初盆、菩提寺のお坊さんに来てもらえない
昨年に義父(主人の父)が亡くなり、今年が初盆になります。
菩提寺の住職さんと義父は、個人的にも親しい間柄だったそうです。
5~6年前から御住職の体調が悪いとの理由から、お寺の本堂以外での法要はすべてお断りしているとの事で、義父の通夜葬式も別のお寺の連絡先を言われてこちらから連絡し、急遽、来ていただき葬儀をすませました。
初盆となる今年だけでも、仏壇の前で拝んで頂きたいとお願いに行ったのですが断られ、代理の方をよこしてもらうことはできないか訊ねると「そちらでお好きなお寺さんに連絡してみてください。」との事。
義母は、事を荒立てたくないので自分たちで集まればいいと言うのですが、主人は亡き父の為に初盆はきっちりしたいと言います。
義母の気持ちも主人の気持ちもわかるので、何か良い方法はないかと悩んでおります。このような場合、どうしたらいいのでしょうか?
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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通夜葬式を執行されたお寺さんはどうなのでしょうか?
そのお寺さんが初盆を引き受けてくだされば、菩提寺にも問題は無いのではないでしょうか?
または、どこのお寺でも本堂でお盆の法要を勤めますが、その直後にちょっとお時間を取っていただいて初盆を勤めていただくこともできます。そのような事情を説明して相談すれば、引き受けてくれるお寺はあるはずです。
また、「読経のテープ」を流すくらいなら、家族親族だけでで短い御経を読む方が良いと思います。初盆は特別ですから、読経だけでなく僧侶の法話を聴く機会を是非得られるよう念じております。
代役を頼んであげたくても、出来ない時もあると思います。
御尊父様の初盆を一生懸命に努めようというお気持ち、本当に尊いと思います。菩提寺の御住職もきっと体調が許せばご要望に応えてあげたいというお気持ちではないかと思います。
私は寺の住職になってから幸いなことに入院や安静を強いられるような大病を患ったことはありません。しかし、それでも年に1度か2度は風邪をひきます。風邪と言っても症状は千差万別です。
1、 高熱を出して寝込む場合。
2、 熱は無いが喉をやられてまともな読経が出来ない場合。
3、 ふらふらするけど、何とか読経できる。
2の場合、満足な読経が出来ないことは心苦しいですが、まあ何とか当方の体調を御理解いただき、納得していただくしかありません。3の場合、何とか読経は出来ますけど、法要の後の会席への出席を頼まれてもお断りをせざるを得ないと思います。さて、問題は1の場合です。
この場合、日程変更をお願いしたことも有ります。代わりのお寺さんを御願いしたこともあります。一度だけ、私はお彼岸中に風邪でダウンしたことがありますが、彼岸法要の導師はふらふらしながら何とか勤め、幸い他に法要を受けていなかったから療養することが出来ました。でも、寺の家族はたいへんだったと思います。その時以外は、お彼岸やお盆中ダウンしたことはありません。こういう時に余所の和尚さんに代役を急に御願いするなんてまず不可能です。以上、住職としての私の体験です。
あなたの菩提寺の御住職も檀家さんの求めに応じて読経や葬儀をしてあげられず、さぞつらいことでしょう。住職として葬儀や法事を勤めてあげねばと思いながらも、健康状態がそれを不可能にしてしまっていると思います。何でも無い時なら、余所の和尚さんに代役をお願いすることも可能でしょうが、お盆中は難しいでしょうねえ。どの和尚さんも自分のお寺の法要や棚経を熟すだけで誠一杯でしょうから。
菩提寺様からの返事に、不快になったことは理解できます。それはわかりますけど、菩提寺の御住職の健康状態を御理解いただき、お盆中に余所の和尚さんを御願いすることの難しさもご理解ください。現実的には、御母堂様のご意見のようにお勤めするしかないと思います。
「ひよこ様、菩提寺の読経が不可能な現状では、家族が集まり語り合うことが何よりの御供養だと思います。合掌」
お位牌を事前に拝んでもらう
好きなお寺さんに連絡して、と言われても、普通困りますよね。ただ、菩提寺ご住職がそのような状態ですから、来ていただくことは無理でしょう。
お仏壇というのはあくまでも入れ物ですので、大切なのは御本尊さまとお位牌(あるいは過去帳)です。もし可能なら、事前にお寺に相談の上、お位牌を持参し、ご本堂で拝んでいただいたらいかがでしょうか。そして、お盆にはご自宅にご親戚同士集まられては。
方法は他にもあると思います。ひよこさんが少しでも安心できること、ご祈念申し上げます。
【以下、ひよこさんからの回答御礼を受けての追記です。】
