「許す」ということについて回答受付中
こんばんは。ここに聞いたら答えがいただけるかも?と思い質問いたしました。
私は自分のことも他人のことも「許す」ことができない人間です。
「許した」とはどういう感覚なのでしょうか、分かりません。
私の5歳の子どもでさえ、ごめんねさえ言えばうん!と言い、何事もなかったように誰とでも元どおり、仲良くしています。アメリカの友人も、何があっても最後は円満に握手と笑顔で終わります。私にはそれができません。
一度嫌なことをされたりするともう関わりたくないのです。
いつまでも傷ついている、いつまでも気にしている方が悪いと言われることもあります。でも私はされたことを忘れられないし、悪意からしたことは取り返しがつかないのでは?とも思うのです。
どうしたら子どものようにアッサリ許して元に戻れるのでしょうか?許したとはどんな感覚なのでしょうか?自分が子供のときはそうしていたのかもしれませんが、忘れてしまいました。自分がこうだから、以前何かしらあった知り合いも「私のことを許してないだろう」と考え、疎遠のままです。
仏教で「許す」についての教えや考え方があれば教えてください。努力も必要なのでしょうか。
お坊さんからの回答 3件
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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許せない出来事には、自分の気持ちや置かれていた状況がある。
なんでもかんでも全てが許せるわけではないですよね。程度によります。
一方的に嫌なことをされたり、奪われたり、傷つけられた(今も傷ついている)場合などは、とても許せるものではありません。
命に関わるようなことならば、一生恨むでしょうね。同じように仕返しをしないだけ、憎いと思うだけ、よく自分を抑えられていると思うでしょう。それでも、日常は今までのようにはいかなくなり、そのことにより深く影響を及ぼしてしまうかもしれません。それほどの出来事が起きれば、「許す」なんてことはとても難しいのです。
人間には執着がありますから。許せないという内側には、悔しかった、悲しかった、辛かった… いろんな気持ちがあるのですよね。その気持ちに、誰かが気づいてくれたら、一緒に嘆いてくれたら、一緒に怒ってくれたら、もしかしたら自分の気持ちがおさまるかもしれません。
許せない出来事の内側には、自分の気持ちや置かれていた状況があるから許せないわけですし、その後の対応(態度)によって変化していくものです。
「許せる人」「許せない人」で誰かと比べる必要はありませんよ。ただ、許せないほどの気持ちを抱えることは、とてもしんどいものです。自分のためにも、その相手や環境からできるだけ離れて、自分を守りましょうね。
怒り・悲しみ・後悔を引きずらない慈悲
欲・怒り・怠け・プライド等の煩悩は自分と他人の悩み苦しみの原因になります。
怒りは煩悩(悪の心)なのです。
いつまでも許さないということは、いつまでも怒り・悲しみ・後悔等の煩悩(悪の心)を引きずっているということであり、そのストレスの原因は、もはや相手ではなく自分自身の煩悩が要因なのです。
自分への怒り、過去への後悔も同様に煩悩(ストレスの原因となる悪の心)なのです。
例えば、慈悲深い警察官がいたら、その警官は犯罪者を法律に基づいて逮捕しますが、犯人を憎まず、更生して幸せになってくれよと考えるでしょう。
また、この犯罪者にも、犯罪者にならざるを得ない背景があって、たまたま犯罪者になってしまっただけだ、私にも欲・怒り・怠け・プライド等の煩悩があり、一歩間違えば私も罪を犯すリスクがある、と相手の立場になって考えれば怒りよりも慈悲が大きくなるでしょう。
過去は過ぎ去りもう無い。
未来は未だ来たらずまだ無い。
過去や未来について妄想雑念を膨らませると、アレルギー反応のように過敏に怒りが湧きます。
私達の細胞は新陳代謝で入れ替わり、心(思考や感情)は瞬間ごとに浮かんで消えています。
自分も相手も、瞬間ごとに新しい別人に交代しているので、毎回初対面だと考えましょう。
初対面の人に最初から怒って対応するのは自分も疲れるし相手にも失礼だし、世界平和の妨げにもなるでしょう。
また、世界レベルで見るとか、長い時間軸で見るとかするのも、小さいことにこだわらず怒らないことにつながるでしょう。
気にしなくなること
許すの感覚は、たぶん、気にしなくなる、気にならなくなる、忘れる、ことだと思います。
何か嫌なこと言われたりされたりすると、様々な種類の怒りが起きます。その怒りが割と早目に消える、忘れられる、気にならなくなる場合と、結構いつまでも残る場合があると思います。
怒りが残るのが自分のクセなら、なるべく残らないように、誰でも失敗はある、と、自分に置き換えて気にしなくなるよう努力したほうがいいと思います。
相手に問題がある場合もあります。ちょっとした間違いなら許しやすいです。悪意とか、むしろ悪意を隠して騙し誤魔化しの感じで何かされると、こちらは、表面の問題よりも相手の心の根深い心の癖が嫌になり、許せなくなるかもしれません。
その場合でも、今回の悪行為はとりあえず許して、自分の怒りを消して、相手を、この人はこういう性格だから、以後、気を付けて接するようにしよう、あるいはなるべく付き合わないようにしよう、などと情報を頭に入れるとよいと思います。
相手の行為とその裏にある心はいろいろです。こちらは、怒りはなるべく早く忘れて、そのような行為から学べる情報をドライに受け取って今後の関係性を築けばよいと思います。