仏教を感じさせる日本の歌
仏の教えを感じさせる日本の歌(JPopでも童謡でも演歌でも構いません)ってありますでしょうか?
歌のタイトル、アーティスト名、できればその歌を象徴する仏語を教えていただけますと聴く際の参考になります。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
世界に一つだけの花
超メジャー曲ですが、「世界に一つだけの花」です。
私はこの歌を初めて聞いた時、「ああ、これは仏教の知識がある人が書いたんだろうな」と感じましたが、当時は逮捕された方という印象が強かった槇原敬之さんの作詞作曲だと知って驚きました。
しかしよく調べてみると、槇原さんが有罪判決を受けて謹慎中にとある住職と交流を持ち、そこで聞いた仏教の話からこの歌を思いついたそうです。また童話「星の王子さま」からも影響を受けたそうです。
影響を受けた仏教の話とは、浄土真宗でよく勤められる佛説阿弥陀経の一説で「池中蓮華 大如車輪 青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」の部分です。
これは「(極楽浄土の)池に咲いている蓮の花はその大きさが車輪のようであり、青い花は青い光を、黄色い花は黄色い光を、赤い花は赤い光を、白い花は白い光を、それぞれ放つ」という意味です。
歌詞の「世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい」という部分と対応していると思います。
思えば私たちは、生まれたままの自分を全て受け容れてもらえる事はありません。誰かのために、何かのために役立つように努力をして、人と比較をされながら生きています。
青い花として生まれたのに白く光ることを強いられたり、赤い花として生まれたのに、黄色く光らなければならなかったり。それはこの世に生きている以上、仕方のない事なのだと思います。
ただ、浄土という世界は私たちの生きるこの世とは全く違う世界です。生まれたままの私がまるごと受け容れられ、本当に自分らしく輝くことができる世界なのです。
この世の縁が尽きて往く世界が、もしこの世と同じように能力などによって優劣が分かれる世界であったらどうでしょう。私はそんな世界ではなく、平等で安らかな世界に往きたいと思っています。
中島みゆき「糸」
なぜめぐりあうのかを わたしたちはだれもしらない。
いつめぐりあうのかを わたしたちはなにもしらない。
ときにはそれが苦しいめぐりあいになるかもしれません。
よきめぐりあいに感謝する日もあるかもしれません。
仏教の「縁」というものに通じる歌であろうと思います。
誰もわからないのです。たとえ出会う原因・結果があろうとも。
でもいまこのとき、ここでめぐりあえたこの「不思議」に、
わたしはただただ、手を合わせたくなるのです。
この「不思議」も「不可思議」という仏教からの言葉になります。
言葉に表すことの出来ない境地とされます。
おりなす糸は いつかだれかを 温めうるかもしれない。
この「かもしれない」に、「だから善く生きよう」という
願いを感じずにはおれません。
中島みゆきさんの「糸」という歌を、あるドラマのエンディングで
聞いた時に、涙がどんどんあふれたことを思いだしたもので、
自分へのなつかしさもこめて載せてみました。
ほかの回答者様の歌も素晴らしいですね。改めて聞いてみたく
なりました。ありがとうございました。さちあれ。さちあれ。合掌
「いつか冷たい雨が」
私のお薦めの曲は、イルカの「いつか冷たい雨が」です。
“うずくまっている年老いた犬、パンをあげても、見てるだけ、時が来れば汽車にのる私、泣くことの他、何もしてあげられない私”
“牛や鳥やおさかなも、人間の為にあるのよ・・・そんな風に言うおかあさんにはなりたくありません、でも私だって、食べて育って来たのだし、虫だって、殺したこともあります”
“だから、だから、お願いです・・・自分本位でかわいがったり・・・小さなオリに閉じ込めて、バカにしたり、きたながったり、人間だけが、えらいんだなんてことだけは思わないで下さい”
“同じ時を生きているのだから、朝が来れば夜も来るし、生まれて、そして死んで行く、私が土になったら、お花達よ、そこから咲いて下さい”
「諸行無常で、満足のいく慈悲行を行うことが出来ない私。諸法無我で、全ての生き物は尊く、決して人間だけが尊いのではない。しかし、他の生き物の命で生きざるを得ない煩悩多き私。自分だけに朝が来て夜が来るのではない。傲慢にならないでほしい。輪廻転生なる私の命は、この世だけの命ではなく、花の命へと引き継がれていってほしい。」というメッセージを私は感じます。
いのちの理由 さだまさし
浄土宗の法然上人800年遠忌の記念歌でもありました。
https://www.youtube.com/watch?v=ZIXN6QItDK8
他宗派ながら、私はこの歌が大好きです。
象徴する仏教用語は「共生」かと存じます。
千の風になって 秋川 雅史
紅白でも歌われたとても有名な歌ですね。