住職が体調不良であるのに、そのお寺の副住職や院代(住職代理)がいらっしゃらないのというのは、檀信徒の皆様は何かと不便でしょう。お寺には必ず檀信徒の代表である総代さんがいらっしゃいますので、その方がたと相談ができると良いのですが。そのお寺を統括する宗派事務所へ相談するということもできますが、時間と手間がかかるのでお盆には間に合わないかもしれません。
読経テープですが、ご主人がそれをご希望なのでしょうか。それならば結構なのですが、今回の件は、ご主人の希望とお義母さまのそれとの食い違いが元だと認識しております。お二人の考え以外に選択肢をあまり増やさない方が賢明かと思います。
檀家制度・寺檀制度のあり方について
ひよこ様
川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えでございます。
誠に檀家制度・寺檀制度のあり方を考えさせられるご質問でございます・・
檀家制度のことにつきましては、これまでにも下記の各問いにて扱わせて頂いております。
http://blog.livedoor.jp/hasunoha_kawaguchi/tag/檀家制度
正直、様々な要因によって、既に檀家制度は崩壊しつつあります。
それには双方における複合的な要因が絡んでいるため、一概にこうだからとは特定して言えませんが、例えば社会的には、少子高齢化、核家族化、無縁社会化、家督相続の断絶増加、相続財産の分散化(長子相続の崩壊)、葬式仏教批判、仏教離れ、葬式簡略化、葬式無用化、戒名無用化など・・更には、寺院側として、檀家数減少・収入減少による財政基盤の崩壊による寺院運営の行き詰まり、後継者難の問題、世襲制の限界、僧侶の資質・志低下、僧侶の俗物化による信頼低下、世間による誤解や低評価など、色々と挙げることはできます。
とにかく、昔ほどには檀家制度も強固なものではなくなりつつあり、寺院の側における体制もかなり脆弱・弱体化しているのは否めないかと存じます・・そのため、このような問題が生じるのは、今後、どこのお寺でも有り得ることとなってしまっております・・
あとは、宗派・寺院・僧侶もある意味では皆様から取捨選択されていく厳しい時代となりつつあるということもあります。体力・体制基盤の弱い寺院は、更に淘汰されてしまい、より財政・体制基盤の整っている寺院へと向かうことで、今後、二極化、差別化が著しくなっていくのではないかと予測されます。
もちろん、先祖代々の皆様のご供養、そしていずれは私たちのご供養を継続して菩提寺に何とか維持していってほしい、発展していってほしい、盛り上げていきたいとなりましたら、住職、副住職・後継者、寺族、総代、責任役員、総代会・責任役員会への協力を積極的に行って、色々なことで支援するなどして関わっていくことも必要なことになるかとは存じます。
それでももはや努力、関わりも限界となり、その菩提寺とは関係を保てないとなれば、離檀して、より色々な面にて安定している新しい菩提寺探しも視野に入れなければならないのではないかと存じております。
川口英俊 合掌
質問者からのお礼
早速のお応え、ありがとうございます。
「御住職の体調が悪い」のも「御盆に代理の方を頼むのは難しい」のもわかります。
ただ、それが今回限りの事ではないので納得がいかないのです。
5~6年前からずっと変わらず、本堂以外での法要は断り続けているのですが、葬儀の時に代理で来て下さった御坊様が「体調の回復が見込めない、長引いて御勤めに支障が出る場合は、住職の代理をたてるように手配するべきなんですが…。」と仰っていて、何故そうしないのか?と思ってしまうのです。
法要の話の時には御住職は出てこず、奥様と話をします。
今回の初盆のお願いも奥様と話したのですが、その中で「そんなことで無理をするのじゃなく、主人には1日でも長く生きて欲しいんです。」との発言があり、納得いかない気持ちが強くなってしまいました。
これでは愚痴を言っているのと変わりませんね。申し訳ありません。
御盆に代理の方に来てもらうと言うのは、今からでは不可能のようですね。
もう一つ聞かせてください。「読経のテープ」があると聞きましたが、初盆に子や孫が集まって、読経のテープで御経を流しながら拝むというのは良くない事なのでしょうか?
読経することにこだわる必要はないのでしょうか?
回答ありがとうございます。
葬儀をして頂いたお寺さんは遠方にあり、「御住職が高齢なので代理を頼むのはちょっと・・・。」と、菩提寺の御住職の奥様に言われてしまい、「そういうことなら・・・。」と義母もそのお寺さんには連絡する気はあまりないようです。
言葉が悪いかもしれませんが、御仏壇も御墓も、今は義母がみているので、最終的には義母の意見を優先しようと思います。
義母が高齢になり、私達夫婦が色々な事を手配するようになれば、宗派事務所へ相談なども考えます。
形にこだわり過ぎて、初盆に親子喧嘩をする方が亡父も悲しむのではと思い直し、読経のテープなどではなく、亡父の好きだった「子や孫の笑い声が聞こえる」ような初盆を迎えられるようにしたいと思います。
相談させて頂いて、丁寧な回答を頂き、ありがとうございました。