悪い関係のまま亡くなった家族に対し、心の整理をつけるには
葬儀を済ませ3ヶ月程経ちますが、何度も父のことを思い出して困っています。それも悪い記憶です。
私は7才~15才頃に父から性的虐待を受けていました。触れるまたは触れされるという程度のものですが。家族は誰も知りません。父が発病した頃から鬱傾向が出ていましたが、状況が落ち着いて症状も改善するかと思ったら、逆に悪化しています。
父と一緒に私の心のもやもやも埋葬されると思っていました。それが、どうも墓の中からゾンビのように這いずり出てきて、後ろ髪を引っ張られているような気持ちの悪さです。
このような故人への屈折した思いを整理するには、どうしたらよいものでしょうか。
実のところ、私は父を道端の石ころ程度にしか思っておりませんでした。父の人格の良い部分というのは「母にとっての良い夫」「弟にとっての良い父」というフィルターで認識しており、どうも他人事です。恨み憎しみを日頃から抱えていられるほど逞しくありませんので、つとめてその存在ごと忘れるようにしてきたからだと思います。
最後は半年の在宅介護でしたが、遠方より可能な限り帰省して、高次脳障害で幼児のようになった父の介護を手伝っていました。その間も、父に対して同情も憎しみも親愛の情も湧かず、赤の他人を看護しているようでした。「家で出来る限りのことをしたい」という母への孝行と思ってやっていた、と思います。
本人の希望通りに看取られ、葬儀も済ませ、このまま空に消えていってくれると思ったのですが、鬱傾向のときにいちいち思い出すようになってしまい、その記憶から連想されるフラッシュバックやネガティブな感情に苦しめられています。激しく落ち込んだときは希死念虜まで出てきまして、はじめて精神科にかかりました。
とはいえ、あれこれうまくいかないことを父のせいにしているだけのかもしれません。仕事や慣れない環境など、ストレス要因は他にもあります。もう責めようのない土の下の人間に罪をかぶせて、トラウマを理由に、自分の意志の弱さや状況改善の努力から逃げている部分も否定できません。
この件については精神科のカウンセリングも受けていますが、故人への複雑な思いを整理するうえで、何か心の拠り所になるような考え方があればお教えいただければ幸いです。
自分でも整理しきれていないままの内容で申し訳ありません。宜しくお願い致します。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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悪魔が何故悪魔になってしまったのかを理解することが慈悲
一度あなたの中から「彼」に対する「父親」という考えを除いてみましょう。
まず「その男」は父親でありながら、通常の父親としてのまっとうな愛の在り方を持っていなかった訳です。
その原因は現代の心理学では、その彼(父)が両親から「愛されている実感がなかったという事」とされています。
おそらく厳しい時代で祖父も祖母も大変厳しい面をお持ちだったのでしょうか。
お父さんは心の逃げ場がないくらいに、つらい幼少期を過ごされたのかもしれません。
世の中には、与えられるべき愛に恵まれなかった人間が、悲しいことに他者を愛からほど遠い所に導き入れようとする傾向にあります。
幼少期の彼は、不条理なことに、その両親からの愛に恵まれなかった悲しい人間であった。
故にあなたという存在を純粋に愛することができなかった。
彼自身の人生の中での抑圧に対する不満が、悲しいことにあなたに向けられてしまったのでしょう。
あなたにとっては、性的虐待の加害者でありながらも父親。おそろしい矛盾が起こりますね。
だからその矛盾を克服するためにも許せないかもしれませんが「何故あの男が自分を虐げるような結果に至ったのか」を冷静に理解する必要があります。
そうすればこの負の連鎖をあなたの代で断ち切ることができます。
自分の父親がその親から愛されていなかったが為に生まれた悲劇であるという事。
この負の連鎖を断ち切るのがあなたの使命です。
あなたがあなたの父親から救われるためには、あなたがあなたの父親を憐れむという事。
あなたの父親もおそらくは何らかの愛から裏切られてしまった。
その愛に裏切られた人間が、あなたを愛から遠ざけた、と理解し、あなただけはどうか、深い闇から立ち直って、今後このような悲劇を繰り返さないためにも、パートナーやお子さんに愛と慈悲を尽くして頂きたいと切に願います。
あなたの心の苦しみが晴れやかになりますよう、祈念申しあげます。
追伸ですが、あなたの心の苦しみは、多くの同じ立場で苦しんでおられる方々を救い、明るい人生に向けて励ますこととなります。
大変心苦しい胸の内を話してくださいましてありがとうございました。
蛙の子は蛙ではいけない
hasunohaに勇気をもってこのような質問をされた雲居山路 さんに私なりの意見を言いたいです。恐らくこのような悩みを持った人は世界の半分はいると思います。これは大きく括れば暴力です。暴力は親、夫婦、子から受ければDV。学校の生徒同士はいじめ。教師から受ければ校内暴力、体罰。会社の男女間はセクハラ。上司からはパワハラ。形を変えて存在します。
私もいじめやパワハラに悩まされた時期もありますし、今でも雲居山路 さんと同じように気分が落ち込んだ時に必ずと言っていいほどいじめやパワハラのことを思い出します。
最近本当に思うのが、過去は背負っていくしかない。只、自分はそのようなことをしてはならない。それを他の人が受けているようなら助ける。自分が出来ることは何かをいつも考えています。これは斉藤一人さんが「過去は変えられるが、未来は変えられない。」という言葉に非常に感激し、最近ようやく徐々に自分はどうすべきかを考え、行動しだしたところです。自分の勘違いもあり、逆に加害者になってしまってないかと反省することも多いですが、1番してはならないのが【無関心】だと思いますので、何もしないで後悔するよりは行動を興してから反省した方が良いと思う今日この頃。すべてに当てはまるわけではありません。私は基本的に楽しく生きたい方なので・・・。
尊敬される僧侶にはなりたくありません。良いことをして感謝される僧侶になりたいとは思いません。それより親しまれる僧侶になりたいです。
雲居山路 さんは主人とどんな家庭を築きたいですか?仕事で何を目標にしてますか?海外の生活はどうしたら楽しく過ごせますか?明日のご飯のメニューは何ですか?お正月はそちらでもおせちは作りますか?
