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寺院の跡継ぎについて

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有り難し有り難し 56

私は寺院の長女として生まれ、育てられてきました。今は社会人として実家から離れたところで一人暮らしをしております。

少し離れた弟と妹がおり、弟が生まれてからは弟が寺院の跡取りとして育てられています。しかし、その弟が反抗期で、寺院を継ぎたくないと言っています。

私自身、寺院で育ったからと言って特別いい思いをしたこともなく、むしろマイナスにしか感じてこなかったので弟の気持ちはよく分かります。

そのことについて住職である父は、「弟が継がないのであればこの家を出ていかなければならない」「もう俺の代で終わりか」と悲観的な事も言えば、弟に対して強く当たったりもしているようです。

そして、この前父と二人で話し合った際、「兄弟三人、平等に継ぐ可能性がある」「お前だけが先に結婚して跡継ぎ問題から一抜けするのはずるい」というような事を言われました。

しかし、男兄弟がいるにも関わらずどう言う形であれ女が寺院を継ぐというのはあまり受け入れられない気がします。

また、生まれた頃から跡取りだからと父に優遇されてきた弟を見て、苦しい思いをしてきたこの何年間は何だったのかという気持ちにもなります。

何より、歳の離れた兄弟が進路を決めるまで待っていたら、自分の人生がめちゃくちゃになってしまうと思います。

父の代まで続いてきた寺院を、弟に継いで欲しい気持ちは分かります。私と妹にも継ぐ可能性はあると言いつつも、弟に継いで欲しい気持ちが一番だと思います。

ただ、父の弟に対する当たりが強く、それでは嫌われても当然だと思う事も多々あります。弟の気持ちも痛い位に分かります。

このまま穏便に、誰も嫌な思いをする事なく解決できる方法はないのでしょうか。


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お坊さんからの回答 4件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

お寺の本業は何であるかを考える。最悪、弟に納得のいく条件を。

イヤイヤ継ぐなら住職になりたい人に譲ってあげるといいです。
やがて、あなた方や親が生活できなくなる。
すると自分たちの悩みはぜいたくな悩みだとハッキリします。
人に継がせるとあなたは実家を失い。出戻りも帰省もできない。
そもそもおお寺は法人ですから、我々はあくまでもそこに仮に置かせて頂いているだけ。
財産もありゃしません。
私も寺の次男坊でして、お寺を継いだと言いましても若い頃、師の言われるままに吉幾三の歌みたいなお寺をまかされました。
♪はぁ~、檀家もねえ、お堂も無ぇ、墓地もなけりゃ、仏具もねぇ。
これが始まり。あなた達、恵まれてまっせ。
はぁ~今も檀家も墓地も収入もねェ♪
何もない寺が生活費を稼ぐためにはどんどん活動するよりほかありません。
少しでも収入を増やしたくこうしてお悩み相談、電話相談、直接のお悩み相談をやっていますが9割方ビタ一文出しまへんナ。内科の先生や占い師羨ましいですわい。
お金チョーダイ。笑
お葬式もありません。法事が年に二回あるかないか。
ですから、私は本寺に手伝いに行ってお金を頂いています。
そこも地獄でしてな(´◉◞౪◟◉)父と母の言うことが常に違うのですわ。
父は私に跡を継げといい母は出て行ってしまった兄を継がせたい。私たち夫婦・子供にしょっちゅう影で出ていけ出ていけ言います。それが為に檀家さんのお名前を覚える気力もなく、日頃働いている世話人会に顔を出せず悲しかったです。昔の処刑法で牛で五体を縄で引っ張られてバラバラにする処刑がありましたが、そんな気持ちで毎日生活しています。
弟君の気持ちも分かります。親というものは子供の気持ちがわからんのでしょうねぇ。
お寺は家族や兄弟がいると縛られて苦しいものです。よくわかります。
ですがお寺は布教活動をする場です。
あなた達が救われなきゃその必要性を感じないでしょう。
私はここhasunoha寺¿をお寺の一部として活動させて頂いています。
こういう人間もおる訳です。
お寺は何をするべきところでしょうか。今一度考えてみるといいかもしれません。

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経験者は語る

私は高校生の時、進路指導の時間が嫌いでした。敷かれたレールを知っていたので、「将来の夢?うっせーよ、俺には職業選択の自由なんかねぇんだよ!!」と本気で思っていました。何かの学校へ提出する紙にも書いたような気がします。でも、お寺を継ぐこと自体には反抗しませんでした。それは父が余裕をもって育ててくれたからでしょう。中学生の時の夕飯でのやり取りです。

父「大慈(仮名)は将来、何になりたいんだ?」
私「野球選手」
父「そうか、良いんじゃないの。頑張りな。」
母「………良いの?(小声)」
父「うん、野球選手は30歳か、長くても40歳で引退するからね。」
母「あぁ〜、そういうことね」

つまり他の職についても、父が健在なうちに戻ってきて継げるようであれば構わない。サラリーマンのような一般職であっても同様…という話です。だからお寺を継ぐこと自体で精神的に追い詰められるということがあまりありませんでした。それでも嫌な時は嫌でしたけどね。本気で決心がついたのは大学生の時にアルバイトをしてからです。

