亡くなった祖父と、遺されたわたし
こんばんは。
母方の祖父が亡くなってしまいました。幼い頃からいろいろな場所を一緒に歩き、人生の節目節目で思い悩む私を励ましてくれた祖父は、言葉では言い尽くせないほどかけがえのない存在でした。最晩年の数年は記憶力が著しく衰えてしまいましたが、最期まで身の周りのことは自分でできていました。こうした祖父の生きざまは、私にはとても理想的で自然な老い方に見えました。一方で歳を重ねていく祖父を見ていて、祖父がいなくなることは私の最も恐れるところでしたが、現実は受け入れがたい悲しみがあります。
これから順を追ってお通夜とお葬式に臨むことになっているのですが、さて自分は祖父ときちんとお別れができるのか?、これから生きていく気力を保てるのか?、ということをとても不安に感じております。私にできることと言えば、悲しむこと、祈ること、偲ぶことくらいですが、喪失感が大きいゆえに祖父が安らかな眠りに就くことへ本当につながるのかどうか、何をしても虚しい気持ちがしています。亡くなった人の「存在」はどうなるのでしょうか。私たちの身近なところで見守ってくれているのでしょうか、それとも新しい生を受けて、全く違った形で次の命をつないでいるのでしょうか。御礼や悲しみの気持ちを、どう伝えたらよいのでしょう。
さらには、これほど大きな存在であった祖父を喪い、生きていく希望を持てない身の上となりました。私の周りには近しい親族もおりますが、祖父のいない人生を考えると、すぐにでも死後の世界へ行けるならどれだけよいだろうという気持ちを持ってしまいます。現実には不孝なことはしたくないという自覚があるものの、喪失感は如何ともし難いです。
かけがえのない肉親を喪った方は、皆さんこのような思いをお持ちになることと思いますが、この世で一人しかいない祖父がいなくなってしまったことは只々悲しく苦しいです。これから直面することになる故人とのお別れや、故人を喪った人生の意味についてお教えを願いたく存じます。乱文で、身勝手な相談とも思うのですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
世の中に希望が持てない。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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ねぎらい、悼み、そして、励ます
お祖父様の御逝去、心より哀悼申し上げます。
お葬式の意義について、私は以下の3つのポイントに分けられると思います。
1、今まで頑張って人生を送ってきたことをねぎらう。(故人への敬意。)
2、しかし、現実は思い描いたようにはいきません。思い描くことすら、ままなりません。悔いのない人生を生きたいと思っても、思ったようにはいきません。悔いは残ります。無念さは残ります。それだけに、「悔い」や「無念さ」に寄り添い、その方の死を悼んであげましょう。(故人への共感)
3、来世の幸福を願う
この世の人生に悔いが残るからこそ、来世で幸福になって欲しい。来世が幸福となるよう、力づけてあげたい。そういう思いを込めて、お焼香し手を合わせお見送りするのです。(故人に寄り添い、来世への旅立ちを励ます。)
質問文に「悲しむこと、祈ること、偲ぶこと」とありますが、それで十分だと思います。「悲しい」気持ちはわかります。お祖父さまの死を悲しんであげることは、大事です。生きる力を無くしてしまったら、お祖父さまを悲しませるだけでしょう。
今までお祖父さまから頂いた恩と愛情に感謝していると思います。残念ながら直接の恩返しは出来ません。出来るのは、葬儀や中陰供養や年回供養と言う供養です。供養とは「供給資養」の略と言われ、仏様や御先祖に供物やお香や真心を捧げ、其の御徳や教えをいただき、自分自身を養い高めていく。そういう意義があります。しっかり生きていくことが供養の出発点です。
直接の恩返しは出来なくても、「自分の、この命を大事にして、しっかりと生きていきます。」という気持ちで手を合わせ、お焼香に気持ちを込めましょう。そして、「お祖父さんが私に愛情を注いでくれたように、私も周囲の人間に愛情を注いであげられるよう頑張ります。」と語りかけてあげて下さい。
質問者からのお礼
吉田 俊英 様
お教えをいただき、ありがとうございました。この間、お通夜とお葬式が滞りなく済み、祖父はお骨になりました。
これまでの私はただ祖父に甘えているだけでしたが、祖父自身にも生きていく上での悩みや苦しみが数多くあっただろうと思うと、生前にもっと話を聞いてあげればよかったなと思っています。幸い、棺の近くで一晩を過ごすことができ、いくらか語りかけることはできました。そして、祖父へ伝えたいことを手紙にして、棺の中に入れて見送りました。
突然のお別れとなってしまい、心の整理がつくまでには時間がかかると思うのですが、お葬式の意義をお教えいただかなければ、さらに茫然自失のまま一度きりの見送りを終えていたと思います。今後は心を込めて祖父の供養に努め、祖父の歩んだ道を振り返りながら、自分がどう生きていくべきかも考えていきたいと思います。ありがとうございました。