村のお寺で住職をしております。 人生...
このお坊さんを応援する

質問者からのお礼

ご回答くださりありがとうございます。
生前、叔母は「人は死んだらそれで終わり」と自分で言っていたのですが (笑)、私の心の中には、何だかんだ言い合いながら過ごした叔母との色々な思い出が残っていて…未だにいなくなってしまった実感が薄いです。
今までに多くの親戚を見送ってきましたが、こんな気持ちになったのは生まれてはじめてで、どう気持ちを整理すればいいのかわからなくなっていました。
ですが、これからは、今抱えている思いのありのままを自分の中で受け入れ歩んでいく事を、心に留めて生きていこうと思います。

温かい気持ちになるお坊さん説法まとめ