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煩悩が無いと無気力になるのでは

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有り難し有り難し 47

何かが好き、もっと欲しい、もっとこうしたい、ああなりたい、
というような気持ちは「欲」という煩悩だと思いますが、

こういった気持ちが全く何も無くなる時があります。

「欲」がなくなった状態とは、仏教的には良い状態なのではと思うのですが、
そういう境地の時は何かに執着している時以上に生きるのが辛いと感じます。

何もやりたい事も無く、求めるものも無いと無気力になり、
なぜ生きているのかと言う事を、より考えてしまいます。

欲を無くし、ただ辛い世の中だと思いながら生きるのは正しい生き方なのでしょうか。

私は今、何を求めていいのか何がしたいかもわからないです。
それもまた別の煩悩と言うのかもしれませんが。

2021年7月16日 10:40

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お坊さんからの回答 3件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

ちょっと休みませんか…

 『無気力』…浅学のため、正確には申し上げられませんが、仏教的には煩悩がないか、極めて少ない状態と受け止められると思います。
 欲求、欲望が極めて少ない、本来とても良い状態ですよね。
 でも私達人間には煩悩があります。向上心も煩悩です…だから向上心という煩悩が無い状態を人は是としません。故に無気力を否定し、気力を振り絞れと激励するのです。ちょっと休んでいる状態の人には随分と迷惑で、うっとうしい言葉と言えます。
 今、あなたは疲れていらっしゃるようです。心も身体も…。
 ならば、休みませんか? それは無気力とは言わないと思いますが。
 『今、何を求めていいのか何がしたいかもわからない』状態を良くないと決め、そこから抜け出そうとするのも向上心という名の煩悩です。
 その煩悩を否定したところで無くすことは出来ません。
 ただ、仏教では執着を離れることを説きます。「今の状態を抜け出さなくては『ならない』」と思う心が執着心です。
 仏教的には「出来る範囲で精一杯」が一番大切なことです。
 今すぐに出来ないことを御自身に強制することは、ますます自分を追い詰め、苦悩を深めていく結果になります。
 無気力が良くない…と思う前に、今自分は無気力であると認め、そんな自分に向き合いましょう。
 飾り立てない、見栄張らない…今の素の自分を見つめ、いたわりましょう。
 まずはそのことから始めて下さい。
 焦ることはありません。気力は振り絞るものではなく、自然と出てくるものです…だって煩悩なのですから。
 あなたを仏様が見守り続けます。焦らず、じっくりとしっかりと…そのことを深く受け止めて下さいませ…。

2021年7月16日 11:17
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有り難し
おきもち

『煩悩が無くなると無気力』ではありません

ご相談をお書きくださってありがとうございます。

さて、貴女が煩悩などが無くなって無気力になり生きていたいという気持ちも消えるとのことですが、多分それは煩悩が消えたのではなく、心が疲れてしまっているのだと思います。鬱状態なのかも知れません。

そんな時は、充分に睡眠を取ったり、可能であれば仕事を休めるようにしましょう。
それが無理であれば、もしくはそれでも無気力が続くのであれば、診療内科を受診してください。

こう申しますのも、煩悩がなくなったら無気力では決してないからです。

煩悩が無くなるとは、自分の本当の存在に目覚めて悟るということです。
その場合、無気力ではなく、とてつもない輝きと幸福感に包まれると言われています。

また、真言密教では一般的な欲をさらに進化させて、人々のために何か役に立ちたい、もしくは仏道を学びこの世界をしっかりと理解したいなどの『大欲』にすることを尊いとします。
つまり『欲』は『大欲』の種として、完全に否定はしません。

今の貴女の状態は、心が疲れているので、まるで煩悩が無くなったように感じているのだと思います。

どうか、心身をお大事になさってくださいね。

何度も書いて恐縮ですが、生きていたくないとの思いが心に持ち上がるのであれば、心療内科をご受診ください。

合掌

2021年7月17日 9:24
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有り難し
おきもち

仏道に入門して39年が経ちました。 死ぬまで修行を続けるのがお坊さん...
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慈悲に生きたお釈迦様

お釈迦様は35歳で悟って煩悩が消えた後、80歳で亡くなるまでインド各地を旅して教えを説き、たくさんの弟子を育てました。
亡くなる直前の体調不良の最中、弟子入り志願者がやって来たときも受け入れました。
物凄い気力(エネルギー)です。
お釈迦様には欲・怒りの煩悩も、怠けの煩悩も無かったので、慈悲の心によってひたすら他人のために、心は身軽に活動的になれたのではないかと、私は想像しています。
私達が、やるべきことがあるのに無気力になって面倒臭いと思ってしまうときは、怠けの煩悩が起動しているときだと思います。
悟っていない私達は煩悩だらけですが、欲・怒り・怠け・プライドなどの煩悩をある程度コントロールするテクニックは、仏教を学べばかなりマスターできると思います。
それは、お釈迦様が遺してくださった、悩み苦しみを軽減するノウハウなのです。

