hasunoha お坊さんが必ず答えてくれるお悩み相談サイト

お坊さんに質問する
メニュー
メニューを閉じる

過去との向き合い方を教えてください

回答数回答 1
有り難し有り難し 25

こんにちは、今回初めて相談させていただきます。

私は過去に、罪を犯してしまいました。
簡潔にご説明すると、いわゆる盗みです。
警察沙汰にはなりませんでしたが、少額であれ本来ならば罰せられることをしてしまいました。
その頃は罪の意識も薄く、今思えばそんなことを平気でやっていた自分が恐ろしいです。
情けないことに、それに気付くには遅すぎて、今はもう直接謝罪しに行くことも出来ません。

今までの人生を振り返ってみると、本当にロクなことをやっていなかったと思いますし、家族にも散々迷惑をかけました。
そんな今までの自分への恐怖心と、激しい後悔に苛まれています。

勿論これからは絶対にしないと心に誓いましたが、それだけでは心が落ち着くこともありません。
やってしまったことは消えることはなく、今後一生抱え続けていくことになると思います。
これからを生きていく上で、どのように過去と向き合っていくべきなのか、非常に思い悩んでいます。

こんな生き方をしてきた私は、もう真っ当な人間になることや幸せを望んではいけないと、覚悟を決めるべきなのでしょうか?


この問答を娑婆にも伝える
facebookTwitterLine

お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

謝罪で気持ちが晴れるのは加害者だけ

拝見いたしました。

少し系統は違いますし無礼ですが、いじめで考えてみましょう。
幼い頃、AくんがBくんをいじめていました。
成長して大人になると、Aくんは罪悪感が湧きました。
そして謝罪すると、Bくんはいずれかの選択肢を取りました。
①「たいしたことではなかった」といって許した
②「今でも引きずっている」といって許さなかった

という状況を考えてみます。
①の場合。Aくんはほっとするでしょう
②の場合。A君はまた違った罪悪感に苛まれて慎ましく行動するでしょう。
こう考えると、①であればいいな、と思うかもしれませんが、それは間違いです。
Bくんは大人の対応で許しただけで、当時傷ついていたことは事実。
大人になって謝る人たちは許してもらうことで、心に傷を負わせたその過去を消したいだけです。悪いことしてなかったよね、と過去を書き換えて罪悪感を消したいのです。
ですので、①も②も正しいことは変わりません。
Aくんは過去を背負った上で生きなければなりません。

しかしあなたの場合は、相手に謝罪することができません。
ですので、過去を書き換えることはできません。

つまり、謝っても謝らなくても、許されても許されなくても、あなたがやることは相違ありません。
過去を背負うことから逃げず、受け入れて今を生きるのです。
幸せになるな、と言っているのではありません。
盗みを犯したのであれば、それ以上のものを与える生活を心がける。
これで帳消しになるわけではありません。
ですが過去を受け入れて行動しているのですから、それで幸せになれたら幸せでいいんです。
過去を無視されることが、被害者にとって一番悲しいものですから。

厳しい、と思いますか?
あなただけのことも考えれば「罪悪感は心が作り出したもの〜」といって安心させるでしょう。
しかし、これでは損をさせた相手のことを考えない発言なのです。
あなたがこれまでもこれからも生きていくのは人間社会です。
自分だけでなく他人と関わって生きていく。
ですので、他人の気持ちも考慮した生活を心がけてほしい。
それゆえの発言、どうか自分なりに解釈していただきたいと思います。

{{count}}
有り難し
おきもち

温かい気持ちになるお坊さん説法まとめ