ありすさま

チベット密教へのご興味、誠に尊く有り難いことでございます。

特に曼荼羅など灌頂の重要な内容に関わること、灌頂にて使用する法具等は、確かに秘密にすべきことで、秘密を見てしまった者、秘密を洩らした者が罪、戒律違反になってしまうこともありますが、最近では、画像や映像等でのメディア媒体、本やネット等にても広くそれらに触れられる機会があります。

例えば、秘密集会曼荼羅も許された灌頂受者でしか見れないものですが、ネットで「秘密集会曼荼羅」と検索すれば、誰でも見ることができるようになっています。

では、灌頂受者でない者が、それを見たとして、罪になるかどうか、答えは「否」であります。

詳しく述べると煩雑となるため省きますが、最近の傾向としては、とにかく仏縁を紡ぐことが何よりも重視される傾向があり、曼荼羅や法具等を通じて、興味を持って頂くことをきっかけとして、有り難く得難い仏縁を結んで頂けることが、罪云々よりも大事なこととされているからであります。

たとえ、密教の戒律である三昧耶戒に違反して地獄に堕ちようとも、確かなる仏縁があれば、必ずその仏縁が正しい善き方向へとその者を導く強い縁になるということであります。

「これまで幾度もこの輪廻を廻る中で地獄に堕ちてきたのに、今さら地獄に堕ちることをことさらに怖がることもないであろう。それよりも、何ら仏縁もなく、今まで通りに無明・煩悩に支配されるままに悪業を積み、それにより地獄など輪廻を永遠に廻ることの方がよほど恐ろしいことである。今、まさに得難き仏法と出逢い、輪廻を脱するための仏縁を結べる絶好の機会があるのに、どうして、戒律違反となり地獄へと堕ちる罪を恐れて、その仏縁の機会を逃そうとするのか、それで地獄に堕ちたとしても、それは昔から地獄に堕ちてきたのとは全く違う。仏縁があって堕ちるのとそうでないのとでは、天と地ほどの差があるのである。」

是非、善き仏縁へと繋げられて下さいませ。

川口英俊　合掌

Eishun Kawaguchi

岩瀧山 往生院六萬寺

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