2021年7月16日 12:50
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有り難し
おきもち

がんよじょうし。浄土宗教師。「○誉」は浄土宗の戒名に特有の「誉号」です。四...
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質問者からのお礼

小林 覚城様

ある方が良い煩悩というのもあるのですね。向かう先が見えていないだけで、私にも向上したい気持ちがあるのかもしれません。
休むと言うのは周囲の理解や経済的余裕が必要となるので難しいですが、自分の状態として受け止めようと思います。
こうでなくてはならない、と思う心が執着心と言うのはとてもわかりやすかったです。
気力が自然と出てくるよう、「出来る範囲で精一杯」の気持ちでいるようにしようと思います。
あたたかいお言葉、ご回答ありがとうございました。

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願誉浄史様

お釈迦様は煩悩が無かった為に、体調不良であっても他人のために活動的になれた、というお考えに納得しました。煩悩について私は理解できていなかったとわかりました。
私が無気力のような状態なのは、やるべき事が見えていないだけなのかもしれません。それがわからないから無気力、または怠けたい気持ちになるのだと思います。
こういった煩悩をコントロールするテクニックこそが仏教なのですね。
まずはやるべき事から見つけたいと思います。
ご回答ありがとうございました。

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悟東 あすか様

煩悩が無くなると輝きと幸福感に包まれるのだとすると、きっと私の煩悩は無くなっていませんね。仰る通り、心が疲れてしまっているだけなのかもしれません。
人々のために役に立ちたいと思うことも『欲』として捉えるのですね。この世界を理解したいという『欲』は私にも漠然とある気がします。
診療内科には10年ほど通うも打開できていないので、心身を休めることを念頭に置き、仏道から糸口を探ってみようと思います。
ご回答ありがとうございました。

「煩悩」問答一覧

「足るを知る」と「向上心」のバランス

明けましておめでとうございます。 全ての皆様にとって、健やかな一年となることを祈念いたします。   *   「足るを知る」と「向上心」をどうバランスさせるかについて質問です。   ■質問の内容 ・人間の煩悩はキリがありません ・煩悩とうまく付き合うために「知足」が重要との理解です ・一方で、より良い生を営むには、「向上心」が必要です ・しかし「知足」「向上心」は、ときに相容れないように思われます ・そこで、両者の使い分けについて、ご意見を頂戴したかったもの   ■質問の背景 ・私は肉体や精神、能力等の向上(=欲求を満たせる自分に成長すること)を目標として努力してきました ・結果、自分自身や周りの人の幸せを実現できると考えてきたためです ・しかしある時、幸福度は上昇していないことに気付きました ・そんな時に「知足」の重要性に気付き、「向上心」との折り合わせについて強い興味を抱いたものです   ・両者の使い分け方法について、下記2パターン考えました   ■仮説① 行為の目的(相手のため/自分のため)で、以下の通り使い分けるべき 【良さそうな例】 A「相手のため」×「向上心」 (例)より喜ばれる仕事をしたい B「自分のため」×「知 足」 (例)菜食で十分 【悪そうな例】 C「相手のため」×「知 足」 (例)今の仕事の質で十分 D「自分のため」×「向上心」 (例)より美味しい食事をしたい   ■仮説② ・「知足」と「向上心」のバランスを考える必要は無い。 ・自らの欲求を満たせる自分に成長する「向上心」が重要である ・逆説的だが、向上心(欲望)を満たした経験により「足るライン」を把握できるようになる ・肥大する向上心(欲望)を実現した経験が、「自らを満たさない、長く続かない」ことを体感させる ・知足は、頭で理解するものではない。体得させる必要がある    (例)お金をもっと稼ぎ、食事にお金をかける。結果、最高級の焼肉もファミチキも両方美味しいし、どっちも幸せで、(実は)どっちも大差ないことを体感する。 しかしずっと貧しいままだと、どうしてもやせ我慢での知足となる。「知足の習得」には、欲求を満たして「こんなもんか」という体験が必要不可欠。 お釈迦様が王子の頃に豊かだったことは、悟るための必須条件。。?   少し漠然とした問いで申し訳ございません。 どうぞよろしくお願い致します。

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