例のCMについて
最近、CMで沢山流れている『お坊さんの居ないお葬式』を御覧になられた感想をお聞かせください。
名古屋にある、ナインアンドパートナーズ株式会社が運営しているみたいです。
全国の仏教会から抗議、批判があっても当然かと思いますが、如何でしょうか?
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
タブーを破る。
あくまで、ひとつの見解として
申し上げます。
お坊さんはもともと
お葬式には関わっていませんでした。
現在、一般の人のお葬式にお坊さんが関わるのは
ほとんど日本だけといっていいと思います。
ただ、鎌倉時代期、
「死」というのは穢れの観念とあいまって
一種タブー視されていたことがあるようです。
でも死者を弔いたい気持ちのある人は多い。
タブーがあるためにその気持ちを押し殺していた
当時の人々の暮らしの中で
そのタブーから人々を解放しようとしたのが
お坊さんだったようです。
そういう意味では、
当時「葬式仏教」は革新的だったのです。
もちろんさかのぼれば弔いに関わったお坊さんもいましたし、
そのときどきの時代背景をはらんでいるのですが、
大事なことは
人々の気持ちを”押し殺している”なにかがあるとしたら
それをほどく手伝いをするのが
お坊さんの役目だったのかな、と
歴史的に見て私はそう思います。
タブーというのは、一種の連帯感を生みますし、欠かせないものもあると思います。
しかしそれが人々の心を押し殺してきた面がだんだん強くなると
いつかはそれを破る必要が出てくるのではないでしょうか。
現代で言えばすなわち、お葬式には
”お坊さんがいなければならない”
というタブーですね。
葬式仏教の誕生は、当時のタブーが破られたことと関係が深いと思います。
現在の状況は、
言うなれば。
今また何百年のときをこえて
違ったかたちで
タブーが破られるときがきた、ということではないでしょうか。
そういう需要があるのなら仕方がない。
そもそも
『お坊さんの居ないお葬式』でもいいよね
と思わせてしまった仏教界の自己責任も大きいです。
我らがすべきは
『お坊さんの居るお葬式はいいね』
と思われるよう
残された家族に寄り添い
厳かな儀式執行に精進するだけです。
マツケンさんはどう思いますか?
はじめまして、こんにちは。
マツケンさんは、過去の質問から私と同じ僧侶でいらっしゃることを知りました。
私は、葬儀だけを問題にして、葬儀後のことは面倒を見ないであろう、その企業方針自体が無責任極まりないと思います。無宗教で葬儀して、その後に仏事やお墓の問題が発生しても、その時は喪主・施主自身の口から周辺の寺院に頼らせるのでしょう。無宗教だったら、無宗教でその後も貫徹すれば何も問題ないのでしょうが、現実はそんなに簡単ではありません。既にある仏壇、親せき関係、境内墓地の関係等々、寺院を通さない方法は後々に余計複雑化します。現に、そういう問題は私の周辺でも起きています。
葬儀その後のことまで含めた仏事全般について、良く分かっていない喪家に対して僧侶を呼ばないメリットだけの説明をしているのでしょう。デメリットまで十分に説明しているとはとても考えられません。良くわかっていない人に対して、結果的にその時だけの付き合いをする、という態度は実に都合がいいものだと呆れます。
私はこのように思います。
マツケンさんはどう思いますか?
折角のご縁ですから、皆さんに対するお礼メールでご意見を伺いたいです。
無宗教なのになぜクリスマスにサンタが来るのだろう
「無宗教なのになぜお坊さんを呼ぶのだろう」ってCMですね。
つまりなぜお葬式にはお坊さんが必要なのか問うているのでしょう。
宗教とは何か?葬儀とは何か?
このCMを通して多くの人が葬儀のありかたについて深く考え直すいい機会になると思います。
やはりお坊さんは必要だよな、と思ってもらえるように精進します。
なるほどねぇ
御質問有難うございます。私もお坊さん便で抗議した事を思い出しました。
私は『お坊さんの居ないお葬式』のCMは気にしないです。結論から申し上げると
売り上げだけのCMではないかと思います。DMMさんも同じCMを流されていますが、売り上げよりもいかに丁重に葬儀を行う事だと思いますよ、お坊さんは生きている方に法を説く事だと思います。亡くなられた方の供養という考えで行うと異安心だと思いますので、その事を踏まえて葬儀を行うべきだと感じます。 合掌
直葬からの流れだと思いますよ
私は当該CMは見ていませんが、問題にするレベルではないと思います。ちょっと前に葬儀産業が直葬を流行らせようとして失敗したとか、イオンの葬式とかと同じく定着しないと思いますよ。葬式仏教の起源は吉井師の言う通りですし、地縁血縁の問題は釈師の言う通りですから。既存権益を侵されたと大騒ぎすることじゃないかと。
質問者からのお礼
御法務のお忙しい中、丁寧で真摯な回答をありがとうございました。
昨今、葬儀も縮小化し、院号も必要無し、寺院の永代祠堂経の勧募も儘ならない状況に於いて、寺院最大の経済基盤である葬儀減少に拍車を掛け得る、『例のCM』に憤慨して質問させて頂きました。
様々な観点が有りますが、寺院護持運営の視点では完全な営業妨害だと考えます。
少し前のお寺さん便の問題より遥かに次元が違うと思います。
また、ゴールデンタイムにあれだけのCMを流せる潤沢な資金、他の宗教者ではなく、仏教者を名指し。
色々妄想すると、バックは学会が付いているのでは?と、穿った想像してしまいます(笑)
何れにせよ、これは日本古来の精神文化の担い手、継承者でもある、僧侶を蔑ろにする一大事の出来事だと思います。