この時代に生まれる我が子の将来が不安
現在二十代半ばで、新婚で夫と2人暮らし、まだ妊娠はしておりませんが、出産に対して迷いがあり、相談させていただきます。
夫とは漠然と3.4年後には子供が欲しいね、と話しております。
ですが、段々と、今この時代に生まれてくることは、子供にとってとても大変なことではないか、と悩むようになってしまいました。
日本の人口は減少し、若者の負担は増え続ける、仕事は徐々にAIに取って代わられる、資源は生きている間に枯渇するかもしれないなど…
SFのような話かもしれませんが、現実に予期されることでもあります。
自分にはどうすることも出来ない問題ではあっても、子供に生を与える時、目を背けてはいけないことだと思います。
戦時中のような不安な時代でも、子供を産む方がいてくれて、その方達がいたから、今の日本人がいるのはとても有難いことだと思います。
ですが、今の私の悩みは、それとは問題が違い、解決しないのです。
絶対に辛いであろう時代に生まれさせること、言ってしまえば善悪で悩んでいるのです…それを間違って、その代償を子供に持たせたくないのです。
ただ、子供のことだけを考えて行動したいのに…
私は、両親のことは好きなのですが、育ててもらった環境に問題があり、
私達姉妹が生まれてきたことは絶対に間違いではないが、両親が子供を産んだことは多分間違いだったと思ってきました。
今は、夫と出会えて、生まれてきたことに感謝をしています。
でも、それでも不安なのです…
日本の在り方や、自然環境の問題などの悪影響は、私達の世代の何倍にも及ぶだろう、資源枯渇や税負担が大き過ぎる等の不可抗力で、些細な喜びの何倍も死ぬような思いをするならば生まれさせてはいけないと思うのです。
それでも、子供が欲しい自分が一番嫌です。
自分達が寂しい、家庭が欲しいだけで、産んでしまうのが嫌なのです。
こうして、お坊さまに背中を押して欲しがっている自分、
生まれた後に責任が取りきれない問題も起こるかもしれないのに、今は産みたいがために産む理由を無理やり作って、
何かあれば後から後悔すればいい、なんて問題ではないと思うんです。
散らばった相談内容になってしまい、申し訳ございません。ですが、今はこんな言葉にしかできません…
何か、お言葉を頂けませんでしょうか。
不躾で申し訳ございませんが、宜しくお願いいたします。
良いのか悪いのか、これから先の不安要素にとらわれてしまい、悩みやすい、落ち込みやすい
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
無理に産まないようにしなくても、無理に産もうとしなくても、自然のまま成り行きに任せたらいいのではないでしょうか。
もし産まれたら、どんな環境で生きることになっても生きていけるような逞しいお子さんに育てたらいいと思いますよ。
それに日本の歴史上、今ほど恵まれている時代は無かったのではないでしょうか。
また、女性は産まれた時に既に200万もの卵子の元を宿しているそうです。
その全てを産むことはできません。
しかし、その中のいくつかが、もし産まれたいと思って成長したなら、産まれさせてあげてもいいのではないでしょうか。
もちろんリスクもあります。お子さんへのリスクも、あなたへのリスクもあります。
出産は母体にとっても命がけでなのですから。
お釈迦様を産んだお母さんは産後にお亡くなりになったのですから。
ご主人といろいろとお話しして、無理のない選択をしてくださいね。
日本人に生まれたらラッキー
日本人が減っているということは、日本国という宝の山の相続人が減るということです。
つまり、1人頭の分け前は増えるのです。
仮に、日本人全員が滅びてあなたのお子さんだけが唯一の日本人だったら、亡くなった他の日本人の財産はすべて日本国の財産になり、つまりは唯一の日本人であるあなたのお子さんがそれを受け継ぐことになります。
経済活動は、自然界から物質とエネルギーを取り出して人間社会に回すことではないでしょうか?
テクノロジーの発展は、自然界から物質とエネルギーを取り出すという作業を、人間が汗水たらさなくてもできるようにすることにつながります。
つまりは、人間が働かなくても衣食住には困らない世界になる可能性があります。
中東の石油産出国では、石油を売れば金儲けができるので、国民があまり働かなくても衣食住や教育・医療を受けて来られたのだそうです。
テクノロジーの発展で、日本人もアラブのセレブのように遊んで暮らせるようになる可能性もあります。
私は英語のペーパーテストは好きでしたが、英会話はできません。
しかし、今はスマホにさえ翻訳機能があり、今後は、必死で英会話を学ぶ必要がなくなる時代になると思います。
日本みたいな恵まれた自然環境やインフラのある国で、人間がもっと楽をできる時代になる、お子さんが生まれたら、意外にすばらしい未来が待っている気もします。
「有り難し」
川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えでございます。
どこの時代、どこの場所に生まれようが、まあ、人の世界(欲界・迷い苦しみの世界)において生きていく大変さは、いずれにせよあまり大差なく、変わらないものであるかとは存じます。
しかし、仏法のいまだ残る世界に、その仏法を学び修すことのできる境遇として生まれられるのは、誠に「有り難し」なこととなります。
どれぐらい人として生まれられるのかの難しさについては、「盲亀浮木」の喩えがございますが、簡単には、「大海に住む目の見えない老亀が、百年に一度海面に浮き上がってくる時に、たまたまそこに流れてきた穴の空いた浮き木の穴に首を突っ込む」というぐらいにあり得ないことであると説明されます。
とにかく、この仏法のある世界に人として産まれられるのは、迷い苦しみの世界である輪廻の中でも、この輪廻から脱する機会を得られる絶好のチャンスにもなるだけに、できれば、その間に、しっかりと仏教を修習して、迷い苦しみを無くしていけるように調えて参りたいものとなります。
また、人という、輪廻の中でもほど善い境涯に産まれられて来られるのは、その者の過去世における仏縁や功徳など良い因縁(原因と条件)による良い結果でもあると考えます。
何とか命が宿られたのであれば、何とか産まれさせて頂けましたら有り難いことでもありますし、いくら子どもを切望したとしても、流産や死産、あるいはやむを得ない中絶等もあり得ますし、それも色々な因縁次第になることは留意しないといけないことになります。
川口英俊 合掌
質問者からのお礼
3名のお坊さま、ご回答をいただきまして、誠に有難うございます。
お礼が遅れまして、大変申し訳ございません。
圓常寺
三宅 聖章様
ご回答をいただき、産む理由ではなく、どんな環境でも生きられる逞しい子に育ててあげるということが、一番大切なことだと気付かせていただきました。
幸せな時代でも辛い時代でも、そこで自分の人生を生きられるよう、愛情をもって育て送り出してあげること、
それが私が子供にしてあげたい、一番のことかもしれません。
岩瀧山 往生院六萬寺
川口 英俊様
ご回答をいただき、もし子供を産むことになったら、生まれてきた子には、せっかく生まれる機会を得たのだから、楽しんで生きたいと思ってほしい、と感じました。
老亀のお話、ずっと忘れずにいたいと思います。
願誉浄史様
ご回答をいただき、私は子供の将来の悲観的な部分についてしか考えられていなかったかも、と思いました。
先のことは誰にも分からず、不安材料は捨てきれない時代ではありますが、悲観的な面ばかりでもない、という視点を忘れないでいようと思います。
私自身の子供に会いたいという気持ちが高まり、不安材料が多い時代でも、その子が幸せに歩んでいけるように何でもしてあげようという覚悟がもてたら、心を決めたいと思います。
まずは、時間をかけて、私自身の産みたい気持ちの強さを確認してみようと思います。
お坊さまに、課題を与えていただいたように思います。
3名様、誠に有難うございます。