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助けられたのではないか?という悔しさ

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有り難し有り難し 23

東日本大震災の津波により母親を亡くしました。当時私も、父親も仕事で出払い、自宅には自営業を営んでいる母親だけが居て被害に遭いました。まさか津波が家まで来るとは(海から相当近いわけでもないので)、また自分も職場の人を車に乗せて逃げていたので身動きもとれず、その時は揺れが落ちつくまで(30分程)高台の路肩に車を止め、待機していました。急いで自宅に戻ると、悲惨な悪夢状態。母親を探し回るが、雪は降るわ暗くなるわで、父親が簡単に避難所に行こうと言い出したのです。夜が明けてその後毎日探し回りましたが母親が見つかったのは二週間後でした。
あの時、避難所に行かず、諦めずに探していたら!
あの時、30分の間待機せず、自宅に向かっていたら助けられたかも知れない!
そう思うと、やりきれません。
母親には沢山の苦労をかけたし、愛情をもらったのに、私は簡単に諦めた…。簡単に諦めた父親も許せません。5年経った今でもです。
私が助けなかったら誰が助けたんだ!って…。
亡くなってしまった人を想っても戻ってこないけれど、私のあの時の行動によっては助かった命かもしれないと思うと、自分が許せません。
母親にせめて今してあげられる事はありますでしょうか?(お墓参り以外に)


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

お母様は、あなたが生きていることを喜んでいます

「もしも、あの時・・・・」
震災で家族を亡くされた、多くの方々が繰り返し口にされたり、心の中で呟いておられることと思います。一旦高台に避難したけど、「家族を探しに」「先祖の位牌を取りに、」家に戻ろうとしたけど、一緒に居た方々に止められて取りに行かなかったことを悔やむ方も多いようです。
しかし、

一度は避難したのに「財布を忘れた」「位牌を」と自宅に向かい、二度と戻らなかった人が何人もいました。  http://synodos.jp/fukkou/14462/2

私の寺の檀家さんで沿岸部にお住まいの方は居ないのですが、檀家の娘さんの旦那(実家が沿岸部)さんから、こんな話を聞きました。
「地震の揺れが収まり、実家の兄貴がお袋ろの背中を押して何とか高台に連れて行ってまでは良かったけど、実家にまた戻って行きました。おそらく、お位牌か通帳でも取りに行ったのだと思います。しかし、兄貴は数日後に・・・」

 3月11日14時46分以降、岩手宮城福島の幹線道路は避難する自動車で渋滞しました。私も普段なら5分で戻れる場所から、信号が止まり渋滞する道路を30分かかって自分の寺に戻りました。津波が来る心配の無い場所だからいいですけど、これが津波が来る道路だったらどうだったでしょう。石巻市の牧山の岩肌で、仙台市若林区の東道路の土手に、多くの自動車が津波で打ちつけられているのを見た時には戦慄しました。あなたが居た場所の状況がわかりませんが、もし揺れが収まってから自動車で自宅に戻っていたら、渋滞に巻き込まれていた可能性もあると思います。
 雪の降る中、停電して灯りが全く無い中、捜索するのは危険です。お父様とあなたの命も危険にさらされていたと思います。あなたが無事であった。あなたが生きている。お母様は、そのことを喜んでいます。震災を生き抜いた命を大事にし、いい人生を生きることが恩返しです。

 沿岸部の曹洞宗の多くのお寺では、梅花講という御詠歌のグループがあります。ちょっと年配の先輩方が多いかもしれませんが、比較的若い方も居られます。お母様の御供養も兼ねて、御詠歌を習い唱えて見てはいかがでしょうか?近くのお寺さんに問い合わせて見てください。
http://www.sotozen-net.or.jp/baika/sicyo

 

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 目の前の方の悩みや気持ちをしっかりと受け留め、心を開いてもらうように努め...
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お母さんはあなたの幸せを願っています

お母さんのこと、心からお悔やみ申し上げます。
合掌、南無阿弥陀仏

先日の熊本地震がきっかけで、当時の辛い記憶が強く思い出されたのでしょうか。
でも仕方なかったのです。
人の命は儚いものです。
大きな自然の力の前には風前の灯火に等しいのです。
少し無常の風が吹けば簡単に消えてしまうのです。
あの時のあなたとお父さんの判断は、あの状況ではベストだったと思います。
高台に待機せず、すぐに帰宅していたら、あなたも巻き込まれていたかもしれません。
暗くなってきて避難所に引き上げなければ、瓦礫の崩壊や陥没した穴、地割れに落ちたり、余震によって再度津波が来たりして、あなたとお父さんも命を落としていたかもしれないのです。
お母さんはそれを望んではいなかったと思います。
浄土からあなた達の無事を祈っていたと思います。
早く避難所に行きなさいと祈っていたと思います。
お父さんもあなたの安全を確保することが一番と考えたのでしょう。
もしあなたまで失ったら、そう思ったお父さんは、お母さんを探したい気持ちを押し殺して、あなたと避難したのではないでしょうか。

あなたがお母さんに為にできること。
先ずは、あなたがあなた自身とお父さんを許してあげることです。
そして、あなたが幸せな人生を送ることです。
浄土から見守っているお母さんに、あなたの幸せな姿を見せて喜ばせてあげてください。
いつか浄土で再会できますよ。

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おきもち

私は浄土宗の坊さんです。 少しでも何か参考になればと思って回答しています...
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質問者からのお礼

圓常時・聖章様、洞林寺・吉田俊英様

お忙しい中、ご回答ありがとうございました。
私が幸せになる事が一番の供養になるとの事。
温かいお言葉に救われました。「あの時~たら、~れば」と責めても、何も生まれませんね。
生前、母親が私にくれた手紙を瓦礫の中から探し出して見つけ、宝物にしております。
「離れていても心はいつもそばにいるからね」と書かれております。
極楽浄土の母親に笑顔で逢えるように、日々精進していきたいと思いました。

温かい気持ちになるお坊さん説法まとめ