菩提寺の住職に葬式を頼まない人
住職の予定を無視して、通夜葬儀の日程、場所を決めてきました。
このままだと、離檀になってしまいます。どう対処した方が良いかご相談です。
最初に決めて来た日程が住職の予定と合わずに出来ないので、その旨を伝えると、葬儀会社の紹介する5万円のお坊さんにやってもらうからいいとのこと。
だって、そちらは出来ないんでしょ?という感じでした。
葬儀会社さんは寺の檀家制度ご存知無いのでしょうか?
住職が戒名も付けず、通夜葬儀を他のお坊さんがなさる場合、離檀となる檀家規約が存在します。もちろん、葬儀の日程を調整する際に直にお渡ししていますし、説明しています。
お父様はずっと前に亡くなっています。今回お母様が亡くなられた方で、御歳90歳でした。
喪主の長男さんは入院中で、何番目かの弟さんが葬儀のために動いています。
その家は、代々地域の組、昔でいう講中、分かりやすい言い方だと、檀家さんで作る自治会みたいなところに所属している家です。
お寺には管理費や積立金などは存在せず、お檀家さんの付届け、お気持を年に5回、盆、暮正月、彼岸2回、お十夜、頂いてます。その任意の付届けも欠かさずいらっしゃっていて、施餓鬼などの塔婆もあげてらっしゃいました。
喪主の弟さんが言うには、「〇〇葬儀会社でやって、会場は〇〇斎場でやってほしい」と亡くなられたお母様がおっしゃっていた。遺言だからその通りにしたいと。
だったら、最初に提示して来た日ならば、〇〇時通夜、〇〇時から予定があるので、〇〇時の火葬だったら間に合います。葬儀屋さんと逆算して、相談して開式の時間決めてください。と伝えたのですが、葬儀会場が空いて無いようで、その日は「火葬場が空いていない」と言われました。火葬場には電話して、空きを確認済だったので、おどろきましたが、まあ、葬儀会社が押さえているところが空いてないのかな、と思いました。
ではその日がダメなら、〇〇日や〇〇日はどうですか?お金の面も心配されていたので、町内会館を使うと使用料が安くて、尚且つ、日にち空いているので、使えるという旨までお話ししました。
火葬場、会館の管理をしている方などにも電話をしたりして手を尽くしたのですが、聞き入れてもらえませんでした。
このままだと、離檀になってしまう危機感もお骨を持って次を探さなくてはいけない大変さも感じられません。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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寺請制度の限界
”住職の予定を無視して”
正直、近頃ではよくある話です。
”このままだと、離檀になってしまいます”
そもそも【寺請制度】それ自体、今になってなんだかんだもっともらしい理由をつけたとしても、元々はキリシタンを取り締まる為に江戸幕府が作った制度です。現代では日本国憲法第20条で「信教の自由」が保障されている以上、こちらがいくら懇意にしているウチの檀信徒だと思っていた人でも、その人がどこの宗教施設へ参ろうと、どこの宗教団体に入信しようと、誰に葬儀を依頼しようと、そして長年付き合ってきたお寺から挨拶もなしに知らぬ間に離れていこうと、それを咎めたり阻止したりする権限は、我々お寺側にはありません。やはりこの寺請制度そのものが、もうすっかり時代遅れなのだと認めざるを得ません。檀信徒のニーズというワガママに応えきれなければ離檀も大いに有り得る、これも仕方のないことでしょう。お気の毒ですが、件の檀信徒さんの葬儀についてはあきらめられたほうがよろしいのではないかと。。。
今ある檀信徒を蔑ろにしてもよいという意味ではありませんが、我々古参の仏教寺院もいつまでも寺請制度におんぶにだっこではない元来のお寺、本来の僧侶の在り方を改めて学び直し、現代社会において何ができるのかを模索していかねばなりませんね。
そういう時はですね、お檀家様の都合もあるでしょうから、近隣の信頼できる同宗派のお坊さんに住職の代理をお願いするのがいいと思いますよ。
