死んだ後のこと
私はポジティブな性格でいつ死んでも悔いのない生き方をしてきたつもりでした。母が亡くなった後も、とてつもない大きな悲しみを感じながらも、母はきっと今頃は亡くなった祖父母たちと天国で幸せに暮らしているに違いない、私も死んだらそこに行くわけだから、これからは死ぬ事も怖くないと思っていました。
しかし、最近、仏教に興味を持ったので、少し勉強してみると、死んだ後にみんなが極楽浄土に行けるわけではなく、ほとんどの人はまた生まれ変わってしまうこと。それも、人間に生まれることは滅多にないということではないですか。そう考えると、もう母に会えないのかもと、また落ち込んでしまいました。
悩み相談の答えを読むと、亡くなった方たちは、他の亡くなった家族と幸せに暮らしているから心配ないなどと書かれていますが、それらは単なる気休めなのでしょうか?
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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【報恩】恩に報いる
"単なる気休めなのでしょうか?"
鋭いご質問、誠にありがとうございます。
結局どっちやねん?と尋ねられても、結論から言えば、死後の事は誰にも確かめようがありません。
我々には、修多羅(お経)を頼りに<考える>しか手立てがありません。何を考えるのかというと、死んだ人はどこへ行ったのかということよりも、「残された自分たちが、その後どのような生活を送れば故人のご恩に報いることになるのか」です。ですから、説く対象の【機根】(理解力や状況など)に応じて、話す内容がまるで真反対になる事も往々にしてあり得ます。
ただ私は、あなた様からこのご質問を頂戴するにあたり、私たち僧分の側も相手をちょっと慰めたつもりになって「あの世でまた会える」または「別々のところに行き着く」などと、軽率に言うべきではないと改めて考えさせられました。ありがとうございました。
あなたのお母さんが今どこで何をしておられるのかは、やっぱり確かめようもございません。しかしながら、お母様に育てられたあなたがいつまでも母を恋しがるあまり、現在の生活が浮き足立ってしまったとなれば、いつかはまた会えるとしても、さて、どのツラ下げて会いに行けるというのでしょうか?こんな親不孝はありませんよね。何卒、お母様の御遺訓を大事になさいまして、今日から明日から、また元気に<あなた>を生きていってください。