私はこの歌の歌詞を聞いて仏様の姿を連想しました。
私のお墓の前で泣かないでください
そこに私はいません
眠ってなんかいません
「いのち尽きたその後は仏となってあなたに寄り添い続けます」と味わっています。
ひまわりの約束 秦基博
ベタかもしれませんが、ドラえもん映画の主題歌。結婚式ソングとしても使われるそうです。
「遠くで ともる未来 もしも 僕らが離れても
それぞれ歩いていく その先で また 出会えると信じて」
正に[倶會一処]です♪
J-POPは教えの宝庫。
AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」
「ツキを呼ぶには、笑顔を見せること」という歌詞が、
「和顔愛語」という仏教語と重なります。
常に笑顔でいることで心が満たされ、まわりも愛で満たされます。
Mr.Childrenの「くるみ」
「あれからは一度も涙は流してないよ でも、本気で笑うことも少ない」
という部分に、執着を捨てなければならないことの難しさを感じています。
楽しいことまで捨て去ってしまうことが、果たして幸せにつながるのかどうか。
考えさせられます。
THE BLUE HEARTSの「青空」
「生まれたところや、皮膚や目の色で いったいこの僕の 何がわかるというのだろう」
これを聴いたとき、真っ先に、手塚ブッダの
「生き物に優劣はない。みなどこかでつながり、助け合って生きているのだ」
という言葉を思い出しました。
童謡チューリップ
ならんだならんだ あか しろ きいろ
どのはなみても きれいだな
阿弥陀経の
「池中蓮華 大如車輪 青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」
を思いだします。
極楽浄土の池に、車輪のように大きく咲く蓮華は、青い花は青く輝き、黄色い花は黄色く輝き、つまりそれぞれの色に輝いている。
童謡のチューリップは、あか、しろ、きいろ、どの花を見ても、その花の色のままで、きれい。
SMAPの世界に一つだけの花にも通じますが、
それぞれの個性のままで素晴らしく輝く、
しかも、青い花があるから黄色い花が引き立ち、黄色があるから赤が映えるような、互いに互いを飾り合うお花畑の宇宙です。
ただし、そうは言っても、例えば悪人が悪人のままで綺麗でそれで良いというわけではないのが仏教です。
悪人も、いずれ浄土という善の世界に生まれたときにはあらゆる個性が輝きますが、悪人が悪人のままで善を引き立ててるからええじゃないか、とか言うと言い過ぎになるかも。
補足説明
極楽浄土では、人はお母さんや卵から生まれるのではなく、蓮の華の中に化生する(魔法みたいに出現して生まれる)ので、蓮華の個性は、極楽浄土に往生してくる者達の個性を連想させます。
愛よりも青い海 by 上々颱風
シャンシャンタイフーンというバンドの曲です。
なるほどざワールドのエンディングで流れていた時期もありました。
企業研修等では、夢や目的を達成する姿を山登りに例えた話を聞くことが多いと思いますが、
私は海にたとえた話を聞くことが多いです。
この曲をたまに聞き、それとともに思い出す海にちなんだ言葉。
本願海、群生海、海一味、大宝海、大智海など。。
参考までに。。
いざとなると、すぐに思い出せないもんですが
心象風景的には、「夕焼け小焼け」も、仏教が地域の生活に根差したものであることを示す歌だと思っています。
仏教の教えと相通じるものを感じるのは、喜納昌吉の「花」ですね。
ご質問の趣旨に応えるような本があった筈なんですが、思い出せません。思い出しましたら、後で書き込みます。
この質問のテーマを扱った書籍名、わかりました。
『歌に潜む仏教の心』長田暁二著:国書刊行会 2009年刊行
http://www.amazon.co.jp/%E6%AD%8C%E3%81%AB%E6%BD%9C%E3%82%80%E4%BB%8F%E6%95%99%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D-%E9%95%B7%E7%94%B0-%E6%9A%81%E4%BA%8C/dp/4336050953
長田暁二さんは岡山県の曹洞宗寺院の御生まれで、駒澤大学卒業後キングレコードに入社しデイレクターとして童謡レコードの製作などに携わってこられた方です。現在は、音楽評論家、音楽文化史研究者として御活躍されておられます。
未来とは現在の果である
何かネタバレのような気がしますが。
ロックバンドおかん、「Road to my road」です。
遠い未来の事はわからんけど
1秒先も「未来」と言えるなら
未来はすぐにも変えていけるさ
今をやり切ることさ
http://www.rockband-okan.com/2014/09/12/lovedone_story03/
そう。今をやり切る(か、やり切らない)しか、私たちにはできないのです。
質問者からのお礼
皆様方、いろんな歌を紹介していただきまして、ありがとうございました。
他にもありましたら、また紹介してください。