分野を問わず、英才教育をすれば子供は逃げ出したくなるものだと思います。孫子も言っています。包囲攻撃する時は完璧な包囲網を作ってはならない。必ず一ヶ所、逃げ道を作りなさい…と。まずは弟さんが自分で悩めるだけの余白を作ってあげてはいかがでしょうか?放っておけばなんとかなると思いますよ。いや、放っておくくらいの方が自覚が育つものだと思います。

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曹洞宗副住職。タイ系上座部仏教短期出家(捨戒済み)。仮面系お坊さんYouT...
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一番やる気のある人を

後継についてはケースバイケースです。
そのお寺によって様々です。
ですからどうするのが一番いいかは分かりません。状況は日々変わりますから。
ただ、仏教は男女平等ですから男が継ぐと決まっているわけではありません。

跡継ぎとしてまず候補に上がるのは、あなた達三兄弟か、従兄弟、その配偶者、お弟子さん、他の寺から来てもらう人、でしょうか。
状況は日々変わるので、思わぬ人が後を継ぐ場合もあります。
一番大切な事は、お寺は檀家さんや信者さんのものだという事です。
ですから、檀家さんや信者さんの為に一番頑張ってくれる人が後を継ぐべきです。
あなた達兄弟や従兄弟や配偶者達にやる気のある人が居ないなら、他の寺からやる気のある人を呼ぶべきなのです。
ですが、あなた達兄弟がやる気がないのは、失礼ですが恐らくお父さんから仏教について、宗義について、お寺の役割について、何も教わってないからではないでしょうか?
ですから、先ずは三兄弟共お坊さんの資格を取るのがいいかと思います。
仕事をしながらでも取れるのではないでしょうか。その過程で仏教や宗義とは一体何か、お寺の役割とは何か、学ばれたらどうでしょうか。
その上で判断してもいいと思います。
そうするうちにまた状況も変わる事もあるでしょう。
きっと仏様が良い方向に導いてくれることでしょう。
なお、弟さんも一度は一般企業などで社会人の経験をさせた方がいいと思いますよ。貴重な経験ですし、知識や視野が広がりますからね。
南無阿弥陀仏。

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私は浄土宗の坊さんです。 少しでも何か参考になればと思って回答しています...
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仏法への真なる気付きへ向けて

マルコ様

川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えでございます。

やはり、僧侶もそうですが、何事も同じで、やる気・モチベーションもない、志もない、嫌々仕方なしにやる・・それでは、寺族、檀家さんや役員・総代さんなど、利害関係人たちともうまくいくはずはありませんし、揉め事・トラブルも多くなってしまうことでしょう・・

また、本人も、ストレスや不満等がうまく処理できずに、内に向かって、鬱屈し過ぎた感情が、やがて鬱病、適応障害などの心の病になる場合もあり得ます・・かなり悪い場合にはストレス発散のための犯罪に走ることもたまに散見されます・・そうなったら誠に悲劇です・・

と、一歩間違えれば、拙生だって・・と振り返りますけれども・・

では、どこで変わっていったのか・・やはり、それは仏法への真なる気付きでありました。

とにかく尊く素晴らしい仏法への気付きがなければ、正直、危なかったでしょうね・・

では、それをどう気付いていくべきか・・は、それぞれにおける機縁次第でしょうし、気付くためには、やはりそれなりの悩み苦しみも必要であるかもしれません。山頂を目指して厳しい山道を辛苦を我慢して耐え忍んで頑張って登らないと、素晴らしい景色とは出逢えないという感じです。

とにかく、真なる仏法への気付きへと向けて、このhasunoha等、先達の皆様からお話をお聴きになられるのも一つであるかとは存じます。悩まれている弟さんにも是非、hasunohaの存在を知らせてあげて、ご利用をお勧めして下さいませ。何か良い一つのきっかけになるかもしれません。

善処を祈念申し上げます。

川口英俊 合掌

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Eishun Kawaguchi
最新の仏教論考はこちらでご覧頂くことができますが、公開、非公開は随時に判断...
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質問者からのお礼

ご回答ありがとうございます。

私達兄弟がやる気がない理由について、父から仏教についてやお寺の役割について教わってないからでは、という指摘を受け、確かにそうかもしれないと思いました。

弟だけはお坊さんの資格を取っていますが、小学生の時だった為、ただ言いなりになって取った感じがあるので…。

昔の弟がまさに、「どうせなりたいものがあっても寺継がなきゃいけないし」というような考えの子でした。

そして今、高校の進路指導において継ぎたくないけどやりたい事もなく悩んでいる状態です。

母は「本当にやりたい事があるのであればそれをしてから継いでくれても構わない」というスタンスなのですが、父は「宗派の大学でなければ学費は出さない」「家から出て行け」というような人でして…。

弟が今とても嫌な気持ちになっているのは、弟に対して跡を継ぐことばかり言い、逃げ道を作ってこなかった両親と私を始め周りの人間のせいかもしれません。これから母と私で父に、弟にも将来の選択肢を与えるよう説得してみます。

ありがとうございました。

温かい気持ちになるお坊さん説法まとめ