決定論を知って、生きる意味って何?
先日、ハード決定論、ソフト決定論という考え方を知りました。決定論、つまり因果的決定論で、全ては自然法則で決まっているということです。ソフト決定論とは、決定論は正しいが自由意志とも両立できるという考え方です。私自身、このソフト決定論を信じたいです。
ですが、私達人間は環境、遺伝子、体の調子によって影響を受け、自由意志などないというハード決定論の考え方が正しく思えてなりません。
お坊さん方は人生についてどのように考えておられるのですか?
また、ハード決定論が正しかった時、私達の生きる意味、は何なのでしょうか?
私の今の答えは、より多くの色々な種類の幸せを感じ、心を震わせること、そしてもらった運命を生かして自分の人生を作り上げることが生きる意味であると考えています。
決定論を前にして生きる意味、どういう心持ちで前向きに生きていけばいいのか、教えていただきたいです。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
じつは自ら選んで決定している
そのなんちゃら決定論とやらは二つとも物質だけを考えて想定した話のようですね。
仏教では決定論とか運命・宿命論を邪見といいます。他の方もおっしゃったとおり、過去から現在まではもう結果が出ました。これは済んだことです。決定論ではなく決定です。
現在から先は未定です。縁起、縁って起こるというのですが、因果のような一対一対応ではなく、因と様々な縁が重なって、結果が起るという感じです。例えば、私が、大雨で頑張って学校に行こうとしたけど電車は不通、学校も途中から休講を発表してなんやねん、と感じた、とか。今ここ。いろんな因と縁で結果が出ました。
じゃ、帰ろうか、となったとき、前の結果が因縁となって、また私がいろいろな縁とともに行動します。まだ起こっていないいろんなバリエーションがありそうです。
その結果、何かが帰結した時、たとえば事故に遭ったとか、片思いの吉田君にばったり会ったとか、どれかの結果に導いた因縁があったのです。その因縁はその結果だけに帰結したと言えますが、最初からそれに決定していた運命だとはとても言えません。あなたがなんとなくそれに帰結する行動を選んで縁もそれに傾いて、それ1つが結果したと言えます。
なんとなく、気づいてもいなくても、一瞬ごとに自分で言動を選んでいます。その結果が、他の縁と働き合いながら、いろいろ出ます。
そして、大事なことですが、因は、私にとっての因は、私の心です。物質や他者の言動やその心は、私にとっては、様々な縁です。お互いに影響し合いながら、瞬間ごとに一つの結果を出し、それがすぐ次の因縁になり、忙しく相互作用を続けています。
今から先は何も決まっていません。決めるのは、外からの縁もありますが、まず何よりも自分の心です。と、仏教では言います。
意味が自分をつくる。
決定論は、それ自体に欠陥を抱えています。
なぜなら反証できないからです。
確かに出来事はつねにひとつしか起こらないのですが
しかしそれを以て、起こるはずだった別の出来事が「起きなかった」と言うのは証明になっていないのです。
証明するためには「起こっていたかもしれない」ということを否定できる論を立てないといけないのですが、それは構造上不可能だと思われます。
仏教でも今のところ決定論は採用されていないようです。
過去は変えられないが未来は変えられるというスタンスに近いと私は思います。
意味というのは、自分と世界とのあいだの、関係の取り方です。
行動を選択できるということは、それが自由意思であろうとなかろうと
それだけで意味を持ちえると思います。
ですから
決定論それ自体の証明よりも、
いま自分の目の前にひらかれている事実、悩んだけれど選んだという事実の方が
証明するまでもない確かな意味を持っているだろうと私は思います。
自分が意味をつくるのではなく
意味が自分をつくっていくのです。
ご参考いただければ幸いです。
南無釈迦牟尼仏 合掌
縁りて起こる
ノコ 様 相談ありがとうございます。
縁(よ)りて起こるという考え方を私は採用しております。
縁起(えんぎ)ですね。
「環境、遺伝子、体の調子」すべてがありとあらゆる直接的原因と間接的原因が折り重なりその結果と報いを起こしているという考え方です。
そこには、自分の意志を加えることによって将来を変えることが出来るという可能性が含まれております。
ですので決定論ではなく、自由意思を認める縁起論です。
たとえ実体はなくても、努力・精進などによって、将来が変化する。
努力や精進を認めて、ものごとはうつろいゆき、思い通りにならない苦しみの多い世界だけれども、それらを受け止めて、自他ともに思いやりを向けあって、しっかりと自分の人生を生きていく。
この考え方を私は採用しております。
参考にしてください。
質問者からのお礼
ありがとうございます