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よりて起こる
人間の心はもともといつでもカラッポ、本来無一物。
そこに、一縁が加わると、はじめて思いが発生する。
❝縁りて起こる❞
「縁起する」「縁起ぜられる」のです。
この道理を知るために、本当に、思い=知・情・意やら、念・想・観のせわしない働きを休めてみましょう。
思いが起こる前、縁起ぜられる前を悟れば、あなたが常に安楽の境地、涅槃であるからです。
縁起は最も根本的な仏教の思想です。
「縁起」は大きく分けて二種あります。
二種とは上座部仏教の縁起と大乗仏教の縁起です。
二つの縁起は少し質が異なります。
どちらが正しいということではなく、どちらも正しい縁起です。
上座部仏教の縁起は「因縁生起」です。
因と縁が和合して結果が現行するというもの。
種を蒔き(因)、そこに水や肥料や日光等が合わさり(縁)、植物が育つ(生起)という論理です。
原因だけでは結果は起こらないと考えます。
つまり、私達を包み込む全ての出来事には原因があり、そこに縁が合わさることで起こっているものなのだ、考えるのが上座部仏教の縁起論です。
今の私という存在は多くの縁によって成立しているものです。
「因縁生起」は「時間的経過が必要な縁起」とも言えます。
また大乗仏教の縁起は「空」と説かれます。
「空」は「因縁生起」のような時間的経過は必要がなく同時成立する縁起です。
例えば、母親とその母親の子どもがいたとします。
母親30歳、子ども5歳だとすれば、普通ならばその年の差は25歳です。
しかし「空」の観点から言えば、二人は同い年の5歳となります。
何故なら、母はその子が生まれると同時にその子の母になったのであり、母親と子は同時に成立した関係です。
母が子という存在を成立させ、子が母という存在を成立させています。
母と子は成立しあって5年。
だから二人は同い年の5歳と言えます。
つまり「空」では個と個が対峙して初めて互いの個が成立するのであって、個一つでその個体が成立することはないと説いているのです。
「私」を「私」と成立させるものは「他」であり、私の中には私を成立させるものは何もない(=無我)というのが「空」です。
ま空」は「時間的経過を必要としない縁起」と言えます。
「縁起」をお説きになられましたお釈迦様に最敬礼申し上げます。
zensyu様
川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えでございます。
「縁起」という言葉を聞くだけで、誠に身の引き締まる思い、ある種の緊張感が走ります。
「縁起を見るものは法を見る。法をみるものは縁起を見る」「縁起を見るものは法を見る。法を見るものは仏を見る」と申しますように「縁起」の教えは「空」の教えと共に、まさに仏法の真髄の一つであり、しっかりと理解することが大切となります。
浅学の拙い未熟なる理解ではございますが、これまでにも「縁起」に関しまして、下記の各問いにて扱わせて頂いて参りました。
http://blog.livedoor.jp/hasunoha_kawaguchi/tag/縁起
http://blog.livedoor.jp/hasunoha_kawaguchi/tag/空と縁起
最近では下記問いにても扱わせて頂いております。
問い「「空」とはどういう意味でしょうか?」
http://blog.livedoor.jp/hasunoha_kawaguchi/archives/1020870815.html
「縁起」とは、この世における全てのモノ・コトの成り立っているありようを説明する上において、誠に欠かせない考え方となります。
また、「縁起」は「空」と表裏一体・不可分の理解が求められるものであり、「縁起」=「空」、「空」=「縁起」、つまり、「色即是空 空即是色」の理解が必要となります。
「縁起」には、主に三段階の理解として、第一に、「原因・条件・結果における依存関係」、第二に「部分と全体とにおける依存関係」、第三に、「意識作用・概念作用・思惟分別作用により、仮名・仮説・仮設されることによるという依存関係」がございます。
そして、最終的には、あらゆるモノ・コトというものは、それ自体の側において、他に依存せずに独立自存として存在していない「無実体・無自性・無自相」という「空」の理解と共に、では、どのようなありようとして実際、現実に存在しているのかということにおける「縁起」を理解することが大切となります。
何とかしっかりと誤謬なく理解していけるように調えて参りたいものでございます。
改めまして深遠なる縁起の真実義をお説きになられましたお釈迦様に最敬礼申し上げます。
平成27年4月8日・釈尊降誕会によせて
川口英俊 合掌
質問者からのお礼
みなさん、回答ありがとうございました。
なにやらいろいろ解釈があるのですね。混乱してきました。