喪主様も親が亡くなって気が動転しているのかもしれません。
何を言っても話を聞くことができる状態では無いのかもしれません。
なるべく喪主様の意向に沿ってあげて、寺の方も他の寺と協力して対応しましょうね。
今回一旦縁が切れてしまっても、後日落ち着いてから話をしたら分かってくれることもありますからね。
電話でも喪主様に頭ごなしに言うのではなく、そのお母様がこれまでずっと寺に貢献してきたことを感謝する言葉を伝えてくださいね。
こちらの常識に囚われずに、今はご遺族の気持ちを優先してあげてくださいね。
南無阿弥陀仏
割によくあることです
今、このようなことは多いですね。住職さまのご都合を優先できない事情もあるかと思います。親戚やいろんなな関係の方が来やすいように、がまず優先順位だったのではないでしょうか。私は、在家出身僧侶ですので、そのあたりの感覚はよくわかります。菩提寺といっても、「別に離檀すればいいんでしょ」とお檀家さまから言われたら言い返せませんよ。むしろその規定への疑問や訴訟などにならないか、と心配になります。お寺が上から目線でいる限り、厳しい言い方になりますが、同じようなことが起きる可能性が高いです。先日、ある研修会で、そのような内容の話もありましたが、やはりお寺が関係性をきちんと作ってこなかった怠慢から来ているという話も出ました。だから、これからのお寺は、築地本願寺みたいにメンバー制とかそのような形で、交流を深めつつ、信仰も深めつつというのが大事になってくるのではないかと思います。「聞き入れてくれなかった」というより「聞き入れていただけなかった」ととらえて、これからのお寺のあり方など討議された方がよいかと思います。きつい言い方ですが、事情的にはどこも同じですよ。
お檀家さんにも信教の自由、祭祀の自由があるわけですから、「危機意識がない」とお伝えしても、「別にいいです」と返されそうです。
厳しい時代ですから、既成仏教にはなかなか大変な事態です。どうぞ、これからそのような問題にどう対処していくか、よくお寺で話あわれますように。
質問者からのお礼
大変為になりました。ありがとうございます。
実際、住職が1人で切り盛りしているので、なかなかお檀家さんの希望に沿ったご葬儀が出来ない場合も多く、心苦しく思っていました。もちろん、近隣の僧侶様にもお声がけをしましたが、お盆後、彼岸前のこの時期、我が寺以外も法事が沢山あるようで引き受けていただけませんでした。
私自身、在家の公務員一族の出身で、千葉のニュータウンの方面から嫁いできました。実際、何百年続く部落の寺に来たばかりは、ジェネレーションギャップを感じざるを得なかったです。
今回、やはりこのお寺の規則、やり方は古く、時代に即していないことをお檀家さんの代表さん方に突きつけて下さったと思います。私と住職は、前からこのような事が今後増えていくという懸念があり、お寺も変わらなくてはいけないと言う気持ちはありました。いかんせん、総代さん方と我々は親子又は孫くらいの年齢差。なかなか、寺を動かして行くのは難しい面もあります。
今までもこのような事例は多々ありましたが、「部外の人」お寺の組に属さないお檀家さんだったので、総代さん方に伝えても、「外部の人はしょうがないなー。」という感じでした。
今回、初めて組に属する方がこのような事態陥ってしまったので、緊急総代会を開く運びになりました。
もう、この件の方は葬儀後の離檀が決定しています。総代長、世話役の方からも電話がかかってきてしまい、ただでさえ忙しい葬儀前大変だっただろうなぁかわいそうにと思ってしまいました。
まだ、ムラ社会が濃いこの地域に、どうやって今を生きるお檀家さんが望む、希望の場所で希望の時間にできる葬儀、法事を実現できるか、、住職の中にはプランがあるようなので、そこにどれだけ近づけるか頑張って説得、プレゼンして行ってもらいたいなぁと思います。
とりあえず、離檀される方には今までの感謝を伝えます。