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競争心について

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有り難し有り難し 36

 私は昔からライバルがいる方が頑張りがきくタイプでした。受験勉強の時などは友人と点数を比べ合って競いあうことで、最後までモチベーションをキープすることができました。

 しかし、仏教ではあまり他人と比べたり、競争心を持ったりすることは奨励されていないというイメージがあります。 たしかに他人と比較する事で、自分も他人も傷つける事がある、という事は私自身が身に染みております。

 でも、他人と比較し競争心を持つことは人間の成長過程ではやはり必要な気がします。仏教では競争心の利点については認めていないのでしょうか? 


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お坊さんからの回答 3件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

仏法と王法は車の両輪のごとし

仏道はそもそも成果を求めません。成果を求めると好き嫌いの感情が出て、苦が生まれる。だから成果は求めない。成果主義がないから、他人と競う項目がない。他人と競わないから自分の修行に集中できる。自分の修行に集中できるから、結果でも過程でもなく、ただ今を生きることができる。そういうことなのです。

もっと突き詰めると、そもそも自分って誰よという話になります。

>仏道をならふといふは、自己をならふなり。自己をならふというは、自己をわするるなり。自己をわするるといふは、萬法に証せらるるなり萬法に証せらるるといふは、自己の身心および他己の身心をして脱落せしむるなり。

自分でもない、他人でもない、大きな大きな本来の自分だから、他人のことでも自分のことのように喜んだり、憐れんだりできる。競う相手ではなく、相手は自分を生かしている我が生命なんです。これが仏教でいう大人(だいにん)であり、仏教的な成長の方向性です。そこには苦が生まれる原因がありません。そして大きな大きな本来の自分だから、そもそも競うべき他人がいない。そういう話です。

ただ、北斗星さまのおっしゃることも分かります。仏教は成果を求めないって、それは出世間だから出来ることであって、社会生活をするには成果は不可欠です。私たちの大先輩がたも同じことを考えました。だからこう言ったのです。「仏法と王法は車の両輪のごとし」。どちらが欠けても足はもつれます。くっつき過ぎても壊れます。同じ方向を目指し、良いとこ取りして行きましょう。 成果を求め、でも成果に執着し過ぎない。競って腕を磨き、でも相手を敬う。

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曹洞宗副住職。タイ系上座部仏教短期出家(捨戒済み)。仮面系お坊さんYouT...
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一休さんは負けん気が強かったから悟りを得た

競争心が悪いのではありません。
それを使って自分優位に立とうとか、人を蹴落そうとか、ヨコシマな方へ行くのがイカンだけです。競争心という言葉を忘れてください。
それはエネルギーです。一つの原動力です。
ですが、優劣勝敗美醜になると醜くなる。
人生は勝ち負けではありません。
AKBの総選挙にしたって、誰が一番になろうが、ファンにとっては自分の好きな子が一番です。人気がいくらあろうが、沢山成果を上げようが、それはその人の成果です。
私の好きなある海外アーティストはコンプレックスが強く、その分、自分の分野では負けん気が強かったそうです。だから誰よりも私を感動させる作品を作りました。
一休さんも、負けん気が強かったから悟りを成し遂げた。
火もはさみも包丁も使い方次第で人を傷つける。
使い方次第で、人を感動させる。
あなたは競争心ということを重傷視するならば、そこで❝生き方・ありかた・人間性❞が問われているのです。
競争心はあって結構なのですが、人より優れていたい、勝ちたい、優位に立ちたい、というのはいやらしい。
スポーツもスポーツ感覚なら良いのですが、国と国の優劣争いとか、どこそこに勝ったからと喜んで泣いているとかは、純粋ならばいいのですが、過激になって勝敗にこだわるのは異常だと思います。自分が自分をいきればいいのです。私は、このサイトで数多く答えていますが、それは競争比較ではありません。困っている人がいれば、ただ楽になっていただきたいし、このサイトも70人以上の僧侶がいるので、一問一答ではつまらないし、せめてYahoo知恵袋のように多角的な視野が得られるようにと、なるべく全問回答を目指しているだけです。毎回10回答くらい出てくるようになれば、この男も消えていくでしょう。

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競争心は無いほうが苦悩が減る

仏教は、悩み苦しみをなくすための教えです。
悩み苦しみの根本原因は煩悩です。
競争心も煩悩ですから、仏教的には、競争心を無くす方が善いでしょう。
野生動物には、競争心はあまりない気がします。
たとえば2匹のオスがメスを奪い合う場合も、メスを手に入れたいだけであり、ライバルに勝つことが目的ではないでしょうし。

