お金持ちが憎い
私は人生の半分を音楽に費やして来ました。
費やして来た、という表現をするのは、それがなんの意味も成さなくなったから。
高校は音楽系の高校に進み、自治体の政策のおかげで授業料は無償で私立に通うことが出来ました。
さて、いざ大学受験。
母方の祖母に楽器を買ってもらい、高校が音楽系であるがゆえに、私は音大を志望していました。
しかし、向こう4年でかかるお金は諸々を合計してざっと1000万。
父子家庭で育った私は受験のストレスだけでなく金銭的な不安もありました。
たまに会おうとする母親とは何度も意見がぶつかりました。
母は「莫大な借金を背負ったまま結婚をするのか」
「仮にその借金を背負って返せるアテのある就職先へ就けるのか」
それしか言いませんでした。
私の身を案じているにしても、決して私を認めようとしない、私を否定しては生気をガリガリと削ってくるその姿勢に心底辟易してもう二度と会わないと心に誓いました。
かくして私は、担任の先生にも何も言わず、音楽系以外の大学を受ける以外の選択肢を選ぶ気にもなれないまま、詰められても母親によって削られた私は地蔵のように黙るしかないまま高校を卒業しました。
得たものは何も残らず、ただ高卒フリーターっていう肩書きだけが残りました。
対照的に、周りの同級生は私立高校だった事もあり、金銭的な心配なんて微塵もない、自分のやりたい事をさせてくれる、そんな級友達を見ていると、どうして私はそれを許されなかったのか、どうして私にはその権利がなかったのか、先生には「(音大に)行ける実力がある」と言われていたのもあり、悔しくてたまりません。
私より無能の癖に、親が金持ってるからってだけで音大へ行ける人間が憎くて仕方が無かった。決して当人達の前で口にすることは無かったけれど。
親や仲良くしてくれた友人達を一度でも憎んでしまった私のような人間が今世で解脱することなど不可能だと解っているので、せめて、来世に期待できるくらいには徳を積んでおきたいとは思うのですが、どんな徳を積んだらお金に困らない家に生まれることが出来るでしょう?
今世に関してはもう諦めてるので、せめて積める徳だけは積んでおこうと思うのです。
有り難し 58
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