チベット仏教の時間論について
コラムパがツオンカパの時間論をどのように批判したのか、
またツオンカパがコラムパに対してどのように反論したのか教えて頂けませんでしょうか?
以下の文章はCINIIから抜粋したものです。
コラムパが「「消滅状 態」の連鎖が無限に起こるというツォンカパの見解」をどのように批判したのか、
またツオンカパがどのように反論したのか、
手元に該当する書籍がないのでさっぱりであります。
「ある有情が業を積むと,直ちにその業は消滅し「業の消滅状態」 と呼ばれる事物が発生する.
ツォンカパの理解する帰謬派説では「業の 消滅状態」も刹那的存在であるので,それが生起した次の刹那には消滅 し
「業の消滅状態の消滅状態」が発生する。
このようにして「消滅状 態」の連鎖が無限に起こるというツォンカパの見解は,後にサキャ派の コラムパによって批判されている.」
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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「業の効力」、業の「異熟」の在り方についての議論である可能性
akbcde様
川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えでございます。
まず、ツォンカパ大師の在世が、1357-1419年であり、コラムパ大師の在世が、1429-1489年で、互いの直接のやり取りはないため、ご質問の内容については、コラムパ大師のツォンカパ大師批判の内容と、その後のゲルク派の学僧たちによる反論の内容を吟味していく必要があるのではないだろうかと存じます。
コラムパ大師によるツォンカパ大師への批判については、「見解弁別」を参照にして考察すると共に、ゲルク派からの反論については、ジェツン・チューキギェンツェン大師・デレクニマ大師の「悪見の闇の排除」を参照にする必要があるのではないかと存じます。
しかし、拙生は、「見解弁別」・「悪見の闇の排除」については、いまだ拝読できておらず、詳細までは正直なところ分かりません・・
そこで、ご質問の意図から察しますと、おそらくは、業の存続に関する刹那滅と、因縁果の繋がりにおける議論であるのではないかと存じます。
そして、ツォンカパ大師のそのあたりのことにおける見解については、「クンシ・カルテン」(アーラヤ識とマナ識の研究・文栄堂)が一つの参考になるのではないかと存じます。
そして、議論の要諦は、「業の効力」に関することであり、過去の業の「異熟」の在り方に関するものになるのではないだろうかと推察致します。
コラムパ大師はサキャ派の学僧であることから、道果説を重視していた可能性が高く、過去の業は消滅せずに結果をもたらすという見解を持っていたと考えられ、それならば、業の自性性を排除し切れていないという新たな問題があるようにも思えるところであります。
離辺中観派の諸学僧たちが、業の存続についてどのような見解を有していたのかということと、ツォンカパ大師の「クンシ・カルテン」やゲルク派諸学僧たちによる再反論の内容を比較検討していくことで、両者の見解の相違を調べていくことにより、論点が少しくにも見えてくることになるのではないだろうかと存じます。
また少し拙生も意識して考察させて頂きまして、回答としての新たな知見がありましたら、補足をさせて頂きたいと存じます。
川口英俊 合掌
質問者からのお礼
回答して下さり有り難う御座いました。
書籍の情報まで教えて下さって本当に助かりました。