虐待を誰にも話せなかったのはさぞかし辛かったでしょう。
心の中で鬱積したストレスがそのはけ口を見つけられず
膿となって心をむしばんでいるのでしょう。
父親が生きて居るうちにその思いを伝えておくことが出来れば良かったのですが。
マイナスエネルギーを浄化する方法 小栗康平
生きがいの創造 飯田 史彦
の2冊の本をおすすめします。
この本を読んでこの人生で起きている事の意味を
理解して頂けたらと思います。
この中に何かヒントが有ると思います。
鬱積している感情を少しずつ出し切っていって下さい。
雲居山路様
川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えでございます。
モラルハラスメント・・特に幼い頃に抱えてしまわれた心の深い傷は、容易に拭うことができずに、雲居山路様のようにその後の人生にも大きく影を落とすこととなりかねず、誠に重大な問題でございます・・
とあるテレビ番組にて、公訴時効のないイギリスにおいては、20年以上前の義父からの虐待によって苦しみ続けておられる方が、裁判を起こして勝訴し、その義父は懲役刑(14年)に処せられたとの内容がございました。被害者はそれにて一つの区切り・ケジメをつけることができて、また、法律も学び、今では自分の体験を糧として児童虐待に苦しんでいる人たちを支援する仕事で活躍されているようでございます。
もちろん、日本の場合は公訴時効があるため、幼い頃の虐待を法廷にて裁くことができず、また、既に相手が死亡していては、もはや本人に対して謝罪を求めること、罪の償いをさせることも尚難しいことでございます・・
とにかく一人でどうにか解決させようとされるのではなくて、既に御礼にもございますが、周囲の信頼して打ち明けられる方へ、カウンセラーや医師、もちろん、更にこのhasunohaででも構いませんので、心に鬱積して溜まっている感情を少しずつでも外へと吐露することで、一つずつ一つずつ心の整理をつけられていくことが大切になるのではないかと存じております。
その中では、亡父への怒り憎しみの感情も改めて認めて頂いた上にて、是非、その怒り憎しみの根底に控えている苦しみ、悲しみも存分に表現なさって整理をして下さいませ。
過去のとらわれに今現在を過ごす自分のありようをしっかりと見つめていくことで、少しずつ、過去のことは、過去のこととして、そのとらわれを外していくことが必要となります。そして、過去のとらわれから離れた新しい自分を日々作り出していってほしいと切に存じます。
喩え怒り憎しむべき者であろうとも慈悲の心を向けるようにと御仏は諭されておられます。もちろん、今は無理で有り得ないことかもしれませんが、最終的に亡父のことを許せる自分となった時、雲居山路様のお心は御仏のお心に適うものとなり、きっと迷い苦しみから離れることができるようになるのではないかと存じております。
川口英俊 合掌
質問者からのお礼
親身なアドバイスを頂戴し、何度も読み返しました。ありがとうございます。
今回、初めて心のモヤモヤを文章の形にしました。
支離滅裂な文章を文字制限の中に収めるために苦戦しましたが、その過程のなかで、まずひとつ心の整理をつけるというステップを踏んだ気がします。
インターネット掲示板には抵抗もありました(誰でも書き込める場所では無責任な回答も少なくありませんし)。
今回、お坊さまへ相談できるということで、心の内を明かし、客観的に葛藤と向き合う勇気が出たと思います。
ご回答くださったお坊さまはもちろん、このサイトを運営されている関係者の皆様にも御礼申し上げます。
>水上さま
早速ご紹介いただいた本を注文しました。
実を申しますといまいち抵抗のあるものが多いスピリチュアル分野ですが、まるで私の読書傾向をご存知かのようなアプローチの書籍をご紹介いただき、それだけで勝手に嬉しく感じてしまいました。
ここで相談という形で、鬱積したものがいくらか流れ出たと思います。ありがとうございます。
>丹下さま
ご回答にいろいろと思い当たることがありました。
このような形でストレスのはけ口となったことで、ひょっとしたら誰より父の弱さと苦しみを理解できているのかもしれませんね。
私の今の闇は、いつか彼と同じように弱さに呑まれて、そのはけ口として誰かを不幸にするのではないかという(根拠のない)恐れだと思います。
お言葉に勇気をいただきました。ありがとうございました。
>大鐵さま
虐待にしろいじめにしろパワハラにしろ、過去の自分が虐げられた存在だと認めるのは大変に苦しいものですね。
いま、あらためて過去に向き合っている途中の段階なのだと思います。
「過去は変えられるが、未来は変えられない。」この意味をじっくり考えてみます。
今は失敗につながるイメージへの執着が強すぎて、先を考えるのは難しいのが現状です。。。
目標が立てられるくらいの気力を取り戻したいと願っています。
とはいえ、これだけ頭をつかって文章を書けたのは久々です。
おかげさまで少し達成感が。ありがとうございました。