あるものに目を向けるとは?
仏教において、苦しみから解放される方法として、「今あるものを受け入れる」「執着を手放す」というものがあるかと思いますが、これの本来の意味合いはどういうことなのでしょうか?
例えば、私のように宗教2世に生まれたが、教えを受け入れられず、離教したい場合も、「宗教2世に生まれた」という今ある現実を受け入れて、「離教したいという煩悩(執着)」を手放し、このまま宗教2世として生きていかなければいけないのでしょうか?
また、今住んでいる場所を離れ、他の場所に引っ越したいと気持ちがあったとしても、「今の場所に住んでいる」という現実を受け入れ、「引っ越したい」という欲望(執着)を手放さなければいけないのでしょうか?
それは結局、新たなことへの挑戦を否定し、現状に甘んじなさいと言っているように私には聞こえます。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
煩悩とは
こんにちは。今回「煩悩」について概略をお伝えさせて頂きますが、私の説明だけでなく、調べてみてくださいね。
さて、言葉というのは便利なもので、とても手軽な表現媒体です。なので、一言で表現されていることも、「それって何?私にとってのソレと、あなたにとってのソレは違うのね」はよく起こることです。
さて、仏教における「苦」とは、「自分の思い通りにならずに苦しむ」事です。
そして、その原因は「貪り、怒り、無知」であると説明されます。今回あなたの悩まれている「離教したい」という思いが、「貪り」に当たるのか?というのがポイントだと思います。
ただし、これ「仏教内部の話、つまり宗派間の移動」であるならば、国内線みたいなもので、これらの分類はボヤけると思います。
次に考えられるのは、禅宗のお坊さんがするように、「自分の納得する師匠につくために、色んな所で教えを乞う」というのはもちろん肯定される、という事です。あなたの個人的体験として、あの和尚は信頼できない、このお寺はイヤだと言うなら、別を探すのは大いにアリだと思うのです。
その辺りは如何ですか?「兎に角、今の所を出たい」のか、「もっと信頼できる所は行きたい」なのか。仏教の坊さんに聞く以上、そこは開示して頂いた方が適切な回答を得られると思います。
メリットとデメリットを理解する
たとえばコップに入っているジュースを見たときに「もう半分しかない」と思うか「まだ半分も残っている」と思うかによって、その次の思考や感情がガラリと変わります。
まずは、物事には複数の見え方があると理解しましょう。
次に、人生にはいいとこ取りはない、どんな選択肢にもメリットとデメリットがあると理解しましょう。
ジュースが足りないなら買いに行くか行かないか、それぞれの選択肢のメリットとデメリットを天秤にかけるでしょう。
ただし、仏教では、生き物から苦しみは無くならないと説きます。
息を吸えば「吐きたい」という苦しみが生じ、歩いていれば「休みたい」、部屋でごろ寝していれば「動きたい」という苦しみが生じます。
どんな選択肢にも、瞬間ごとに苦しみ(宿題)はあります。
ただ、瞬間瞬間に苦しみ(宿題)の形が変わってゆくだけです。
宗教2世であることの苦しみがまずある。
それに対してどんな選択肢があり、選択肢のメリットとデメリットは何なのか?
また、迷っている場合は、「まぁ、どっちに進んでも人生に苦しみは無くならないんだから、適当に選んでもその都度その都度課題に対処すれば良いや」と開き直ることも大切です。
欲・怒り・怠け・プライドの煩悩(悩み苦しみの原因)は誰にでもあります。
自分の欲(やりたい)・怒り(嫌だ)・怠け(もうどうでもいい)・プライド(ここはこだわりたい)には素早く気付くようにし、他人の煩悩には「煩悩ある者同士お互い様」と大目に見てあげる慈悲を意識しましょう。
(デメリットを計算して、できる範囲でね。)
追記
やってみてダメなら諦める(手放す)ことも大切ですが、挑戦を否定する必要はないでしょうね。
質問者からのお礼
皆様、お忙しい中、ご回答していただき、ありがとうございました。私の宗教は、似非キリスト教のようなもので、愛や赦しを説いて起きながら、違う考えの人を否定する矛盾したところがあります。そこに嫌気が差して「離教したい」と考えるようになりました。仏教には以前から興味があり、教えについて調べていたのですが、「今あるものに感謝する」「執着を捨てる」ということがいまいち理解できず、今回、私の現状を例に上げて質問させていただきました。
「今あるものを受け入れる」とは、ただ現状に甘んじるのではなく、現状を認めた上で、どう対処するか、それによってどのようなメリット、デメリットがあるのかを検証するということなのだと理解できました。ありがとうございました。
願誉浄史様、ありがとうございます。
そうですね。やってみたいことには挑戦してみようと思います。