信仰するには
母や祖父母も死に、長らく時間が経ちました。日々、苦しみや悲しみがあります。悩みます。自分も信仰する心を持ちたいと思います。亡き家族を偲び、しなやかに前向きに生きられるのでは、と思います。でも、お金がかかるし、逸話などもあんまり信じられないし、どうしても信仰するまで行きません。私はどうすれば信仰心を持つことができるでしょうか。そもそもお坊さんは、色んな逸話や話を信じていますか?
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
信じられなくても良い
経典に書かれているお話を100%信じているかと言われれば、私はそうではありません。
ただし、教義は教義としてそれなりに理にかなっている部分があります。
まずは、信じられる部分、理解できる部分から入っていきましょう。
諸行無常や諸法無我などの、ブッダが発見した真理は、信じる信じないに関係なく事実です。
また、信じられなくても共感できるものもあるでしょう。
アンパンマンは実在しませんが、アンパンマンがお腹を空かせている子供達にパン(ちぎった自分の顔)を食べさせる気持ちには共感できるでしょう。
阿弥陀仏や極楽浄土を信じるのが難しくても、善人でも悪人でもみんなもれなく救われたら良いのになという仏様の大慈悲には共感できるでしょう。
疑いながらも念仏すれば往生できると書いている書物もあります。
「口先で南無阿弥陀仏と言えばよい、心なくして申せるものか。」
(口先だけの表面的な念仏でも、その念仏が口から出るのはどこかに信心がある証拠だ)と言われた僧侶もいました。
数珠を手に持って念仏を称(とな)えるという「形」から入る方法もあると思います。
まずは一つに絞って
こんにちは。
あなたがどの宗教、宗派での「信仰」を考えているかわかりません。
当然、宗教、宗派によって「信仰」は違います。
むしろ、あなたが「信仰」を一括に「信仰」と漠然としてしか表現できないところに「信仰」への学びが深められていない現状を想像します。
実際に何という宗教、宗派の「信仰」かを一つに絞って、まずは石の上にも三年で集中してやってみてください。そのお寺の法話会、坐禅会などに出席し、書籍も手にとって見て下さい。
ちなみに、浄土真宗では「信仰」とはいいません。
信心とはいいます。
しかも、自分で信じ込んだ、作り上げた信心ではありません。
人間が作り上げたものではなく、仏様が作られた信心なのでご信心といいます。
これをそのまま頂くから浄土真宗的な「色んな逸話や話を信じ」られます。
あなたの導入になれば。
信仰
なりっくまさま
信仰は、盲目的、妄信的、狂信的なものにならならいように気を付けたいものとなります。
「師の教えを、ただ尊敬だけをもって受け入れるべきではなく、金細工師が、その扱っている金が本物か偽物か、その金を焼いて、切って、磨くことをもって慎重に吟味するように、そのようにして師の教えも受け入れていくべきである」として、例え尊敬される偉大な師の教え、もちろん、釈尊の教えであろうとも、批判的、合理的に検証を繰り返して、しっかりと納得した上にてその教えを修習していくことが大切なことになって参ります。
僧俗共に、私たち仏教徒においては、「仏陀の教えとはどういうものなのかを理解した上で信心すべきことを知るべきであり、これは大変重要な点である。正直で開かれた心を持ち、懐疑心を持って詳しく調べ分析することにより、その理由を探究し、根拠を確かめた上で、智慧に支えられた信心」により仏道を歩むべきことになります。下記もご参照下さいませ。
『近代の世界における科学技術や工業製品の発展には目覚ましいものがあるが、一方では、今世のあらゆる思惑に心が大きくかき乱されていることも確かなことである。このような時代には仏陀の教えに従う者たちが、仏陀の教えとはどういうものなのかを理解した上で信心すべきことを知るべきであり、これは大変重要な点である。正直で開かれた心を持ち、懐疑心を持って詳しく調べ分析することにより、その理由を探究し、根拠を確かめた上で、智慧に支えられた信心を生じるためには、広く知られている「世界の六人の荘厳と至高なる二人と呼ばれる方々や、ブッダパーリタ(仏護)、アーリヤ・ヴィムクティセーナ(解脱軍)などの手による特に優れた甚深・広大な卓越した著作はなくてはならないものと見て、「世界の六人の荘厳と至高の二人」には以前からの伝統的な仏画の描き方の伝統があったため、甚深・広大の流れを汲む九人の偉大な導師たちを新たに加えて、「ナーランダー僧院の十七人の偉大な成就者たち」の仏画を新たに作成したいと考えたのである。』
「映えあるナーラーンダー僧院の十七人の成就者たちへの三種の信心による祈願文」(造 ダライ・ラマ法王猊下)
http://media.dalailama.com/Japanese/texts/praise-17-nalanda-masters-JP.pdf
川口英俊 合掌