実力がアップすれば結果的にライバルに勝ってしまう、というのでよいと思います。
ライバルとの優劣を気にするとストレスの原因になると思います。
浄土宗の宗祖法然上人が、とある書物を書く手伝いを弟子に頼んだとき、最初は、法然上人の弟子の中でもトップクラスのAさんに頼もうとしたけど、やっぱり、どちらかというと若僧のBさんに頼んだのです。
なぜかというと、法然さんは、Aさんが、そんな重大な仕事を任されたら驕り高ぶり天狗になる恐れがあると見抜かれたからです。
凡夫(悟っていない普通の人間)には煩悩があって当然、この世で煩悩を消すのは困難だから、まずは往生浄土を目指しましょう、と説いている法然さんでさえ、弟子のプライドの煩悩を注意深く戒めようとしたのです。
医師にヘビースモーカーが「医学では喫煙の利点を認めていないのか?」と質問しても「禁煙するほうがよい」と言われるようなもんで、
競争心は、あるよりはないほうが善いでしょうね。
仏様はどんな悪人も見捨てないが、善人(競争心のない人)を見たら喜び、悪人(競争心のある人)を見たら残念に思われるでしょう。

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がんよじょうし。浄土宗教師。「○誉」は浄土宗の戒名に特有の「誉号」です。四...
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質問者からのお礼

皆さま、ご丁寧にご回答を下さりありがとうございました。 以前『世界にひとつだけの花』が流行した時に、その歌詞に対する評価が、教師をしている友人たちの間で賛否両論だった事がありました。私自身も「競争をするのは意味が無い」という考えと、「競争する事で人は成長する」という考えの間で揺れておりました。

皆さまのご回答をしっかり拝読し、「日々精進はするべきだが、人と優劣を比較し一喜一憂するのは全くの無意味である」という考えに落ち着きました。その考えを肝に銘じていこうと思います。

大慈 さま
いつも本当にありがとうございます。 おっしゃってくださった通り、成果に執着しないようにしながらも、個々が精進し、結果的に成果が生み出される、というのが理想ですね。「勝ち組」「負け組」などのような言葉にも、今後は惑わされないようにしたいです。大きな大きな本来の自分、というのはまだうまくイメージできませんが、そのお言葉を忘れないようにいたします。

願誉浄史 さま
いつも本当にありがとうございます。競争心は無いほうが良い と、きっぱりと断言してくださって、ありがとうございました。おかげさまで自分の中の迷いがスッキリ解消されつつあります。 ヘビースモーカのたとえはとても分かりやすいです。今後、他人と優劣を競う気持ちが自分の心にムクムクと涌いて来たら、タバコの煙だと思うことにします。

丹下覚元 さま
 いつも本当にありがとうございます。おっしゃるとおり、私が良い意味で解釈していた「競争心」という言葉を「原動力」という言葉に置き換えてみようと思います。お忙しいにもかかわらず、こちらの質問にたくさんのご回答を下さっていることに恐縮するとともに、心より感謝申し上げます。こちらのサイトの利用者としての勝手な希望ですが、私を含め悩みを持つ人たちの質問に、今後もずっとご回答を下されば、嬉しいです。

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良い人・優しい人が損する理由

YouTubeのオススメに「良い人・優しい人が損する理由はこれです」みたいな動画があったので、とりあえず観てみました。その動画には「ブッダの教え」というサブタイトルが付けられていました。 優しさと思いやりが、いいように利用され苦しむ主人公の話でした。 その後、主人公が見つけた答えは、 ①「自己尊重と他者への尊重のバランス(自分自身と他人の間に健全な境界線を引く)」 ②「自分の気持ちや考えを尊重してもらえない関係は健康的ではないと理解しそのような関係とは距離を置く」 ③「支援や協力が真に価値を持つ場合にのみそれらを提供するようにする」 というものでした。 私にはとても良い話に感じましたが「我を無くす」から遠のいてるようにも見えて、この話をどこまで鵜呑みにしていいのか迷っています。 「ブッダの教え」とありますが、この動画に出てくる登場人物名や逸話をネットで検索してもそれらしいソースが見つかりませんでした。 (生きにくさを抱えた現代人向けの創作?) ここでお坊様方にお聞きしたいのは①②③は仏教的に見て、実行しても大丈夫な内容でしょうか。 またお坊様方の考えなどもお聞かせ頂けたらと思います。 よろしくお願いします。 補足です。 私は優しさ・善良さとは程遠い人間ですが、周りではよく聞く話だったので、このテーマに関心がありました。

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